IPマルチキャスト PIM-DM その1

(所属カテゴリー:マルチキャスト---投稿日時:2007年5月20日)

PIM-DMの概要

PIM-DMはDenseモードのマルチキャストルーティングプロトコルです。マルチ キャストレシーバがひとつ拠点のLAN内に密集していることを想定しています。 マルチキャストパケットの転送は、Flood & Pruneモデルと呼ばれています。
まず、マルチキャストレシーバが存在するかもしれないインタフェース全体に マルチキャストパケットをフラッディングします。その後、不要なインタフェ ースからマルチキャストパケットの転送をとめる(Prune)という仕組みです。
厳密にマルチキャストレシーバの存在を把握しないで、シンプルなマルチキャ ストのルーティングを可能にしています。
こうしたマルチキャストルーティングを行うために、PIM-DMはディストリビュ ーションツリーとして、送信元ツリーを作成します。送信元ツリーの作成は、 マルチキャストパケットを受信したタイミングで行っていきます。

PIM-DMを使えば、手軽にマルチキャストルーティングを行うことができます。
しかし、LAN内であっても初期のフラッディングで他のアプリケーションの通 信に悪影響を及ぼすことが考えられます。そのため、現在ではあまりPIM-DMの 利用は推奨されていません。一般的にはマルチキャストルーティングプロトコ ルとして、PIM-SMを利用します。そのため、ここではPIM-DMについては概要の み解説します。

PIM-DMによるマルチキャストルーティングの仕組み

次のネットワーク構成を基にして、PIM-DMによるマルチキャストルーティング の仕組みを解説します。

このネットワーク構成であるマルチキャストグループ(G)のソースとレシーバ が存在する状態でのPIM-DMの動作を見ていきます。

マルチキャストソースがマルチキャストパケットを送信すると、ファーストホ ップルータはそのパケットを受信します。この場合は、R1がファーストホップ ルータです。パケットを受信したタイミングでPIM-DMによりそのマルチキャス トパケットに対応する(S,G)で表現される送信元ツリーを作成します。
このとき(S,G)エントリのOILとして、次の3つの種類のインタフェースが登録 されます。

  • PIM-DMネイバーが存在するインタフェース
  • レシーバが存在するインタフェース(IGMPメンバーシップレポートを受信)
  • ip igmp join-groupコマンド、ip igmp static-groupコマンドが設定されているインタフェース

2点目、3点目はレシーバの存在がはっきりわかりますが、1点目のネイバーが 存在するインタフェースというだけでは、その先にレシーバが存在するかどう かがはっきりとはわかりません。ネイバーが存在するインタフェースはその先 にマルチキャストレシーバがいる「かもしれない」インタフェースです。
また、(S,G)エントリのIIFにはソースのIPアドレスに対するRPFインタフェー スが載っています。そのRPFインタフェースを利用してRFPチェックが成功すれ ば、OILのインタフェースすべてにマルチキャストパケットをフラッディング します。なお、原則としてOILからRPFインタフェースは取り除かれます。

各マルチキャストルータでマルチキャストパケットを受信すると、同様に送信 元配布ツリーを作成してマルチキャストパケットをフラッディングします。
すると、レシーバが存在しないインタフェースや、RPFチェックが失敗するイ ンタフェースにもマルチキャストパケットがフラッディングされていくことが あります。マルチキャストパケットをフラッディングする必要のないインタフ ェースには、PIMのPruneメッセージによって、フラッディングをとめます。

上記の図の赤い丸印で囲っているところには、マルチキャストをフラッディン グする必要がありません。次の図のようにPIM Pruneメッセージでフラッディ ングをとめます。

Pruneメッセージを受信したインタフェースからはマルチキャストパケットの フラッディングを行わないようになります。ですが、フラッディングをとめる 時間はデフォルトで180秒間です。180秒後には、再びフラッディングを行い、 不必要なインタフェースにはPruneメッセージを送信します。

最終的なマルチキャストパケットがルーティングされていく経路と送信元ツリ ーを考えると次の図のようになります。

以上のように、PIM-DMでは、マルチキャストパケットをフラッディングしてル ーティングしていくという仕組みです。

※PIM-DMでは送信元ツリーの(S,G)エントリを作成するためのテンプレートと して、(*,G)エントリも作成します。この場合の(*,G)エントリは共有ツリーを 表すものではありません。

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