ネットワーク構成図の種類

ネットワーク構成図

ネットワーク構成図について、新しく書いた記事も参考にしてください。
//www.n-study.com/internetworking-overview/network-diagram/

ネットワーク構成図って?

ネットワークを設計したら、設計内容を文書化しておく必要があります。いろんな文書があるのですが、その中でも重要なものがネットワーク構成図です。
ネットワーク構成図には、ある拠点のLANのネットワークを表したものなのか、それとも、拠点間のWAN接続を表したものなのかなど、対象範囲もさまざまあります。さまざまな対象範囲のネットワーク構成図の中で、特にLANにおけるネットワーク構成図は論理構成図と物理構成図の2つをきちんと意識しておく
ことが重要です。

※「ネットワーク構成図」のことを「ネットワークトポロジ」とか単に「トポロジ」ということがあります。トポロジは接続形態を表す言葉です。論理構成図、物理構成図をそれぞれ、論理トポロジ、物理トポロジともいいます。

物理構成図と論理構成図

まず、物理構成図とは、OSI参照モデルの階層で考えると、主にレイヤ1とレイヤ2の情報を記述し、ネットワークの物理的な配線形態を表したものです。ルータやスイッチなどのネットワーク機器および、サーバなどの配置から、どのようなケーブルで各機器を接続しているかなどの情報を記述します。

そして、論理構成図とは、OSI参照モデルの階層で考えると、主にレイヤ3の情報を記述し、ネットワークの論理的な接続を表したものです。論理的な接続とは、具体的にはルータなどのレイヤ3デバイスを中心としたIPネットワークの構成を指します。つまり、論理構成図は、物理的な配線形態は、あまり意識しなくてもよくて、どのルータ(レイヤ3スイッチ)にどのネットワークが接続されているかがわかるようにしたものです。また、OSPFやRIPなどのルーティングプロトコルの情報も論理構成図で記述します。

冒頭でも述べたように、LANにおいては、2つの種類のネットワーク構成図を分けて作成しておくことが重要です。その理由は、ネットワークの物理構成と論理構成が1対1に対応しなくなっているからです。

以前のネットワークは、物理構成から論理構成を対応付けて考えることができました。でも、企業のLANにおいてVLAN(Virtual LAN)やレイヤ3スイッチの利用が当たり前になっている現在は、物理構成にとらわれずに自由に論理構成を変更できます。

このことを簡単なネットワークの例から考えてみましょう。

LANの物理構成図と論理構成図の例

たとえば、一般的な企業のLANの典型的な構成を考えます。一つのビルのいくつかのフロアにまたがって、LANを構築しているものとします。各フロアにレイヤ2スイッチを配置し、クライアントコンピュータを接続します。各フロアでクライアントコンピュータを接続するレイヤ2スイッチをアクセススイッチと呼びます。
そして、フロアのアクセススイッチを集約するためのレイヤ3スイッチを設置します。ある程度、規模が大きくなると冗長性を考慮して、2台のレイヤ3スイッチを配置していることが一般的です。このようなレイヤ3スイッチをディストリビューションスイッチと呼びます。

アクセススイッチ1台と冗長化された2台のディストリビューションスイッチの物理構成図を表しのが次の図です。

こうした物理構成図では、実際にこの中にいくつのネットワークアドレスがあるのかよくわかりません。ルータやレイヤ3スイッチがどのようなネットワークを持っていて、どのようにネットワークを接続しているかを表すために、論理構成図が必要になるわけです。 論理構成図において、1つのネットワークを表す記号に特に決まりはないのですが、ぼくはよく雲形を使っています。1つの雲形が1つのネットワーク、つまりVLANを表しています。

上記の物理構成図において、クライアントコンピュータA、Bを同じネットワークに所属させると、次のような論理構成図になります。

これを配線を全く変えずに、下の論理構成図の例2のようにクライアントコンピュータA、Bを別々のネットワークに所属させることもできます。

もちろん、クライアントコンピュータが所属するネットワークが変わると、IPアドレスの設定も変更する必要がありますが、DHCPを利用していればクライアントコンピュータは所属するネットワークの変更を意識しなくてもいいです。

また、両方の論理構成図の例にあるように、レイヤ2スイッチを管理するための専用のネットワーク(VLAN)を作成することも可能です。

こうした論理構成図の違いは、物理的に配線を変える必要は全くないです。レイヤ2スイッチ、レイヤ3スイッチにおけるVLANの設定次第で、いくつものネットワークを作ることができますし、各ネットワークに所属するクライアントコンピュータも好きなように決めてあげることができます。

2つの種類のネットワーク構成図の重要性

以上のようにLANのネットワークではVLANによって、物理構成にとらわれずに自由に論理構成を変更することができます。これにより、LANの設計の自由度を高めることができます。しかし、その反面、物理構成と論理構成が1対1に対応しなくなってしまったので、LANの複雑さが増す結果になっています。

複雑になったLANの正確な姿を把握するために、物理構成図と論理構成図の2つの種類のネットワーク構成図を描くことが重要なポイントになるわけです。

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