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平成16年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅱ 問2設問1解答と解説

(所属カテゴリー:ネットワークスペシャリスト---投稿日時:2008年9月30日)

解答

【a】ダウンロード
【b】サーバ
【c】優先制御
【d】SAN 又は ストレージエリアネットワーク 又は FC-SAN
【e】グループ
【f】プログラム

解説

(a)
まず用語を整理してみましょう。
ストリーミングとは、音声・動画ファイルなどをインターネット等のネットワークを経由して配信する技術です。ユーザはデータを受け取りながら同時に再生することができるため、すべてのデータを受信するのを無駄に待つ必要がなく、ダウンロード時間が大幅に短縮されます。

ストリーミングはさらに「ライブ」と「オンデマンド」の2種類に分けられます。また、ストリーミング以外では、従来からの映像配信方法として「ダウンロード型」があります。まとめると次のとおりです。

H16A2-2-1pic1.JPG

ライブ配信
文字通りライブでの配信です。会場での映像を、リアルタイムでインターネット等に配信します。コンサートや国会のインターネット中継などが有名ですね。会場での映像をリアルタイムでエンコードし、ストリーミングサーバにアップロード、配信することになります。

オンデマンド配信
VOD(Video On Demand)ともいいますね。「オンデマンド」とは、ユーザが欲しい時に必要に応じて情報が取り出せることです。映像は事前に録画しておき、ストリーミングサーバにアップロードされます。それをユーザが見たいときにいつでも見られるというものです。オンデマンド配信で代表的なものとしては、株式投資関連ニュースや、オンラインセミナー、最近は企業がTV CMをストリーミングとしてWebのコンテンツにしているところも多いようです。

ダウンロード型
これは単純にCD-ROMなどで映像データをやり取りする変わりに、FTPサーバ等を介してファイルをダウンロードするというものですね。データをいったんHDDに保存して再生するという従来からの方法であるため、ストリーミングではありません。

というわけで、【a】の空欄には「ダウンロード」が当てはまります。

(b)
(b)(c)は映像配信サービスのQoSに関する問題です。映像や音声は一般にパケットロス、遅延、ジッタ等のネットワーク品質の劣化の影響を受けやすいため、サービス品質確保のためにQoSを考えることが大事です。もっともこの問題自体は詳細な知識が無くても解答できるものですよね。

【b】から送信される映像情報を含んだパケットが、予約された帯域で転送されることになります。

【b】には「サーバ」が当てはまります。映像を送信するものは、サーバしかありません。これは直感的に分かるでしょう。また、後述するように、Intservではエンドポイント間での帯域が予約されるため、サーバ~PC間の帯域が予約されることになります。

QoS制御を実現する技術として、大きくIntservとDiffserfの2つがあります。I係長が説明している「RSVP」とはIntservを実現するためにリソース予約を行うプロトコルとして使用されているものです。

Intserv
エンドポイント間(端末~端末間)でのアプリケーションフローを認識し、事前にそのフローごとにネットワークリソースを予約する方式です。 送信側アプリケーションは、送信するトラフィックの特性(レートやバースト量など)を、受信側アプリケーションは、必要となる条件(帯域、遅延など)をそれぞれネットワークに対して事前に通知することで、ネットワーク上の各ノードは、アプリケーションの要求が満たされるようにリソースの確保を行います。そのリソース予約のために使用されるプロトコルがRSVPです。

ただしネットワーク上には多くのアプリケーションフローが存在するため、その1つ1つに対してリソースを予約するのは効率的ではなく、またRSVPプロトコル自体が複雑なことなどから、現実的にはあまり利用されていないようです。現在の企業ネットワークでのQoS技術としては、後述するDiffservの方が一般的ですね。(というか99%がこれだと思います)DiffservはRSVP等のシグナリング手順を使用する必要が無いため、シンプルであり、フローを区別しないため拡張性にも優れています。

H16A2-2-1pic2.JPG

Diffserv
トラフィックをアプリケーション毎にクラス分けを実施し、そのクラス毎にQoSを提供する方式です。Intservのように個々のアプリケーションフローを区別するのではなく、特定のクラスを優先的に送信したり、クラス毎に帯域を確保したりすることができます。パケットのクラスを識別するために、IPヘッダのTOS(Type Of Service)フィールドにおけるDSCP(DiffServ Code Point)や、IEEE802.1Q VLANタグ内のPriorityビットなどが使用されます。各ノードはパケット毎にDSCPなどのビットを見てクラスを識別し、そのクラスのポリシーに応じてパケット転送を実施します。クラスの定義はユーザが自由に設定でき、また個々のアプリケーションを集約したクラス単位でのQoS制御を実施するため、Intservと比較して拡張性があります。

