平成17年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ 問Ⅳ設問4解答と解説

目次

解答

変更対象のネットワーク:ISP-Bのネットワーク
変更内容:AS-PATHにAS番号を追加する設定を行った

解説

BGPのベストパス選択とパスアトリビュートに関するごく基本的な問題です。問題文中では、「メトリック」と表記していますが、正確には「パスアトリビュート」です。ですが、BGPはあまりなじみがないので、BGPについての知識がないとちょっと難しいかもしれません。
BGPはAS間のルーティングを行うために用いられます。BGPのルート情報には、パスアトリビュートという情報がいくつも付加されて送信します。パスアトリビュートにはいろんな種類がありますが、必ず付加されるパスアトリビュートが次の3つです。

・NEXT_HOP
ネクストホップアドレス
・ORIGIN
ルートがどのように生成されたかを表す
・AS-PATH
ルートが経由してきたAS番号のリスト

ほかにもパスアトリビュートはたくさんありますが、特別な設定をしない限り、BGPでのルート選択はAS-PATHがもっとも短いルートを優先します。これが、この問題を解答する上でのポイントです。このことは、問題文の下記の所にも書いています。

運用上、最も優先される経路選択のメトリックは、あて先ネットワークに到達するまでに通過したAS(Autonomous System)の個数である。ASの個数が最も少ない通信経路が、最適な通信経路として選択される。

BGPについての知識がなくても、この部分から判断することは可能ですが、ちょっと難しいかもしれません・・・
そして、どのようにBGPでルートを送信しているかを問題文の次の部分から読み取ります。

ISP-1は、ISP-AとISP-Bの経理情報をルータ1で静的に設定し、ISP-1のASに属する経路情報としてISP-3へ送信している。ISP-2は、ISP-Bの経路情報をルータ2で静的に設定し、同様にISP-3へ送信している。

このルートの送信の様子を図で考えると、次のようになります。図では便宜上、ISP-1、ISP-2、ISP-3のAS番号をそれぞれAS100、AS200、AS300としています。

TENW-H17-PM1-24.jpg

ここで注目するのは、ISP-BのルートがISP-3へISP-1からもISP-2からも送信されていることです。そして、AS-PATHの長さはともにAS番号がひとつだけです。受信したISP-3側ではAS-PATHを比較すると同じで、その後の優先順位の決定(これが何かは問題文からわかりませんが)に従って、ISP-BへのルートとしてISP-1から受信した方を最適と判断してしまっていることになります。そのため、ISP-3からISP-Bのルートへのパケットは、ISP-3-ISP-1-ISP-A-ISP-Bという遠回りの経路を通ってしまい、ファイル転送の速度が遅くなっています。
これを解決するために、ISP-3でISP-BのルートとしてISP-2から受信した方を最適と判断するように変更します。AS-PATHが短い方が優先されるわけですから、ISP-1からISP-3へ送信するISP-BのルートのAS-PATHを長くしてあげればいいです。

TENW-H17-PM1-25.jpg

【参考URL】

written by Gene


解説はいかがでしたか?Geneが作った最新版H17-H19年度テクニカルエンジニア(NW)午後問題解説のご購入は、こちらをクリック!