日経コミュニケーション 2008.10.1『深層 クラウドコンピューティング』

「クラウドコンピューティング」。よく耳にするようになったバズワード、い
わゆる流行語です。

クラウドは、主にインターネットを指していてます。インターネット上のコン
ピュータリソースを使いたいときだけ簡単に利用できるようにするというサー
ビス、またはそれを実現するための枠組みがクラウドコンピューティングです。
今回レビューで取り上げた日経コミュニケーションの記事には、クラウドコン
ピューティングの概要とその提供形態、主なベンダの実際のサービスついてま
とめられています。

クラウドコンピューティングと似たような考え方は、これまでにも何度も提唱
されていますよねぇ。SunとかIBMとか昔似たような考え方を言っていたような
記憶があります。昔も似たような考え方があったにもかかわらず、いまあらた
めてクラウドコンピューティングという考え方が注目されているのは、固定/
移動通信の高速化や仮想化やグリッドコンピューティング、分散データベース
などの技術が発展してきたことにあります。
インターネット上に分散している膨大なコンピュータリソースを仮想化などの
技術で柔軟に利用できるようになり、コンピュータリソースへの通信を高速か
つシームレスにできるようになっていることが大きなポイントでしょう。

クラウドコンピューティングの提供形態として、次の3つあるようです。

  • SaaS(Software as a Service)
  • PaaS(Platform as a Service)
  • HaaS(Hardware as a Service)

それぞれ、クラウド上のコンピュータリソースをどういうレベルでまとめてユ
ーザに提供するかの違いです。SaaSはクラウド上のコンピュータリソースをソ
フトウェアの形でユーザに提供します。PaaSはアプリケーションの実行環境を
ユーザに提供し、HaaSは仮想的なサーバ環境をユーザに提供します。

記事では、主に米AmazonのHaaS「Amazon Elastic Comupute Cloud(EC2)」や米
GoogleのPaaS「Google App Engine」などアメリカのベンダのクラウドコンピュ
ーティングサービスが紹介されています。料金を見ると、ものすごく安い。
Amazon EC2は、普通のWebサーバとしては十分なスペックの仮想サーバ環境を1
時間あたり10セント~で利用できるようです。1ヶ月フルに稼働させても8000円
程度。Google App Engineは、Webアプリケーションの月間500万ページビューま
で無償。
AmazonやGoogleは、自身のインフラをサービス提供の基盤としているようです。
100万台規模のコンピュータリソースを効率よくまとめてスケールメリットを
出すことができているので、ここまでの破格の価格設定にできるんですね。

すべてのシステムをクラウドコンピューティングに移行するのは、まだまだ現
実的ではないようですが、クラウドコンピューティングを利用すれば圧倒的な
スピードとコストメリットが得られるでしょう。

また、NTT/KDDI/ソフトバンクなど国内キャリアの取り組みについても紹介さ
れています。クラウドコンピューティングによって、自身の通信回線の契約を
促すようなユーザの囲い込みを意図しているようです。ただ、AmazonやGoogle
ほどのスケールメリットを活かした価格設定はまだ無理のようです。サポート
などを考えると、国内のキャリアのサービスを利用したいと考える企業は多い
と思いますが、外資よりも魅力的なサービスを提案できるかがこれからの大き
な課題になっていきそうです。

クラウドコンピューティングは、システムのパラダイムシフトといった声まで
上がっているとのこと。クラウドコンピューティングの概要と現状について知
るためには、今回の記事はとてもオススメです。ぜひ、一読してみてください。

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