日経コミュニケーション 2006.1.15『Report ユーザー最前線 ホンダレーシングF1チーム P52』 by Gene

ユーザーの事例を紹介する日経コミュニケーションの企画です。なんと、そこ
にホンダレーシングF1チームが!!!F1ファンのぼくとしては、これは取り上
げなきゃ!と思いました。

ホンダレーシングF1チームは、2005年は「BARホンダ」としてF1に参戦してい
ました。ヨーロッパのタバコ広告規制のため、それまでのメインスポンサーだ
ったBAT(British American Tabaco)がF1から撤退するに伴って、ホンダが「BARホンダ」
の100%株式を取得して誕生したF1チームです。

ホンダのF1参戦は現在、第3期を迎えています。第2期の1980年代後半から1990
年代前半にかけて、ウィリアムズホンダ、マクラーレンホンダで黄金時代を築
き上げました。セナ・プロスト・マンセル・ベルガーが活躍していた時期です
ね。ちなみに、そのころからぼくはF1を見るようになりました。
第2期の黄金時代を支えたのは、いまではもう当たり前になっているテレメト
リーシステムなどの高度な情報化です。走行中のエンジンやマシンの状態をリ
アルタイムにピットに送信して、分析できるというシステムです。情報化の姿
勢は、第3期の現在も受け継がれているようです。

現在の、ホンダレーシングF1チームの情報化の様子を簡単にレポートしている
のが記事の内容です。

いまのF1はホンダだけでなく、トヨタ・ルノー・BMW・フェラーリなど世界的
な自動車メーカーが年間数百億円と数百人の人員を投入して、技術開発だけで
なく販売マーケティングも含めた巨大プロジェクトです。巨大なプロジェクト
を成功させるには、プロジェクトに携わる人々のコミュニケーションが不可欠
です。いかに迅速にコミュニケーションを図って、絶え間ない進化のプロセス
を確立することができるかどうかがF1での成功のカギとなっています。

コミュニケーションを迅速に行うための一環として、ホンダF1は2005年に全面
的にIP電話システムを導入しています。本社があるイギリスのブラックリーか
らテストサーキット、レースサーキットまですべてIP電話で内線通話を可能に
しています。記事には、簡単な構成図が載せられていて、それを見てみると本
社のブラックリーにアバイヤのSIPサーバが設置されています。
サーキットでは、無線LAN経由でパソコンにインストールしたソフトフォンを
利用しているようです。通話するときは、インターネット経由でブラックリー
のSIPサーバにアクセスして、内線通話を可能にしています。

ここで、この構成を見て疑問に思ったのが

・SIPサーバは冗長化していないのか?
・インターネット経由で音声品質は問題ないか?

ということです。

IP電話は、いったんSIPサーバにアクセスして電話番号と通話先のIPアドレス
の対応を知る必要があります。SIPサーバがダウンしてしまうと、IP電話は使
えなくなってしまいます。構成図ではブラックリーにSIPサーバが1台しかあり
ません。ただ単に簡素化しているだけかもしれませんが、SIPサーバの冗長化
をしておいたほうがいいんじゃないかなぁ。あと、サーキット内だけの通話が
大半を占めるのであれば、サーキット内にもSIPサーバを設置したほうがいい
んじゃないかなぁとも・・・

また、記事の中のフランスITディレクタさんのコメントで、「ブロードバンド
だから音声品質に問題ない」って言ってます。でも、IP電話の通話に必要な帯
域なんてもともとたいした大きさじゃないから、帯域はあんまり問題にはなら
ないはずなんですけどね。それよりも、インターネットを経由することによる
遅延の影響のほうがはるかに大きいでしょう。遅延の対策をどうやっているの
かが気になりました。たぶん、ISPとの間でホンダF1のトラフィックを低遅延
で流せるようにしていると思います。その辺のことを詳しく知りたかったです
けど、1ページの簡単な紹介記事だったら無理ですね・・・

構成図を見て、ふと感じた上のような疑問も、システム全体は順調に稼動して
いるようなので、きちんと対策しているんでしょう。システム導入の結果、通
信費が全体で3割も減らせています。これはかなり大きいですね。具体的な金
額は、さすがに伏せられていますが、通信費を削減しつつ、なおかつ迅速なコ
ミュニケーションを行うことができれば、マシン開発に力を注ぐことができま
すね。

また、モバイルセントレックスの導入も検討しているようです。個人的な感想
ですが、ソフトフォンって使いにくいなぁって思っています。サーキット内で
モバイルセントレックスを導入して、携帯電話で内線もできるようになると、
使いやすくなりそうです。その場合、どの形式のモバイルセントレックスを導
入するかも興味深いところです。いまの環境でサーキット内に無線LANも導入
しているようなので、無線LAN/携帯のデュアル端末方式かなって思います。

さて、こうした高度な情報化戦略で、ホンダF1が第3期での成功をおさめるの
はいつなのか!?ということも興味がありますね。でも、今年はフェラーリが
復活するので(断定)、ホンダF1のワールドチャンピオンはまだまだ先かな(笑)。
1勝ぐらいはできるかも・・・

あと、個人的な趣味に走っちゃいますが、トヨタとスーパーアグリの環境もレ
ポートしてくれないかなぁ。

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