IPv6の特徴 その2

ルート集約

IPv6アドレスが階層構造をとっていることから、ルート集約を行いやすいといメリットがあります。IPv6アドレスについては、あらためてその構造を詳しく解説しますが、わかりやすいルート集約を可能にしています。図 IPv6のルート集約を見てみましょう。

ISP A、ISP Bはそれぞれユーザに対して/48のIPv6プレフィクス(ネットワーク
アドレス)を割り当てています。そして、ISP Aは2001:0410::/32、
ISP Bは2001:0420::/32の範囲のIPv6プレフィクスを割り当てられています。

インターネットへアドバタイズするとき、ISPはユーザの/48の細かいネットワ
ークアドレスではなく、/32のISP自身のネットワークアドレスだけをアドバタ
イズすればいいです。ユーザに割り当てている複数の/48のルート(ネットワー
クアドレス)を/32のルートに集約してアドバタイズしているわけです。

このようなルート集約は、IPv4ネットワークでもCIDRによってアドレスクラス
を意識せずにアドレッシングを行うことで実現しています。しかし、IPv4ネッ
トワークでは、ルートを集約するとネットワークアドレスの区切りがわかりに
くくなったりします。ルート集約はネットワークアドレスとホストアドレスの
区切りを左にずらしていくことで実現します。つまり、nビット区切りを左に
ずらすと2^n個のルートを集約した集約ルートができあがります。IPv4アドレ
スは、基本的に10進表記を使うので2^n個のルートを集約した集約ルートがわ
かりにくくなります。

※ルート集約の詳細は

経路集約ってなに?

をご覧ください。

では、IPv4ネットワークアドレスの集約とIPv6ネットワークアドレスの集約を
比較してみましょう。
たとえば、次のIPv4ネットワークアドレスを集約します。

【集約前】
192.168.16.0/24
192.168.17.0/24
192.168.18.0/24


192.168.31.0/24

【集約後】
192.168.16.0/20

16個のネットワークアドレスを1つのネットワークアドレスに集約しています。
では、このとき192.168.32.0/24がこの集約ルートに含まれるかどうか?と考
えると、ちょっとわかりずらくなりますね。IPv4アドレスは8ビットごとに10
進数に変換して表記しているので、8ビット単位でルート集約を行えば集約ル
ートはわかりやすくなるのですが、8ビット単位の集約でないときはわかりに
くくなります。

一方、IPv6であれば16ビットずつ16進数に変換して表記します。1つのブロッ
ク4桁で1桁あたり4ビットです。つまり、IPv6アドレスは4ビット単位で捉える
こともできます。すると、4ビット単位でルート集約を行えばわかりやすい集
約ルートを作成することができます。
次の16個のIPv6ネットワークアドレスを集約してみましょう。

【集約前】
2001:0410:a0::/48
2001:0410:a1::/48
2001:0410:a2::/48
2001:0410:a3::/48


2001:0410:af::/48

【集約後】
2001:0410:a0::/44

以上のように、IPv4ネットワークアドレスの集約と比較すると、IPv6ネットワ
ークアドレスの集約は非常にわかりやすくなります。

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