NETWORK WORLD 2005.4 『ズバリ解説!IEEE802.11 P104~P117』 by Gene

いまでは、もう家庭でも企業でもいろんなところで導入されている無線LAN。無線LANの一番のメリットは、なんといっても、邪魔なケーブルがいらないということですね。でも、無線LANでは、

  • セキュリティが心配
  • 有線LANに比べると通信速度が出ない

などの不安があります。
特に企業で導入するときには、セキュリティ上の不安から二の足を踏んでいるところも多かったと思います。

でも、いつまでも「セキュリティ」「通信速度」の問題を放置しているわけではなく、さまざまな新しい技術が開発されています。それらの技術は、IEEEで標準化され、「IEEE802.11」で規格化されています。IEEE802.11と一口に言っても、IEEE802.11bやIEEE802.11gなどさまざまな規格があります。
そうしたIEEE802.11について、IEEE802.11b/a/gなどの基本的な内容から、セキュリティを高めるためのIEEE802.11i、高速化するためのIEEE802.11nなどについて解説しているのが、今回取り上げている記事です。

記事は次のような3部構成になっています。

  • Introduction
    無線LAN=IEEE802.11となった経緯やIEEE802.11以外の無線(Bluetoothなど)、IEEE802.11やWi-Fiについて
  • Part1
    いま一般的に使われているIEEE802.11b/a/gについての簡単な解説、IEEE802.11iの必要性、IEEE802.11FやIEEE802.11jについて
  • Part2
    現在策定中のQoS規格(IEEE802.11e)、高速ローミング機能(IEEE802.11r)、100Mbps超の速度を実現するためのIEEE802.11nなど

「Introduction」、「Part1」のだいたいのところは、すでに知っていることだったので、さーっと読み飛ばしました。Part1の最後のIEEE802.11FとIEEE802.11jのところはちょっと気になりました。
屋外で無線LANを使ったモバイルブロードバンドインターネットアクセスのサービスもそのうち提供されるんだろうと思います(というか、早くそんなサービスをはじめてもらいたいですが)。
移動しながら使うときには、接続するアクセスポイントを切り替えるローミングを行うのがIEEE802.11Fだそうです。細かい仕組みまでは書かれていないのですが、これはあくまでも無線LANの接続だけの話なんですよね、きっと。移動しながら使うときには、無線LANの接続のローミングに加えて、TCP/IPの設
定をどうするか考えないといけないはずです。おそらく、IEEE802.11FにMobile IPを組み合わせて使うことになるんでしょうけど、その辺のことについて詳しく知りたいなって思いました。
それと、「NETWORK WORLD」の記事ではないのですが、こないだ「日経コミュニケーション」で、地方都市でのブロードバンドアクセスの導入に関するレポートが載せられていました。地方の過疎地域では、ADSLやFTTHなどのブロードバンドアクセス回線を提供するISPやキャリアが少なく、都市部とのデジタル
デバイド(情報格差)が広がっていくという記事がありました。この問題に対するひとつの解決策が無線LANの利用でした。日経コミュニケーションの記事では、特に規格名は挙げられていませんでしたが、IEEE802.11jを指しているんだろうなぁなんてことを思いました。

また、無線VoIP端末もこれから増えてくるでしょう。無線でVoIPを優先的に転送するための規格がPart2の冒頭に開設されているIEEE802.11eです。残念ながら、仕組みまでは記事を読んだだけではよくわかりません。やりたいことは、4段階のアクセスカテゴリーというものに分けて、EDCA(Enhanced Distributed
Channel Access)というアクセス制御方式に従って、VoIPのパケットを優先的に送信するようです。どうやって、VoIPのパケットであることを認識してカテゴリー分けするんだろうって疑問です。あと、P114の図6がよくわかりません・・・有線と無線の優先度のマッピングを表で表しているのですが、有線のところのIEEE802.1Dユーザプライオリティってなんだろう???IEEE802.1pならわかるんですが。IEEE802.1Dだったら、スパニングツリーの規格なので、違うような気がします。それともぼくが知らないだけなのか???
IEEE802.11eで優先制御ができるらしいのですが、実際の運用ではあまり必要ないかもしれないっていうのには、ちょっと笑っちゃいました。実際の運用では無線VoIP端末は2.4GHzの周波数帯を利用して、データは5GHzの周波数帯を利用することが多いようです。なるほど、物理的に周波数帯をわけてしまえば、難しい制御しなくていいので、こちらの方が使いやすそうですね。

Part2で、あと気になった内容としては、このところよく目にするMIMO(Multiple Input Multiple Output)についてですね。無線LANはいまでは、理論値として54Mbpsの通信速度です。これを高速化するためにアンテナを多重化して通信速度を向上させる機能がMIMOです。もうすでに、米エアゴーネットワークスがMIMOの機能をIEEE802.11aやIEEE802.11gで実現して、製品にも実装しています。
このMIMOをベースにして、標準化を進めているのがIEEE802.11nになるわけですね。ただ、標準化の主導権をめぐって、「TGn Sync」と「WWiSE」という2つの企業連合がせめぎあっているようです。TGn Syncは、インテル、シスコ、アギアシステムズ、アセロスコミュニケーションズ、フィリップスエレクトロニクス、ソニー、東芝、松下電器産業、三洋電機などで校正されています。対するWWiSEは、エアゴーネットワークス、ブロードコム、コネクサントシステムズ、テキサスインスツルメンツなどです。う~ん、次世代DVDの規格争いみたいだ(笑)。

全体的にあくまでも「概要」レベルで、IEEE802.11の代表的な規格について紹介しているという内容です。詳しい仕組みや実際の実装を考えていくうえでは、今回の記事の内容だけではぜんぜん足りないでしょう。ぼくは、いまのところ無線LANについては、詳しく勉強する予定はないのですが、リファレンスとし
て何冊か本を買っておこうかなと。Amazonで調べてみたら

802.11高速無線LAN教科書
802.11高速無線LAN教科書

IEEE802.11無線LAN
IEEE802.11無線LAN

が妥当な感じです。


『IEEE802.11がなんとなくわかった気になる度』:★★★★☆

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