H16A2-2-1pic3.JPG

H16A2-2-1pic4.JPG

(c)
【c】には「優先制御」が当てはまります。これも「帯域制御」と「優先制御」という言葉を知っていればすぐに解答できるでしょう。

帯域制御とは、トラフィックの種類毎に、一定の回線帯域を確保する方式です。例えばA,B,Cという3つのアプリケーションに対して、回線帯域をそれぞれ20%、30%、50%割り当てる、というような制御ができます。この制御を実施することで、仮にアプリケーションA,Bのデータがバーストしたとしても、アプリケーションCには常に回線帯域の50%が確保されることになり、最低限のサービス品質を守ることができます。

一方、優先度の高いトラフィックを無条件に優先してパケットを送信する機能を優先制御といいます。例えば音声(VoIP)とデータが混在したネットワークの場合、音声パケットをデータパケットよりも常に優先して送信し、遅延を抑えるなどの使い方があります。

Diffservでは、この帯域制御における帯域の割り当てや優先度は、ルータなどのそれぞれのノードでユーザが自由に設定できます。これは各ノードを全くばらばらに設定することも可能だと言うことを意味しています。よってネットワーク全体を統一されたポリシーで設定しないと、あまり意味がないということになります。

ただし、この問題文の記載は誤解を与える表現ですね。「RSVP = 帯域制御」、「Diffserv = 優先制御」、のような印象を与えますが、実際にはDiffservは優先制御、帯域制御のどちらでも対応可能です。CiscoのLLQのように、帯域制御と優先制御を組み合わせた方式もあり、一般的に使われています。誤解しないようにしてください。

(d)
これは言葉を知っているかどうかが問われる問題ですね。LANとは別に、サーバとストレージを接続するために構築されたネットワークを「SAN(Storage Area Network)」といいます。
SANでは通常ファイバチャネル(Fibre Channel:FC)といわれるプロトコルが使用されています。ファイバチャネルは物理的には光ファイバが使用され、最大4Gb/sまでが標準化されています。またデータ転送がハードウェアベースで実施されるため、CPU等のサーバリソースを使用することなく、高速なデータ転送が可能です。

図4の「FC-SW」とは、ファイバチャネルスイッチのことですね。SANにはさまざまなメリットがありますが、その1つがストレージ資源の共有です。FC-SWを使用することで、1台のストレージを複数のサーバで共有することができ、ストレージの利用効率の向上や、管理コストの低減につながります。

最近はSANを利用したディザスタリカバリも注目を浴びていますね。大地震やテロなどの大規模災害に備えてデータの保管やバックアップシステムの構築等を行うことを、「ディザスタリカバリ」といいます。例えばストレージを地理的に離れた箇所に分散し、データの遠隔ミラーリング等を行うことができます。ファイバチャネルはIPネットワークよりも効率的、高速にデータ転送することができるため、こういった大容量データのバックアップにも向いています。

SANについては「@IT」の以下の記事が非常に参考になります。

http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/tokusyuu/14san/san01.html

(e)
IPネットワーク技術者でしたら、「ユニキャスト」「ブロードキャスト」「マルチキャスト」という言葉は知っているでしょうが、マルチキャスト通信を使用するユーザはある程度限られるため、「マルチキャストグループ」という言葉はなじみが無いかもしれません。

H16A2-2-1pic5.JPG

上の図はサーバとクライアントが同一セグメントの構成です。マルチキャストはブロードキャストと同じく、ルータを越えて転送されませんので、サーバとクライアントの間にルータネットワークが存在する場合はそのままでは通信できません。そこでIGMPやマルチキャストルーティングプロトコルなど、ルータが適切にマルチキャストパケットを転送するための技術が標準化されています。インターネットでマルチキャスト通信を実現するためにはこういった技術が必須ですが、まだマルチキャスト通信を提供しているISPは少ないようです。

(f)
図6の⑥では、サービスメニューとともに、なんらかのプログラムを送信していると考えられます。PCは受信したプログラムを実行することで、複数のキャッシュサーバとのパケット転送時間を計測します。各PCが接続の都度転送速度を計測するため、その時々のネットワーク状況が考慮された最適なサーバを決定することができます。この辺りのキャッシュサーバの選択技術は、CDN事業者でもそれぞれ独自の工夫がなされていることが多いようです。
また、JAVAアプレットのようにブラウザが自動的に実行するプログラムであれば、ユーザがプログラムによる速度の計測を意識することなく、最適なキャッシュサーバに接続することができます。

PCは、受信した【f】を実行させて・・・

という文章を見ても、「PC」が「実行」するものなので、答えが連想できますよね。 このように、サーバからクライアントのWebブラウザに送信されて実行されるJAVAなどのプログラムを「アプレット」といいます。逆にWebサーバ上で実行されるプログラムを「サーブレット」といいます。
【f】にあてはまる答えとしては、「プログラム」でよいでしょう。



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