平成14年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ問1設問1解答と解説

目次

解答

(1)【a】 11
【b】 4
【c】 104

(2)① エ ISM
② イ ESS ID
③ Wi-Fi

解説

(1)
無線LANについての基礎知識を確認する穴埋め問題です。

※この問題に限ったことではないのですが、穴埋め問題がすぐにわかるかどうかを問題選択の基準に考えるといいと思います。穴埋め問題ができないようでは、得点するのは難しいので。

まずは、無線LANの規格についてです。現在、無線LANの規格は以下の3種類が有名です。

IEEE802.11b
いま一番普及している無線LAN規格です。最大11Mbpsで2.4GHzの周波数を利用します。つい最近、IntelがCentrinoブランドとして、11bの処理を行うチップをCPUに載せて発売しましたね。それと同時に、NECやSonyなどのメーカーがいっせいに新製品を出したのが記憶に新しいと思います。

IEEE802.11a
最大54Mbpsで通信を行うことができます。ただし、11bと異なる周波数を利用するので、11bとの互換性はありません。ただ、この規格自体が将来どうなるのか?といことはまだまだ不透明です。アップルがすでに11aを見限ったというニュースも流れています。

http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000047668,20051988,00.htm

IEEE802.11g
ドラフト段階(2003年夏に標準化予定)ですが、11bと同じ2.4GHzの周波数を利用して最大54Mbpsの通信を行うことができる規格です。ドラフト段階でも製品の出荷が始まっていて、なんといっても最も普及している11bとの互換がある点がメリットでしょう。ただし、11bとの混在環境では、54Mbpsの通信速度がでません

それぞれ使用する最大通信速度と周波数帯域、互換性をまとめると次のようになります。

規格名 最大通信速度 周波数帯域 互換性
IEEE802.11b 11Mbps 2.4GHz g
IEEE802.11a 54Mbps 5Ghz ×
IEEE802.11g 54Mbps 2.4GHz B

というわけで、【a】に当てはまるのは、「11」ですね。

そして、【b】ですが、これは単純な割り算をすればいいです。各チャネル22MHzで全体で100MHzなので、

100÷22 = 4.5454・・・

で「4」が正解です。
実際には、各チャネルを重ね合わせて、14個のチャネルになっています。

【c】は無線LANのセキュリティについてですね。無線LANはセキュリティに脆弱だということがよく言われています。無線LANは便利な分、セキュリティをちゃんと考えてあげないととても危険です。
無線LANでセキュリティを強化する方法には、次の3つがあります。

・ESS ID
無線LANアクセスポイントとクライアントが所属するグループを識別するIDです。このIDが異なるグループ間では通信ができないので、セキュリティを強化する方法として使うことができます。
でも、すべてのIDを受け入れる「Any」という設定や、ESS IDを自動検出する機能もあるので、これだけではほとんど役に立ちません。

・MACアドレスによるフィルタリング
無線LANカードにもMACアドレスがあります。アクセスポイントに接続を許可するMACアドレスを登録することによって、登録されていないMACアドレスからの通信をフィルタリングすることができます。
ただ、アクセスポイントを経由しないアドホックモードでは意味がありません。

・WEP(Wired Equivalnet Privacy)による暗号化
無線LANでやり取りをするデータを暗号化することによって、セキュリティを強化します。【c】の穴埋めにもっとも関連する方法です。

さて、WEPについてもう少し詳しく見ていきましょう。
WEPはデータリンク層のレベルでデータを暗号化します。ですから、ネットワーク層のプロトコルはIPじゃなくてもかまいません。(たぶん、ほぼ間違いなくIPになると思うけど)
で、WEPはアクセスポイントとクライアントで登録した暗号キーによって、データを暗号化します。この暗号キーの長さによって、暗号化の強度が異なり、64ビットと128ビットがあります。もちろん、128ビットの方が、暗号化の強度が高くなっています。
暗号キーは64ビットと128ビットあるとのことですが、実際にはそれぞれ24ビットのIV(Initial Vector)と呼ばれる制御情報が付加されるため、実際のキーは40ビット、104ビットになります。

よく無線LANの製品を見ると「128ビットWEP対応」と書かれていますが、IVを含んだキーの長さを表示している場合と、IVを含まないキーの長さを表示している場合で混在されていることがよくあります。

この問題文では、「40ビットと【c】ビット」とあるので、IVを含まないキーの長さを答えるほうがよいでしょう。
ですから、【c】に当てはまる解答は「104」となります。

なお、無線LANのセキュリティについては、以下のリンクが参考になります。
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/operation/wirelesswep/wirelesswep02.html

(2)
1.は知らないとまったく答えられないと思いますが、無線LANのIEEE802.11b/gで利用する周波数帯域には、ISM(Industry Science and Medical)バンドという名前が付けられています。
この名前の通り、産業、科学、医療用に使用されている周波数帯で、医療用のメスや電子レンジに利用されています。よく、電子レンジの側で無線LANを使うと電波の干渉が起こるという話を聴いたことがあると思います。というわけで、1.には「ISM」があてはります。

2.については、(1)の中で解説したように、無線LANのセキュリティを強化する方法として、「ESS ID」があります。

無線LANの相互接続の規格についての問題が3.ですね。ここには、「WiFi」が入ります。
WiFi Allianceという団体が無線LAN製品の相互接続試験を行い、試験に合格すると製品にWiFiのロゴをつけて発売することができるようになります。つまり、WiFiのロゴがついている製品同士は相互に通信ができることが保証されるわけです。
いま一般的に販売されている無線LANの製品にはほぼ間違いなくWiFiのロゴが入っていると思います。

WiFi AllianceのWebサイトはこちら↓
http://www.wi-fi.org/OpenSection/index.asp

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