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(所属カテゴリー:IPルーティング---投稿日時:2005年9月23日)
エリアを分割するに伴って、OSPFルータ間で交換するLSAのタイプも増えます。シングルエリアでは、LSAタイプ1、LSAタイプ2のみです。マルチエリアになると、LSAタイプ3、LSAタイプ4も交換されます。さらに、非OSPFドメインとOSPFドメインを相互に接続するASBRが存在する場合、外部ルート(非OSPFドメインのルート情報)を表すLSAタイプ5やLSAタイプ7も出てきます。順に、主要なLSAタイプについて、どのタイプのルータが生成し、どのような情報を含んでいるかを見ていきましょう。
ルータLSAは、一番基本的なLSAですべてのOSPFルータが生成します。ルータLSAには、OSPFルータのリンク(OSPFが有効になっているインタフェース)情報がすべて含まれています。リンク情報は、リンクの種類やコストやIPアドレスなどです。ただし、リンクの種類によってどのような情報が含まれるかは異なります。そして、ルータLSAは生成されたエリア内すべてにフラッディングされます。
下の図は、ルータLSAに含まれる情報とフラッディングの様子を示しています。
CiscoルータでルータLSAを確認するためには、show ip ospf database routerコマンドを利用します。ルータLSAからSPFアルゴリズムで計算されたルートはルーティングテーブルでは、「O」(エリア内ルート)というコードがつけられます。
LSAタイプ2 ネットワークLSAは、各マルチアクセスネットワーク上のDRが生成します。DRはマルチアクセスネットワークを代表しているルータで、そのDRが生成するネットワークLSAには、DRのIPアドレス、マルチアクセスネットワークに接続されているルータのリストとマルチアクセスネットワークのサブネットマスクの情報が含まれています。DRによって生成されたネットワークLSAは、そのエリア内すべてにフラッディングされます。
Ciscoルータでshow ip ospf database networkコマンドによって、ネットワークLSAを確認できます。また、ネットワークLSAからSPFアルゴリズムで計算されたルートは、ルータLSAと同様に、ルーティングテーブルでは「O」(エリア内ルート)のコードがつけられます。
ネットワークサマリーLSAを生成するルータは、ABRです。ABRがバックボーンエリアを経由して到達することができるネットワークアドレスを自身の配下のエリアにアドバタイズします。また同時に、自身の配下のエリアに含まれるネットワークアドレスをバックボーンエリアにアドバタイズします。
ネットワーク「サマリー」LSAという名前がついているので、誤解しがちなのですが、ルート集約の設定をしなくてもネットワークサマリーLSAは生成されます。ネットワークサマリーLSAは、ルートを集約(サマリー)すると生成されるわけではなく、あくまでもほかのエリアのネットワークアドレスをアドバタイズするために生成されています。
ただし、ABRでルート集約の設定をしなければ、ABRが生成するネットワークサマリーLSAが多くなってしまい、エリアを分割するメリットがなくなってしまいます。エリアを分割する際には、エリア内のIPアドレッシングを階層型IPアドレッシングとして、ABRでルート集約を行います。そうすれば、ABRが生成するネットワークサマリーLSAが少なくなり、集約前の細かいルートのアップダウンによる影響を限定することができます。
ネットワークサマリーLSAは、show ip ospf database summaryコマンドで確認できます。また、ネットワークサマリーLSAからSPFアルゴリズムで生成されたルートは、ルーティングテーブル上で「O IA」(エリア間ルート)のコードがつけられます。
ASBRサマリーLSAもABRが生成するLSAです。ASBRサマリーLSAに含まれる情報は、ASBRのルータIDとASBRに到達するためのメトリックです。ネットワークサマリーLSAとASBRサマリーLSAのフォーマットは同一です。違いは、ネットワークアドレスの代わりにASBRのルータIDが記されて、サブネットマスクは「0.0.0.0」となっている点です。
CiscoルータでASBRサマリーLSAを確認するためには、show ip ospf database asbr-summaryコマンドを利用します。
LSAタイプ5 AS外部LSA(または単に「外部LSA」)は、ASBRが生成します。外部LSAによって、非OSPFドメインのネットワークアドレスをOSPFドメイン内にアドバタイズします。外部LSAには、非OSPFドメインのネットワークアドレス、サブネットマスクとそのネットワークへ到達するためのメトリックとネクストホップアドレスが含まれます。メトリックは、ASBRで非OSPFドメインのルートをリディストリビュートするときに与えるシードメトリックです。
メトリックタイプによって、メトリックが固定でOSPFドメインを伝わっていくか、増加していくかが変わります。メトリックタイプE2(デフォルト)であればAS外部ルートのメトリックは一定で、メトリックタイプE1の場合、メトリックは増加していきます。
また、外部LSAはスタブエリアを除いて、OSPFドメイン全体にフラッディングされます。
LSAタイプ5 外部LSAを確認するには、show ip ospf database externalコマンドを利用します。外部LSAからSPFアルゴリズムによって計算されたルートは、ルーティングテーブル上で「O E1」または「O E2」というコードがつけられます。リディストリビュート時のメトリックタイプを1にすると「O E1」に、メトリックタイプを2にすると「O E2」となります。
NSSA外部LSAは、NSSA内のASBRが生成します。NSSA内のASBRが非OSPFドメインのネットワークアドレスの情報をNSSA内にフラッディングします。NSSA外部LSAはNSSA内にだけフラッディングされるので、NSSAのABRはLSAタイプ7をLSAタイプ5に変換して、バックボーンエリアにアドバタイズします。
LSAタイプ7は、LSAタイプ5と同じように非OSPFドメインのネットワークアドレス、サブネットマスク、ネクストホップ、メトリックが含まれます。
LSAタイプ7 NSSA外部LSAを確認するには、show ip ospf database nssa-externalコマンドを利用します。NSSA外部LSAからSPFアルゴリズムによって計算されたルートは、ルーティングテーブル上で「O N1」または「O N2」というコードがつけられます。リディストリビュート時のメトリックタイプを1にすると「O N1」に、メトリックタイプを2にすると「O N2」となります。
次の表に、各LSAについて名前、生成ルータ、範囲、内容についてまとめます。
LSAタイプ | 名前 | 生成ルータ | 範囲 | LSAの内容 |
---|---|---|---|---|
1 | ルータLSA | 全OSPFルータ | エリア内 | リンク数、各リンクの詳細情報 |
2 | ネットワークLSA | DR | エリア内 | DRのIPアドレス、マルチアクセスネットワークのサブネットマスク、接続ルータのリスト |
3 | ネットワークサマリーLSA | ABR | エリア内 | エリアに含まれるネットワークアドレス、サブネットマスク、メトリック |
4 | ASBRサマリーLSA | ABR | エリア内 | ASBRのルータID、サブネットマスク「0.0.0.0」、メトリック |
5 | AS外部LSA | ASBR | OSPFドメイン全体(スタブエリア除く) | 非OSPFドメインのネットワークアドレス、サブネットマスク、転送ルータ、メトリック |
7 | NSSA外部LSA | MSSA内のASBR | NSSA | 非OSPFドメインのネットワークアドレス、サブネットマスク、転送ルータ、メトリック |
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