平成16年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ 問3設問4解答と解説

目次

解答

(1)プロキシサーバのIPアドレス設定を本社のDMZ上のものからIGWのものに変更する(40字)

(2)①アクセス回線帯域を増速するから(15字)
②インターネット接続速度が向上するから(18字)
③本社内LANを経由しないから(14字)

解説

(1)
新ネットワークへ移行する際は、各拠点でどういった作業が必要になるかという具体的なイメージを持つことが大事です。今回のS社のネットワーク変更では、インターネット接続がこれまでの本社経由から、広域イーサのIGW(インターネットゲートウェイ)経由に変更になる点が要注意です。
IGWとは、通信事業者の網から直接インターネットに抜けるゲートウェイを提供してもらうサービスです。これを利用することで、本社に引き込んでいたインターネット接続回線が不要になります。また、各種サーバがパッケージとなって提供されたり、安価なインターネット接続環境が構築できます。今回はZ氏が

IGWでは、FW、プロキシサーバ及びメールサーバを利用できます。

と言っているので、FW、プロキシ、メールサーバがパッケージ化されているものを利用すると思われます。
この場合、プロキシサーバのIPアドレスも変更になるため、各拠点のブラウザでは、プロキシの設定変更が必要になります。これを50字以内でまとめると、

プロキシサーバのIPアドレス設定を本社のDMZ上のものからIGWのものに変更する(40字)

となります。

H16A1-3-4pic1.JPG

H16A1-3-4pic2.JPG

(2)
新ネットワークへの移行前、移行後のネットワーク構成図を比較し、変更点を整理すれば、インターネット応答時間が改善されるポイントが見えてきます。応答時間の改善というと少し複雑に聞こえますが、単純にスループットの向上する理由を回答すると考えてよいでしょう。

上の図を見てみると、工場及び営業所における移行前のインターネット通信は

PC ~ 128k ~ FR網 ~ 1.5M ~ 本社LAN ~ 1.5M ~ インターネット

という経路になります。一方新ネットワークへの移行後のインターネット通信は

PC ~ ADSL1.5M ~ 広域イーサ網 ~ IGW ~ 2M ~ インターネット

となります。

これを比較すると見えてくるのは

①工場及び営業店のアクセス回線高速化
 128kからADSL1.5Mに増速しているため、明らかにスループット改善の要因になりますね。

②インターネット接続帯域の高速化
 本社から1.5Mで接続していたものが、IGWに変更する際に2Mに増速しています。これも単純な増速なのでスループット向上につながります。本文中では2Mに増速したとの記載はありませんが、新ネットワーク図や料金表に、「2M」と明記されています。見落とさないようにしましょう。

③インターネットへのシンプルな接続
 変更前は、各拠点からいったん本社内LANを経由してインターネットに接続されていました。新ネットワークでは、各拠点から本社を経由せずに直接インターネットに抜けることができます。本社内LANを経由するということは、複数台のルータやSWを余計に経由することになるので、直接インターネットに接続する場合と比べて、論理的な距離が遠いということが言えます。経由する機器の数が少なければ、それだけ遅延時間の改善にもつながります。つまりIGWを利用した構成よって、インターネットまでの伝送遅延時間が小さくなり、スループットが向上すると考えられます。
これらをそれぞれ20字以内でまとめると

①アクセス回線帯域を増速するから(15字)
②インターネット接続速度が向上するから(18字)
③本社内LANを経由しないから(14字)

となります。


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