はじめてのLAN構築講座 その1

とても身近になったLAN

ちょっと前まで家庭内でLANを組むというと、何台もパソコンを持っているよ
うな人だけの話でした。でも、最近は何台もパソコンを持っているような人だ
けの話ではなくなっています。

ちょっと考えてみると、パソコン以外にも

  • テレビ
  • DVD/HDレコーダ
  • ゲーム機

といった機器をLANに接続して、インターネットへアクセスしいろんなサービ
スを利用できるようになっています。

こんな風に身近になっているLANです。
ただ単に、マニュアルに書いているとおりに配線や設定をするだけじゃなくて、
きちんとLANの仕組みを知りたいと思っている方も多いでしょう。そんな方の
ために、LANの基本から解説します。

予定している内容は下記の通りです。

  • LANの仕組みと規格
  • LANを構築するために必要な要素
  • 無線LANの仕組み
  • LANで通信するためのTCP/IPの設定
  • NAS(Network Attached Strage)の活用
  • LANのトラブルシューティング

有線/無線LANの規格や通信の仕組みを知った上で、TCP/IPの設定の意味が理解
できるようになっていただきたいと思います。

さらに、最近とてもお得になってきたNASを導入して、デジタルコンテンツの
共有について解説します。そして、実際にぼくが活用していますが、フリーソ
フトを利用して毎日NASに大事なファイルを自動バックアップする構成も紹介
たいと考えています。

また、何かトラブルがあった場合に、どこをどう確認すればいいのかというト
ラブルシューティングの指針についても解説します。

LANとは

まずは、LANとはどんなものかについて考えましょう。
LANはLocal Area Networkの略で、地理的に狭い範囲のネットワークのことを
いいます。新聞の記事でLANが出てくるとたいてい「構内通信網」なんていう
訳がつけられていますね。「構内」すなわち、地理的に狭い範囲といってもい
ろいろです。
一家庭の中もそうですし、企業の拠点や学校も「構内(地理的に狭い範囲)」と
して考えられます。LANの定義は、名前の中に含まれている「Local Area」か
ら、地理的な範囲が主になっているように思えます。
ですが、実態としてはLANの定義は、利用するユーザ自らが構築・運用管理を
行うネットワーク全体としてとらえた方がいいでしょう。

一家庭であっても、企業の拠点や学校であっても、そのユーザ自身がネットワ
ーク機器を購入して、設置・配線や設定を行い、ネットワークを利用しようと
いうのがLANです。LANを構築してしまえば、そのLAN内の通信は自由に行うこ
とができます。LAN内の通信では通信料金は不要です。

LANとよく対比される言葉でWAN(Wide Area Network)があります。名前を見る
と、Wide Area、つまり広い範囲のネットワークということになります。です
が、範囲うんぬんよりも、WANはLAN同士を接続するための通信事業者のサービ
スととらえる方がいいでしょう。

ひとつのLANの中では、そのLANのユーザは自由に通信ができます。ただ、ひと
つのLAN内だけでの通信にとどまるとできることが限られてしまいます。他の
LANとの相互通信ができれば、ネットワークの利便性が高まります。
ですが、他のLANと通信するためのネットワークを自前で用意しようとすると
とても大変です。たとえば、企業の本社のLANと大阪支社のLANで相互通信させ
るために、東京-大阪間でケーブルを敷設するなんて普通はできません。
そこで、他のLANとの相互通信をするために、NTTなどの通信事業者が用意して
いるネットワーク、つまりWANを利用します。
WANには、専用線や広域イーサネット、IP-VPNなどさまざまな種類があります。
ユーザはLAN同士で相互通信するために、どれがいいのか選びます。通信事業
者のネットワークを利用させてもらうので、WANを利用する場合は通信料金が
かかります。

lan01.gif
図 LANとWAN