RIPは伝言ゲーム?

RIPは伝言ゲーム?

これまでRIPについて解説してきたように、RIPでは実際に情報交換を行うのは、隣接したルータ間でのみです。隣接していないルータのルーティング情報は、間接的に学習していることになります。ちょうど前の人から後ろの人への伝言ゲームのようなイメージです。そのため、RIPによるルーティングは「噂によるルーティング(Routing by Rumor)」とも呼ばれます。このことは、IGRPなど他のディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルにも当てはまります。

伝言ゲームでは、伝言する人が多ければ多いほど、伝わるのに時間がかかってしまいます。そして、途中で間違った情報に変わってしまうこともあります。それと同じようなことがディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルにも起こります。

RIPのコンバージェンス時間の例

具体的なネットワークを例に挙げて、RIPのコンバージェンス時間を考えます。たとえば、次の図のネットワークで、ルータAで新しくネットワーク50.0.0.0/8を追加したとします。



※図をクリックすると拡大します

この50.0.0.0/8のネットワークがルータCに伝わるには最大で、

ルータAのアップデート間隔(30秒)+ルータBのアップデート間隔(30秒)=60秒

かかることになります。

もちろん、タイミングがよければもっと早く伝わりますが、何台もルータを経由する場合にはさらに長く時間がかかることになります。ネットワークの追加だけでなく、障害が発生した場合の経路の切り替わりも同様に長い時間かかってしまいます。たとえ、ネットワークを冗長構成にしていたとしても、ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルでは、コンバージェンス時間の遅さからすぐに経路を切り替えることができなくなってしまうという欠点があります。
また、コンバージェンス時間の遅さから、後で解説するようにルーティングループが発生してしまう可能性もあります。

この欠点に対して、何も対策をしていないわけではなく、コンバージェンス時間を早くするためにさまざまな方法があります。しかし、そのような方法にも限界があります。

「コンバージェンス時間の遅さ」

このことがディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルで大規模ネットワークをサポートできない1つの理由となっています。

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