日経コミュニケーション 2004.12.1 『ソフトバンク参入 Yahoo!BB光の実力を探る』 by BOSE

ソフトバンクがFTTHに参入し、ギガサービスを始めたという。
「個人向けサービスでギガ!?そんな帯域絶対使い切らないよ」というのが第一印象でした。僕がそう思ったのは、ギガを使い切るコンテンツが無いからとか、ヘビーユーザー以外は関係ないとか、そういう視点ではありません。技術的に考えても1人でギガビットの帯域は使いきれないと思うからです。
TCP通信の場合、Ackを待たずに1度に送れるデータ量はウィンドウサイズに依存するため、TCPの仕組み自体が改善されない限りは、1セッションあたりのスループットは回線の遅延やPCの性能で頭打ちになり、帯域を使い切れないのです。

ここまでくるともはやインターネット接続サービスは、実用面では全く関係なく、速度をうたった数字だけの競争になっているような気がします。同じ料金であれば、スループットが大きな数字を示しているほうをユーザは選ぶということなんでしょうか?

ところが記事を読み進めてみると、Yahoo!BB光は、ギガサービスであって、ギガビットイーサを提供するサービスではないことが分かりました。というのは、ギガといっているのは、ラストワンマイル区間に使用している技術がGE-PONという、1Gb/sをシェアする技術を使っているといことであり、ユーザインタフェースはなんと100Mイーサなんです。つまり最大速度は100Mb/sなんですね。これには驚きました。
「最大100Mb/sのサービスなのに、『ギガビービ』を名乗るなんて、誇大広告じゃないか!」という批判が出てくるのも理解できます。

でも僕はソフトバンクを批判するより、その売り込み方に感心してしまいました。ユーザインタフェースが100Mb/sじゃ「ギガサービス」と普通はいえません。ところがソフトバンクは他社が使わないキーワードをいち早く使うことで常に一歩先を進んでいることを強調しているように感じます。実際僕の中でもそういった企業イメージが定着しています。

コンテンツ面では映像サービスがとても興味深いものでした。無線TVBOXと呼ぶ無線LANつきのTVチューナーをレンタルし、どうやらユーザ宅内で地上波テレビをMPEG4でデジテル化するようです。そして録画した番組をオンラインストレージに保存して、地上波TVとその他のコンテンツを平行してポータルサイ
トにはめ込むようです。記事だけでは実際のTV録画手順等が読み取れないのですが、ユーザにとってはTV番組がオンデマンドでPCで見れることになると思います。地上波TVをIPで放送することは著作権法上問題があるようですが、いったんユーザ宅のチューナで受信したものをデジタル化し、インターネットのオ
ンラインストレージに保存するなんてすごい発想だと思います。技術的には一見無駄と思われることでも、ユーザ利便性を考えると面白いサービスです。

YAHOOのFTTHに加入すれば、PCだけあればTVもビデオもいらない、ということになるんでしょうか?ひとり暮らしの学生なんかには魅力ありそうですね。PCとTVの両方あるだけで場所とっちゃうし。FTTH普及のためのキラーアプリになる可能性は十分秘めていると思います。

面白いサービスだな、と思いつつも以外に料金は平凡なようです。NTTのダークファイバの接続料の影響が大きいようですが、1芯でも月5000円以上も必要だったんですね。これではFTTHはまだまだ普及しないな、と思います。しかも1年以内に解約したばあいには、事業者はNTT東西にスプリッタの撤去工事費で3~4万円も支払う必要があるらしいのです。NTTダークファイバの開放で企業向け回線サービスは安価でよいものが出てきてますが、個人ユーザにとってはまだまだ高額なんですね。

FTTHとはいえ、ADSL並みに料金が下がってこないと僕は乗り換えようと言う気にはなりません。それにADSLでスループットには全く不満は無いためFTTH普及のカギはやっぱりアプリケーションしだいと言うことになるでしょう。

ソフトバンクの新サービスがADSLと同様旋風を巻き起こすかどうかは分かりませんが、とにかく斬新な発想自体に関心した記事でした。

by BOSE 
☆自己投資のための読書

※BOSEさん、レビューありがとうございます。ぼくもFTTH移行へのインセンティブはまだまだそんなに高くないだろうと思っています。普通にWeb見て、メールしたりするぐらいならFTTHである必要ないですもんね。

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