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(所属カテゴリー:IPルーティング | シスコ---投稿日時:2009年9月25日)
R1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ router eigrp 1 distance 89 192.168.123.3 0.0.0.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ルーティングテーブルには、特定のネットワークに対する最適なルート情報を登録します。同じネットワークに対して複数のルート情報がある場合、最適なものを選択しなければいけません。そのための基準が、
ルーティングテーブルに登録されるルート情報を制御するためには、メトリックまたはアドミニストレーティブディスタンスを調整します。どちらも値が小さい方が優先されます。
あまり意識されないのですが、アドミニストレーティブディスタンスの調整は同じルーティングプロセスで学習しているルート情報に対しても可能です。アドミニストレーティブディスタンスを利用するのは、あるネットワークのルート情報をEIGRPとOSPF両方で学習しているときに、OSPFを優先したいというような場合がほとんどです。ですが、この問題のように192.168.23.0/24をEIGRPで2つ学習しているときにもアドミニストレーティブディスタンスによる制御が可能です。
R1でR3から受信したEIGRPルートのアドミニストレーティブディスタンス値を小さくすれば、R1のルーティングテーブルには192.168.23.0/24のルートとして等コストロードバランスではなく、R3をネクストホップとするルート情報が登録されます。そのための設定は、解答に示したように次のように行います。
R1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ router eigrp 1 distance 89 192.168.123.3 0.0.0.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この設定により、192.168.123.3から受信したEIGRPルートのアドミニストレーティブディスタンス値を89にします。設定後、R1のルーティングテーブルは次のようになります。
R1 アドミニストレーティブディスタンス変更後のルーティングテーブル
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ R1#show ip route Codes: C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2 E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2 i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2 ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route o - ODR, P - periodic downloaded static route Gateway of last resort is not set C 192.168.123.0/24 is directly connected, FastEthernet0/0.123 D 192.168.23.0/24 [89/30720] via 192.168.123.3, 00:00:07, FastEthernet0/0.123 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
R3(192.168.123.3)から受信したルートのアドミニストレーティブディスタンス値がデフォルトの90から89へ変更されていることがわかります。ただ、R1のEIGRPトポロジーテーブル上では変更ありません。
R1 EIGRPトポロジーテーブル ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ R1#show ip eigrp topology IP-EIGRP Topology Table for AS(1)/ID(192.168.123.1) Codes: P - Passive, A - Active, U - Update, Q - Query, R - Reply, r - reply Status, s - sia Status P 192.168.123.0/24, 1 successors, FD is 28160 via Connected, FastEthernet0/0.123 P 192.168.23.0/24, 1 successors, FD is 30720 via 192.168.123.3 (30720/28160), FastEthernet0/0.123 via 192.168.123.2 (30720/28160), FastEthernet0/0.123 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
R2(192.168.123.2)とR3(192.168.123.3)から受信したルートのメトリック(FD)が同じ30720で両方ともサクセサです。
この問題のようにアドミニストレーティブディスタンスの制御は、異なるルーティングプロセスのルートだけでなく同じルーティングプロセス内のルートでも可能だということをぜひ知っておいてください。
以下、アドミニストレーティブディスタンス値を変更する設定についての補足です。 アドミニストレーティブディスタンスを変更するには、ルーティングプロトコルのコンフィグレーションモードでdistanceコマンドによって、アドミニストレーティブディスタンスを変更することができます。distanceコマンドの構文は次のとおりです。
(config-router)#distance ‹AD-value› {neibhbor-address} {wildcard-mask} {ACL}distanceコマンドのあとに設定したいアドミニストレイティブディスタンス値を指定すると、そのルーティングプロトコルのすべてのルートのアドミニストレイティブディスタンスが変更されます。{neibhbor-address} {wildcard-mask}によって、特定のネイバーから受信したルートのアドミニストレイティブディスタンスを変更することができます。なお、{neibhbor-address} {wildcard-mask}の指定を0.0.0.0 255.255.255.255とすると、「any」の意味です。また、最後にアクセスリスト番号を関連付けることによって、アクセスリストでpermitされたルートのアドミニストレイティブディスタンスだけを変更することができます。
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「NE向けセミナー「複数のルーティングプロトコルを使いこなす!」教材セット」
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