平成14年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ問2設問1解答と解説
目次
解答
(1)WANインタフェース:172.31.1.10/30
LANインタフェース:172.17.1.254/24
(2)
採取位置 | あて先MACアドレス | 送信元MACアドレス | あて先IPアドレス | 送信元IPアドレス |
① | (a)ルータ0 | (b)FW | サーバQ | (c)アドレスX |
② | (d)ルータ3 | (e)パソコン |
(f)プロキシサーバ |
パソコン |
解説
(1)
図1中の表記形式とは、「IPアドレス/サブネットマスク」という表記形式を指しています。
ルータ2に設定すべきIPアドレスは、問題文を注意深く読むとすぐにわかるでしょう。問題文中に
ルータには、そのネットワークにおける最大の値を割り当てた
というアドレッシングポリシーに関する記述があります。ルータ2は2つのインタフェースがあり、それぞれをまとめると、
インタフェース | ネットワークアドレス | IPアドレス |
WAN | 172.31.1.8/30 | 172.31.1.10/30 |
LAN | 172.17.1.0/24 | 172.17.1.254/24 |
となります。
IPアドレスの原則として、ホストビットがすべて0もしくは、すべて1になるIPアドレスは設定することができません。
WANインタフェースのネットワークアドレスは4バイト目を2進数に変換すると、
8 = 0000 10 | 00
↑ホストビット
という構成になるので、ホストビットの最大は「10」です。つまり、最大のIPアドレスは
0000 10 | 10 = 10 → 172.31.1.10/30
です。
LANインタフェースはホストビットが4バイト目の8ビットですから、最大は「11111110」です。従って、172.17.1.254/24がルータ2のLANインタフェースに設定すべきIPアドレスとなります。
(2)
パソコンがデータを送信するときの動作とルータが行うルーティングの基本を理解していれば簡単に解答できる問題です。
データを送信するときのパソコンの動作は以下の2通りに分かれます。
・あて先が同じネットワーク上に存在するとき
直接データを送ることができます。LANであれば、ARPリクエストをブロードキャストして、送信先IPアドレスに対応する送信先MACアドレスを解決してLANフレームを送信します
・あて先が異なるネットワーク上に存在するとき
直接データを送ることができません。パソコンに設定されているデフォルトゲートウェイ(ルータ)にデータを送信し、ルーティングしてもらいます。デフォルトゲートウェイに送信するとは、レイヤ2のレベルであて先MACアドレスがデフォルトゲートウェイのMACアドレスです。レイヤ3のレベルでは、目的のパソコンのIPアドレスを指定します。
詳細は、以下のリンクをご覧下さい。
「データ送信時の動作」
//www.n-study.com/network/transmission.htm
また、ルーティングはIPパケットの送信先IPアドレスとルータが持っているルーティングテーブルを比較して、転送先を決定します。転送するときには、出力インタフェースに応じた適切なカプセル化を行ってパケットを中継します。
つまり、ルータがルーティングするたびにレイヤ2のヘッダがどんどん書き換わっていくということをしっかりと押さえておいてください。
「ルーティング概要」
//www.n-study.com/network/router.htm
では、実際に問題の解答を考えていきます。まずルータ0とFWの間でパケットをキャプチャした場合です。パケットの流れを見てみると、送信先IPアドレスがサーバQになっているので、
FW→ルータ0
というパケットの流れであることがわかります。ここで間違えないでいただきたいことは、FWもルーティングができるということです。ルーティングプロトコルが動作できるかは、機種によって違うのですが、すくなくともスタティックルーティングを行うことができます。
FWが受け取ったサーバQあてのパケットはインターネットに出て行くために、ルーティングされてルータ0に送られることになります。このとき、レイヤ2のヘッダ(イーサネットヘッダ)が書き換えられて、送信元MACアドレスはFW、送信先MACアドレスはルータ0になります。また、このときの送信元IPアドレスはWebアクセスがプロキシサーバ経由であり、さらにプロキシサーバのIPアドレスは、FWでアドレス変換されるので、アドレスXとなります。
次に、D営業店でパソコンとルータ3の間のハブでキャプチャしたパケットです。送信元IPアドレスがパソコンです。Webアクセスはプロキシサーバ経由であるので、送信先IPアドレスは、プロキシサーバです。パソコンとプロキシサーバは異なるネットワークに存在しています。そのため、直接通信できないのでパソコンはデフォルトゲートウェイであるルータ3に向けてパケットを送り、ルータ3にルーティングしてもらうことになります。つまり、送信先MACアドレスはルータ3、送信元MACアドレスがパソコンであるパケットがハブを通っていくことになります。
パケットの流れを表したものが次の図です。
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詳細はこちら→//www.n-study.com/library/2006/05/post.html