日経コミュニケーション 2006.3.1 『ネットワークがコンピュータと一体化 コンバージド・プラットフォーム出現』P.88~96 by Cassi

今回の特集では、2006.1.1号『2006年のネットワークはこうなる 大予測!通
信の未来像』でも掲載されていた日本テレコムの「ULTINA On Demand Platform」
に代表される、コンピュータ・リソースやアプリケーションの実行環境をネッ
トワークと有機的に一体化した新しいサービスについて紹介しています。

日本テレコム「ULTINA On Demand Platform」
http://www.japan-telecom.co.jp/business/ultina/odp/index.html

日経コミュニケーションでは、このようなネットワークとコンピュータの一体
型サービスを「コンバージド・プラットフォーム」と呼んでいます。記事では
このコンバージド・プラットフォームサービスが出現した背景として、通信サ
ービスが高速化・低価格化してきているため、通信事業者が回線サービスだけ
では十分な収益を上げることができなくなってきていることをあげています。

ただし、そういった背景は以前からあり通信事業者はASP(Application Service
Provider)やホスティングサービスも提供していますが、このコンバージド・
プラットフォームはそれらをさらに発展させてネットワークとの連携を図って
いることが特徴です。

そこで気になるのが、どのように通信事業者のネットワークとコンピュータが
連携するのか?そしてどのような仕組みなのか?と言うところですが、それら
についても紹介されています。

コンピュータからネットワークを制御する仕組みとしては、米マイクロソフト
がアプリケーションから通信事業者のネットワーク機能を操作するミドルウェ
ア群「Connected Services Framework」(CSF)を2006年1月に発売したそうです。

コンバージド・プラットフォームの特徴はネットワークとコンピュータの一体
化だけではなく、CPUやストレージなどのリソースを仮想化して大量にネット
ワーク上に保持し、ユーザ側のアプリケーションの利用状況に応じて割り当て
るコンピュータ・リソースやネットワークの帯域、通信経路を自動的に調整で
きるといいます。

具体的なサービスイメージとして、記事の中でマイクロソフトの担当者が例を
挙げて説明しています。

「例えばスケジュール・ソフトにビデオ会議を登録しておくと、そのサービス
を始める時間帯に合わせてネットワークの帯域幅が変動する。遠隔地からビデ
オ会議を利用するために太い回線を契約しておく必要はなくなる。そのときだ
け太い帯域を設定すればよい」

上記は非常にわかりやすい例だと思います。

また、コンバージド・プラットフォームを構成するシステムの相関関係につい
ても文面だけではイメージが沸きにくいかもしれませんが記事では「コンピュ
ータ・リソース」や「アプリケーション」、「ネットワーク・インフラ」のそ
れぞれの関係が図解されています。

このように、アプリケーションが通信事業者のネットワーク機能を制御する仕
組みはSOA(Service Oriented Architecture)と呼ばれていて、米シスコシステ
ムズもSOAと連携するため、2005年末に「SONA」(Service Oriented Network
Architecture)というアーキテクチャを発表したそうです。

このSONAはまだ新しい概念なので記事中に詳しい解説はありませんでしたが、
アプリケーションやミドルウェアとネットワーク機器が具体的にどのような仕
組みで連携するのか今後記事で取り上げて欲しいと思います。

さらにこの特集ではコンバージド・プラットフォームについて、日本テレコム、
マイクロソフト、IIJ、3社の担当者による座談会を開催し、その様子が掲載さ
れています。
それぞれの3社がこのネットワークとコンピュータの一体化の流れをどのよう
に考えていて、今後どのように企業ネットワークが変わっていくと考えている
のかということがわかりとても参考になりましたが、一点だけ気になるところ
がありました。

コンピュータやネットワークのリソースをオンデマンドで利用できるこのサー
ビスは、企業ユーザにとっては非常にメリットがあるものだと思いますが、通
信事業者にとっては設備の需要予測がしづらくなるという側面があると思いま
す。

IIJの方もその点を指摘しているのですが、日本テレコムの方は「ネットワー
クの使用率が40%を超えたら帯域を増やすなどのポリシーを決める」といって
いるのですが、それでは安全率を増やしただけで今までの回線サービスのやり
方となんら変わらないような気がします。

実際のところは、このような「コンバージド・プラットフォーム」サービスは
まだまだ前例が無いため、需要予測の手法など多少”未知の部分”があっても
他社との差別化の為に新しいサービスを投入する必要に迫られている、という
のが本音のような気がしました。

カシスブログ(ネットワーク)
http://cassi.blog34.fc2.com/

※Cassiさん、ありがとうございます。コンバージド・ネットワークのコンセ
プトは非常に面白いですね。オンデマンドで必要なリソースを確保して、シ
ステムを利用できれば、コストや業務効率の面で効果的になりそうです。
ただ、技術的にはかなりチャレンジングでしょうね。ぼくも技術的な側面を
もっと知りたいなと思いました。(Gene)

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