スイッチ(ブリッジとの違い)

ブリッジとスイッチ、同じところ、違うところ

前回まで、スイッチの基本的な機能について解説したわけですね。 ちょっと振り返ってみると、MACアドレスを学習して学習したMACア ドレスによってフレームを送信するポートを決めて、余計なデータ を流さないことによってネットワークのパフォーマンスをあげてい ます。そして、ブリッジと同じく冗長リンクの場合、ネットワーク のループが起きないようにスパニングツリーによって、あるポート をブロックしています。 ここまでがスイッチが行うブリッジと共通した機能になります。
で、 もちろんスイッチとブリッジが異なる点があります。今回はスイッチとブリッジで異なる点を見ていきます。 スイッチとブリッジでは以下の点で異なります。

  • 処理の主体
  • 処理速度
  • ポート密度
  • ポートの結線
  • 転送方式
  • VLAN(Virtual LAN)

これらについて、順番に解説していきます。

処理の主体

まず、処理の主体ということですが、これはどのように各機能の処理を行っているかということです。 ブリッジはソフトウェア主体でMACアドレスの学習、ポート間の転送、 スパニングツリーの計算などを行っています。ソフトウェア主体ということは、各機能を実行するプログラムをメモリに読み込んで、 CPUで処理を行っています。
それに対して、スイッチはハードウェアが主体で処理を行います。 そのハードウェアをASIC(Application Specific Integrated Circuit) と呼んでいます。 これはある特定の機能を実行するためのIC(集積回路)のことです。 つまり、MACアドレスを学習するための専用のASICがあり、ポート間 で転送を行うための専用のASIC、スパニングツリーの計算を行う専 用のASICがあります。どの機能を実行するASICを載せているかはス イッチを作っているベンダによって異なります。

処理速度

処理速度は処理の主体にとても関連しています。一般的にソフトウ ェアで処理をするよりもハードウェアで処理をする方がめちゃめちゃ速いです。ハードウェアで処理をするというのは、条件反射のよう なイメージでとらえてください。
たとえば、急にボールが自分めが けて飛んでくると、考えるよりも先にボールを避けようとして手を 出したりしますよね?それと同じように瞬時に処理をしてしまうのがハードウェアでの処理になります。というわけで、めちゃめちゃ速い処理を行うことが可能です。さらに、各機能を実行するASICが分かれていますので並行して同時に処理を行うことによっても処理 速度が速くなっています。

ポート密度

ポート密度というのは、1つのブリッジおよびスイッチにいくつポ ートが備わっているかということです。ポートが多ければそれだけ たくさんのコンピュータやネットワーク機器を接続することができ ますね。 で、ブリッジのポート密度なんですが、だいたい2~16ポートです。でも、ほとんどの場合、2ポートのものが多いです。それに比べて、スイッチはもっとたくさんのポートを持っています。大規模なネットワーク用のスイッチでは何百ポートも持っているものがあ ります。

ポートの結線

これは10BASE-T、100BASE-TXのイーサネットを前提で考えますが、 そのRJ45のポートの8つのピンをどのように利用しているかという ことがブリッジとスイッチでは異なります。 前にUTPケーブルのストレート、クロスケーブルがありますよという 話と関連してきます。

ブリッジと普通のコンピュータのイーサネットポートのピンでは、 次の図のように(1,2)の組で送信を行い、(3,6)の組で受信を行います。これをMDIポートと呼んでいます。

このようなピンの使い方をしているので、ブリッジと普通のコンピ ュータを直接接続する、つまりMDIポート同士を接続するためには、 クロスケーブルが必要です。クロスケーブルを使うことによって、片方の送信データがもう一方の受信のピンに届きます。ちなみに、ルータでも同じピンの使い 方です。

それに対して、スイッチのイーサネットのポートでは(1,2)の組で受信を行って、(3,6)の組で送信を行います。このようなピンの使い方 をしているポートがMDI-Xポートです。

普通のコンピュータとスイッチ、つまりMDIポートとMDI-Xポート 結ぶにはストレートケーブルを使っています。ストレートケーブル を使えば、MDIポートの送信データはMDI-Xポートの受信のピンに入 っていくわけですね。逆も同じです。ハブのポートもスイッチのポ ートと同じです。スイッチやハブのポートをよく見ると、ポートの 下に「X」が書いています。これは「MDI-Xポートですよ」というこ とを示しています。(機種によっては、ポートの下に「PC」と書い ていることがあります。とにかく、PCをつなぐということですね)

このあたりのポート結線の違いをきちんとわかっていると、実際にケーブルを使ってネットワーク機器たちを接続しなくちゃいけない! といった状況になっても正しいケーブルを使って正常な接続ができるようになるわけですね。

また、スイッチが出始めたころ、「ハブをスイッチに変えるとめち ゃめちゃ早くなりますよ」というのがベンダさんの売り文句だった そうです。 ポートの結線がハブとスイッチでは同じなので、いままで使ってい るケーブルは一切変えずに簡単にハブをスイッチに変更することが できたんですね。スイッチがスイッチングハブとも呼ばれるのは、 こういったポート結線の方法が関係しています。

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