平成15年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ 問4設問1解答と解説

目次

解答

(1)【a】 表示用のHTMLファイル作成 (14字)

(2)【b】 TCP
【c】 ECサーバ
【d】 ブラウザ

(3)発信元IPアドレスとブラウザは必ずしも1対1に対応しないから(30字)

解説

Webを利用した3階層クライアントサーバ型システムに関する問題です。

(1)
受発注プログラムの実装モデルにおける各コンポーネントの役割についての問題です。問題文に書かれているブラウザからの処理要求の流れをまとめると、次のようになります。

H15A1-4-1pic1.JPG

コンポーネントAが全体のサーバ処理を制御しています。コンポーネントAに必要な機能は、

  • 要求の処理内容の判断
  • ソフトウェアコンポーネント間の処理に利用するデータの受け渡し

などでしょう。また、コンポーネントBは受発注処理のビジネスロジックなので、コンポーネントBに必要な機能は、受発注や見積もりに伴う

  • 在庫検索
  • 在庫更新

など、データベースの検索、更新機能だと考えられます。コンポーネントCは、図のデータの流れを見ると、ブラウザへの返事を出しているのがコンポーネントCであることがわかります。コンポーネントBによって、ブラウザから要求された処理を実行し、データベースからデータを取り出します。しかし、このデータは生のデータです。コンポーネントAからコンポーネントCへ生のデータを引き渡し、生のデータからブラウザで表示できるHTMLファイルを生成する必要があります。
つまり、コンポーネントCの機能は、生のデータからブラウザで表示できるHTMLファイルを作成する機能であることがわかります。

(2)
【b】
HTTPセッションは、Webページを1 つ開くごとに終了します。別のWebページに移動すると、そのWebページを開くための別のHTTPセッションが開始されます。
HTTPはアプリケーション層プロトコルで、トランスポート層にTCPを利用します。新しいHTTPセッションを開始するためには、その下位層にあたるTCPコネクションも新しく確立する必要があります。

なお、HTTP1.0までは同じWebページに画像ファイルなどがあった場合、HTMLファイルをダウンロードするためのTCPコネクションと画像ファイルをダウンロードするためのTCPコネクションを別々に確立していました。しかし、HTTP1.1では1つのTCPコネクションでHTMLファイル、画像ファイルをダウンロードできるようになっています。

【c】
Cookieについての知識を問う問題です。Cookieとは、IT用語辞典 e-Wordsによると

Webサイトの提供者が、Webブラウザを通じて訪問者のコンピュータに一時的にデータを書き込んで保存させるしくみ。
Cookieにはユーザに関する情報や最後にサイトを訪れた日時、そのサイトの訪問回数などを記録しておくことができる。Cookieはユーザの識別に使われ、認証システムや、WWWによるサービスをユーザごとにカスタマイズするパーソナライズシステムの要素技術として利用される。

※IT用語辞典 e-Words(http://e-words.jp )より引用

という意味です。主にユーザ識別や複数のWebページ間でのセッション維持に利用されています。Cookieによるユーザ識別の仕組みは、次の図のようになります。

H15A1-4-1pic2.JPG

つまり、【c】はWebサーバ、この問題の場合ではECサーバです。

【d】
上記より、【d】はブラウザが入ります。

(3)
アクセス元を識別することについての問題は、過去にも何度か出題されています。送信元IPアドレスを使ってアクセス元を判断するのは、すべてのコンピュータが一意のIPアドレスを使っている環境ならば可能です。
しかし、通常は、社内LANや家庭内LANではコンピュータにプライベートアドレスを設定し、インターネットに接続するルータやファイアウォールでNAT(IPマスカレード)によって、送信元IPアドレスをグローバルアドレスに変換します。言い換えると、複数のコンピュータがグローバルアドレスを共用することになります。そのため、送信元IPアドレスではアクセス元のコンピュータを識別できません。アクセス元のコンピュータが識別できなれければ、当然、ブラウザも識別できません。