IPアドレッシングを基本から復習しましょ! その8

VLSM(Variable Length Subnet Mask)

VLSMでは、1つのメジャーネットワークからサブネッティングしたサブネット
のサブネットマスクの長さをサブネットごとに変更することができます。

たとえば、次の図のようなネットワーク構成のアドレッシングがVLSMによるサ
ブネッティングの例です。

このネットワークでは、172.16.0.0/16という1つのメジャーネットワークを本
社LAN、支社LAN、ルータ間の3つのサブネットに分割しています。分割された
各サブネットのサブネットマスクは次のようになっています。

  • 本社LAN-/24
  • 支社LAN-/26
  • ルータA、ルータB間-/30

このようにサブネットごとにサブネットマスクの長さが異なっているというサ
ブネッティング方法がVLSMです。

※VLSMのサブネッティングは1回サブネッティングしたサブネットをさらに細かいサブネットに分割することもできます。

VLSMによるサブネッティングの方法

VLSMによるサブネッティングの手順を考えます。FLSMでは、最もたくさんのIP
アドレスが必要なサブネットを基準にしてサブネットマスクを決めていました。
VLSMではサブネットごとに必要なIPアドレスを考えてサブネットマスクを決定
します。

本社LANには200台のパソコンがありますので、本社LANのサブネットには200個
以上のIPアドレスが必要です。200個以上のIPアドレスを利用するために必要
なホストアドレスは8ビットあればいいので、サブネットマスクは/24です。
次に支社LANには50台のパソコンがあり、50個以上のIPアドレスが必要です。
ホストアドレスとして6ビットあれば62個のIPアドレスが利用できるので、支
社LANのサブネットマスクは/26になります。
そして、ルータA、ルータB間ではそれぞれのルータのインタフェースにIPアド
レスがあればいいので、2つのIPアドレスが必要です。ホストアドレスが2ビッ
トであれば、2つのIPアドレスが使えるのでサブネットマスクは/30となります。

各サブネットのサブネットマスクを決定した上で、ネットワークアドレスを決
めます。この冒頭のVLSMのネットワーク構成例では、次のようにサブネットの
ネットワークアドレスを決めています。

  • 本社LAN-172.16.1.0/24
  • 支社LAN-172.16.2.0/26
  • ルータA、ルータB間-172.16.0.0/30

例はサブネットの数も多くないので、重複しないようにネットワークアドレス
を決めればいいです。ただ、もっとたくさん支社があり、サブネットの数も多
くなってくれば、ネットワークアドレスの決定はルート集約を意識しなければ
いけなくなります。

VLSMのメリット

こうしたVLSMによるサブネッティングのメリットは、IPアドレスの無駄を少な
くできることです。各サブネットに必要なIPアドレスを考えた上で、サブネッ
トマスクを決めるのでFLSMに比べるとIPアドレスの無駄がとても少なくなりま
す。それにともなって、新しいサブネットの追加を行うことも効率的になり、
大規模なネットワークへの拡張性を備えることができます。

ただ、VLSMにはメリットだけではなくデメリットもあります。そして、VLSMは
FLSMより優れているというわけでもありません。

FLSMにはFLSMのメリットがあり、VLSMにはVLSMのメリットがあり、それらをき
ちんと考慮して最適なアドレッシングを行います。その点について、次回解説
します。