IPルーティング 再び その2

ルーティングテーブル

ルーティングテーブルとは、前述のようにIPパケットをルーティングするため
に参照するネットワークのルート情報を記載したテーブル(データベース)です。
ネットワーク機器ベンダによって、多少の違いはあるが、ルーティングテーブ
ルのルート情報として、主に以下のような情報が書かれています。

・あて先ネットワーク
あて先ネットワークはルータが把握しているネットワーク。ネットワークアド
レスとサブネットマスクの情報が入る。

・ネクストホップアドレス
ネクストホップアドレスはあて先ネットワークに到達するために、次に中継す
べきルータのIPアドレスです。あるルート情報がルーティングテーブルに載る
前提として、ネクストホップアドレスに到達可能でなくてはいけません。その
ため、通常、ネクストホップアドレスは、直接接続されているネットワークの
アドレスとなります。

・メトリック
メトリックはルータから見たあて先ネットワークまでの「距離」を示す数値で
す。距離といっても物理的な距離ではなく「ホップ数」「ネットワークの速度」
「ネットワークの信頼性」などのさまざまな要素を考慮した、ネットワーク的
な観点での距離です。距離は短い方が優先されます。つまり、メトリックの値
が小さい方が優先されます。

・出力インタフェース
あて先ネットワークに到達するための出力するルータのインタフェースの情報。
あて先ネットワークがどの「方向」であるかを示しているものともいえます。
ルータは出力インタフェースの種類によって、IPパケットを適切なデータリン
クヘッダでカプセル化して、ネットワークへ送出します。たとえば、出力イン
タフェースがイーサネットであれば、イーサネットヘッダでIPパケットをカプ
セル化します。出力インタフェースがシリアルインタフェースで、PPPの設定
がされていれば、IPパケットをPPPヘッダでカプセル化して送出します。

・情報源
ルート情報をどのように学習したかを示します。直接接続やスタティック設定
したもの、ルーティングプロトコルでダイナミックに学習したものなどがあり
ます。

・アドミニストレイティブディスタンス(シスコ独自)
ルート情報の情報源の信頼性を表し、値が小さいほど信頼性が高くなります。
シスコ以外のベンダでも同じような意味の情報があります。

・経過時間
ルート情報を学習してから経過した時間。ルーティングプロトコルによって学
習したルート情報についてのみ経過時間が記されます。RIP(Routing Information Protocol)
などルーティングプロトコルの中には、一定時間他のルータからルート情報を
受け取らなければ、障害が発生したとみなすものがあります。

ルーティングテーブルに記述されている情報として、一般的な情報は以上です。
具体的なルーティングテーブルの例として、Ciscoルータのルーティングテー
ブルを以下に紹介します。



図 ルーティングテーブルの例(Cisco)