日経コミュニケーション 2006.4.15 『新・企業ネットの真髄』 by Gene

これからの企業ネットワークでは、アプリケーションを「いつでもどこでも使
えるようにする」ことがポイントになります。そのために乗り越えなくてはい
けない壁として

  • LANとWANの壁
  • ネットワークとコンピュータの壁
  • モバイル端末とパソコンの壁

の3つがあります。
なぜこうした3つの壁を乗り越えなくてはいけないのか、どうすればいいのか
についてまとめられた特集です。

ぼくが特に興味を覚えたのが「LANとWANの壁」についてですね。2000年ごろか
ら始まったIP-VPNや広域イーサネットの閉域網の高速なWANサービス。ADSLや
FTTHなどによるブロードバンド回線の普及によって広まってきたインターネッ
トVPN。
これらによって、WANとLANの速度差は劇的に小さくなりました。2000年よりも
前はWANといえば、だいたい128kbpsで1.5Mbpsもあればめっちゃ速いなんてい
うイメージがありました。そして、WAN回線はコストが高い・・・WANは「遅く
て高いもの」っていうことが常識だったわけです。
それが今では、Mbpsは当たり前、場合によっては100Mbps、1GbpsのWAN回線を
以前よりもはるかに低コストで使えます。その結果、この5年ほどでLANとWAN
の壁はかなり低くなったといえるでしょう。

ただ、LANとWANの壁が低くなったのは、単純にWANの速度が速くなったねぇっ
てことだけじゃなくて、キャリアが新しいサービスを提供しようとしているこ
とが興味を引きました。
その新しいサービスの例として、NTT東日本のBizLinkマネージドLANサービス
が紹介されています。

NTT東日本 BizLinkマネージドサービス
http://www.nttbiz.com/service/mldc2/index.html

BizLinkマネージドサービスを導入すれば、これまでユーザのLAN内に設置して
いたファイアウォールやIDSなどのセキュリティ機器、ファイルサーバ、DHCP
サーバ、メールサーバ、DNSサーバ、Windowsドメインコントローラーなどのサ
ーバ群を丸ごとNTT東日本のデータセンターに設置して、ユーザの拠点を光ファ
イバでデータセンターに接続するという構成になります。すると、LANとWANの
違いを意識することなくさまざまなアプリケーションやインターネット接続を
利用できるようになるわけですね。
そして、日本テレコムではユーザはサーバすら持たなくてもいいサービスを検
討しているようです。日本テレコムのデータセンター内の仮想マシン上でユー
ザは必要な機能だけを動かしてその利用料金を支払うという形でのサービス提
供を検討中になります。LANとWANの壁を取り払うだけではなくて、より柔軟に
システムの拡張を可能にするサービスといえるでしょう。

日本テレコム ULTINA On Demand Platform
http://www.japan-telecom.co.jp/business/ultina/odp/index.html

LANとWANの壁を取り払うようにするには、ネットワーク設計のこともちゃんと
考えておかないといけませんね。その点、Ciscoが提唱しているエンタープラ
イズ複合ネットワークモデルはいいなと感じました。エンタープライズ複合ネ
ットワークモデルはネットワークを機能単位でモジュールに切り出して設計し
ましょうというコンセプトです。ですから、WANやインターネットに接続する
部分やサーバファームをきちんとモジュール化して、ネットワークを設計して
おけば、キャリアが提供しようとしているサービスをスムーズに利用できます。

また、2つめのネットワークとコンピュータの壁については、「ネットワーク
だけ知ってる」っていう状態の危険性を認識させられます。ぼくは、レイヤ2~
レイヤ4あたりはかなり知識はあるとは思っていますが、それよりも上になる
とう~ん・・・
でも、それじゃこれからは通用しなくなっていきそうです。ネットワークその
ものが単純にデータを転送するインフラとしてだけじゃなくて、もっと「賢い」
データの転送を行うことが求められているからですね。そのためベンダやキャ
リアもいろんなアーキテクチャを考えています。CiscoのSONA(Service Oriented
Network Architecture)などがその例として紹介されています。

Cisco SONA
http://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/solution/large_enterprise/sona/index.shtml

もっと上位層の勉強しなきゃ。単純に単体の階層だけ見るんじゃなくて、階層
間のプロトコルの連携を中心に見ていかないといけなくなるなぁって思います。

個人的に、2006年はネットワーク技術の大きな変化がある年じゃないかなぁと
思っています。あとから振り返ると、2006年にいろんな技術やサービスが普及
し始めたなぁっていう具合に。今回の日経コミュニケーションの特集を読めば、
その大きな変化の流れを感じられるような気がします。

日経コミュニケーションの詳細、購読申し込みはこちら↓

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA