仮想環境でのネットワーク&サーバ構築 その1

概要

個人で利用するPCのCPUはどんどん高性能化してメモリやストレージもとても大容量化しています。Webやメール、ドキュメントファイルの作成などの個人で利用する分にはいまのPCはオーバースペックで、コンピューティングリソースがあまり活用されていないのが現実でしょう。高性能化したコンピューティングリソースを有効活用する1つの方法が仮想化技術です。仮想化技術で有り余るコンピューティングリソースを有効活用できます。

一昔前では、ネットワークやサーバの検証を個人で行うことはとても難しいものでした。ネットワークの検証を行うために、企業向けのネットワーク機器を新品で揃えるとコストがとてもかかります。現実的には中古のネットワーク機器ですが、思った通りの構成ができるネットワーク機器の調達は難しいものです。
サーバの場合、LinuxであればOSは無料で利用できますが、複数台のサーバを利用するような検証を行うたい場合は、ハードウェアを揃えるためにコストが掛かります。
コストがかかってしまうことも課題ですが、物理的な置き場所も大きな課題です。何台ものネットワーク機器やハードウェアを置くための場所を確保することは非常に大変です。

仮想化技術を利用すれば、個人向けPCでも複数台のネットワーク機器、サーバを使ったいろんな検証を手軽に行うことができます。ネットワーク機器は、Dynamips/Dynagenを利用することでCiscoルータをPC上で動作させることができます。サーバはVMWare Playerを利用して、PC上でゲストOSとしてLinuxなどを動作させることができます。PC上で仮想化したCiscoルータとLinuxなどのゲストOSを相互接続することもできます。PCの性能によって、ルータやゲストOSを複数台動作させることも簡単です。

仮想化したルータとゲストOSの相互接続を行うためには、VMWare Player上でゲストOS用に作成される仮想ネットワークアダプタについて理解しておく必要があります。
以降では、

  • VMWare Playerの仮想ネットワークアダプタの概要
  • VMWare Playerの仮想ネットワークアダプタの追加
  • Dynamips/DyangenでルータとゲストOSの接続
  • 仮想ルータとゲストOSの設定

の項目にしたがって、下記の図のようなPC上で仮想化したCiscoルータとゲストOSの相互接続を解説します。

dynamips_vmware01.png
図 仮想化したルータとゲストOSの相互接続