平成16年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ 問1設問1解答と解説

目次

解答

【ア】 プライベート
【イ】 ユニ
【ウ】 ブロード
【エ】 フレームタイプ

解説

IPアドレッシングとIPネットワークにおける基本的な知識が問われる問題です。確実に正答したいところですね。

IPアドレスは、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスに分類されます。グローバルIPアドレスはインターネット上で一意的に割り当てられたIPアドレスであり、プライベートIPアドレスは企業のイントラネットなどで自由に使用できるIPアドレスとして定義されたものです。
プライベートIPアドレスはRFC1918で以下の通り定義されています。

クラスA:10.0.0.0~10.255.255.255
クラスB:172.16.0.0~172.31.255.255
クラスC:192.168.0.0~192.168.255.255

設問の【ア】は、社内で使用されているアドレスであり、また10.0.0.0/8を使用していることから、「プライベート」アドレスであることが分かります。

【イ】【ウ】はイーサネット通信の種別を答える問題です。○○キャストまで問題に記載されているので、「ユニキャスト」「ブロードキャスト」「マルチキャスト」のどれかが答えにあてはまると想像がつきますよね。

ユニキャスト : 単一のアドレスを指定して送信する通信
ブロードキャスト : ネットワーク全体を表す特別なアドレスに対して送信する通信
マルチキャスト : 複数の相手(特定のグループ)に対してデータを送信する通信

この言葉の意味を理解していれば、簡単に回答できると思います。
こういった通信の種別がIPネットワークでは存在することを知っていても、イーサネットでも同様の区別があることはあまり意識されないかもしれません。イーサネットでもIPパケットと同様に、「ユニキャスト」「ブロードキャスト」「マルチキャスト」の区別が存在することを覚えておきましょう。
なおイーサネットのブロードキャストフレームは、宛先MACアドレスが「FF-FF-FF-FF-FF-FF(すべてのビットが1)」になります。マルチキャストの場合の宛先MACは、転送する上位レイヤによって異なります。

レイヤ2スイッチ(L2SW)がブロードキャストまたはマルチキャストフレームを受信した場合、同一VLAN内のすべてのポート(受信ポートは除く)にフラッディングします。
ユニキャストフレームを受信した場合は、宛先MACアドレスを持つ機器がつながっているポートのみに転送されます。L2SWは受信するフレームを常にチェックし、どのポートにどのMACアドレスを持つ機器が存在するかをデータベースに記録しているため、適切なポートだけにフレームを転送することができます。ではデータベースに存在しない宛先のフレームを受信した場合はどうなるかというと、ブロードキャスト、マルチキャストと同様にフラッディングされます。まとめると以下の通りになります。

L2SWの動作
ブロードキャストフレームを受信した場合
同一VLAN内の受信ポート以外のすべてのポートにフラッディング

マルチキャストフレームを受信した場合
同一VLAN内の受信ポート以外のすべてのポートにフラッディング(ブロードキャストと同様)

ユニキャストフレームを受信した場合(宛先MACがデータベースに存在する場合)
宛先MACを持つ機器がつながっているポートのみへ転送

ユニキャストフレームを受信した場合(宛先MACがデータベースに存在しない場合)
同一VLAN内の受信ポート以外のすべてのポートにフラッディング(ブロードキャストと同様)

このL2SWの動作はネットワークの基本なので、合わせて理解しておきましょう。
では問題に戻ります。

GSとPCが1対1で通信する【イ】キャストフレーム

1対1の通信は「ユニキャスト」ですよね。

GSからすべてのPCに通知される【ウ】キャストフレーム

ここで、「すべてのPC」とあるのがポイントです。不特定多数に送信する形態は「ブロードキャスト」です。特定のグループに対して送信される場合は「マルチキャスト」です。

【エ】はイーサネットのフレームフォーマットを覚えているかどうかがポイントです。
次のイーサネットフレームフォーマットを確認しておきましょう。

H16A1-1-1pic1.JPG

「長さ/タイプ」フィールドは、イーサネットフレームがIEEE802.3準拠の場合は「長さ」、イーサネットver.2準拠の場合は「タイプ」となります。これらのフレームフォーマットは互換性があり、書籍等でもこの2つのフォーマットについて解説されていることが多く、「長さ」と「タイプ」の両方の答えが考えられるため迷うかもしれません。しかしこの問題では

【エ】フィールドの値によって独自プロトコルを指定することも考えられます

と記載されていますよね。「タイプ」フィールドは上位プロトコルを指定するのに使用し、「長さ」フィールドは、後に続くデータ部の長さを指定するのに使用されます。よって独自プロトコル(上位プロトコル)を指定できるのは、「タイプ」フィールドということになり、【エ】は「タイプ」が当てはまります。


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