CCNP BSCI 旧バージョン(640-901J)の模擬問題 No.66~No.70

問題


No.66

BGPベストパス選定のプロセスにおいて、もっとも優先されるものを選択してください。

1)MED
2)LOCAL_PREFFERENCE
3)WEIGHT
4)COMMUNITY


No.67

BGPの同期について正しいものをすべて選択してください。

1)デフォルトで有効になっている
2)AS内でIBGPフルメッシュであれば、同期を有効にする必要がある
3)AS内でIBGPフルメッシュであれば、同期を無効にしてもいい
4)IBGPから学習した経路は、IGPで学習するまで利用できない
5)TCPコネクションを確立するときのプロセスのひとつ


No.68

AS20のBGPルータ192.168.20.20とのEBGPネイバー関係を確立することができません。次のコマンド表示結果より、このトラブルの正しい解決策を、2つ選択してください。

Router> show ip bgp summary
Neighbor V   AS  MsgRcvd  MsgSent  TblVer  InQ  OutQ   Up/Down  State/PfxRcd
192.168.20.29 4   19      0       10      0      0     0     never     Active

1)AS20側のルータで、neighbor remote-asコマンドの自ルータIPアドレスを修正する
2)自ルータで、neighbor remote-asコマンドのAS20側ルータIPアドレスを修正する
3)AS20側のルータで、neighbor remote-asコマンドの自ルータAS番号を修正する
4)自ルータで、neighbor remote-asコマンドのAS20側ルータAS番号を修正する
5)自ルータとAS20側ルータとのIP接続性を確保する


No.69

IBGPとEBGPの違いについて正しいものを選択してください。

1)異なるASに属するBGPスピーカとのピアがEBGPピア、同じASに属するBGPスピーカとのピアがIBGPピアである
2)異なるASに属するBGPスピーカとのピアがIBGPピア、同じASに属するBGPスピーカとのピアがEBGPピアである
3)通常、IBGPピアは直接接続されているBGPスピーカとの間で設定する
4)通常、EBGPピアは直接接続されていなくても、ピアを確立することができる


No.70

シスコルータにおいて、BGPテーブルを表示するコマンドを選択してください。

1)#show ip bgp-table
2)#show ip bgp
3)#show tcp bgp
4)#show ip table bgp
5)#show ip route bgp


解答と解説


No.66

【解答】3

【解説】
BGPは複数のピアから同じネットワークに対するUPDATEメッセージを受け取ることがあります。
RIPやOSPFといったIGPなら同じネットワークに対して複数の経路を使うロードバランスを行うことができるのですが、BGPはロードバランスは通常行うことができません。(設定によっては可能)

同じネットワークに対する複数の経路がある場合には、BGPはベストパス選定のプロセスによって、もっともよい経路をルーティングテーブルに載せます。

そのBGPベストパス選定のプロセスは、次のようになります。

1..NEXT_HOPアトリビュートのIPアドレスに到達可能 (大前提)
まず、大前提としてNEXT_HOPアトリビュートのIPアドレスに到達できなければその経路を使うことができません。これは、考えてみると当たり前のことです。次に送ることができないのに、その経路を他のルータに教えるということはナンセンスです。

2.WEIGHTアトリビュート(Cisco独自)が最大の経路を優先
WEIGHTアトリビュートは、Cisco独自の実装です。WEIGHTアトリビュートが最大の経路をベストパスとして選択します。

3.LOCAL_PREFERENCEアトリビュートが最大の経路を優先
NEXT_HOPに到達可能である経路が複数ある場合、その経路に付加されているLOCAL_PREFERENCEアトリビュートを参照します。LOCAL_PREFERNCEの値が大きい経路を優先してベストパスとして選択します。

4.ローカルルータが発生元である経路を優先
もしも、LOCAL_PREFERENCEの値が同一の場合、その経路の発生元が自分自身であるときには、もちろん自分自身で生成した経路情報をベストパスとして採用することになります。

5.AS_PATHアトリビュートが最も短い経路を優先
経路の発生元が自分自身ではなく、LOCAL_PREFERENCEの値が同じ場合、AS_PATHアトリビュートを参照します。AS_PATHアトリビュートが最も短い経路が優先されて、ベストパスとなります。

6.ORIGINアトリビュートが最小の経路を優先(IGP AS_PATHの長さが同じ場合、次にORIGINアトリビュートを参照します。ORIGINアトリビュートは経路の発生源を意味していて、IGP、EGP、IMCOMPLETEの3種類あります。これらは数値にコード化され大小関係は、IGP

7.MEDアトリビュートが最小の経路を優先
ORIGINアトリビュートでもベストパスを選択できなければ、次にMEDアトリビュートを参照します。MEDアトリビュートの最も小さい経路がベストパスとして選択されることになります。

8.IBGPピアから学習した経路よりもEBGPピアから学習した経路を優先
MEDアトリビュートを比べてもベストパスを選択できなかったときには、経路の学習元を見ます。IBGPピアから学習した経路よりもEBGPピアから学習した経路を優先して、ベストパスにします。

9.NEXT_HOPへ最短で到達できる経路を優先
経路の学習元でもベストパスを決めることができないときには、NEXT_HOPへ最短で到達することができる経路を優先します。

10.経路がEBGPピアから学習したもののとき、学習してから最も時間がたっている経路を優先
EBGPピアから学習した経路の場合、学習してからの時間が長い方が安定した経路とみなして、ベストパスとして選択します。

11.BGPピアのルータIDが最も小さい経路を優先
以上のプロセスでもベストパスを選択できないときには、ルータIDによる比較を行います。ルータIDはBGPスピーカを一意に識別するためのIDですから、ここで必ずベストパスを決定することができるようになります。ルータIDが最も小さいBGPピアから学習した経路をベストパスとします。

このようなプロセスで選択したベストパスをルーティングテーブルに挿入し、また他のBGPピアに通知することができるようになります。


No.67

【解答】1、3、4

【解説】
BGPの同期は難しい考え方かもしれませんが、大事なポイントなのでしっかりと理解してください。

BGPでは、IBGPピアから学習したルーティング情報を利用するために「同期」というものを満たさなければいけません。特にASがトランジットASであるときには、同期は重要です。

BGPの同期とは、以下のことを指します。

「IBGPピアから学習した経路は、AS内のIGPからも学習してからでないとベストパスとして選択されずに、ルーティングテーブルに載せられることもなく、EBGPピアへ通知することもできない」

同期はトランジットASにおいて、確実にIPパケットをトランジット(通過)させるために必要となります。


No.68

【解答】2、4

【解説】
「show ip bgp summary」コマンドでピアの状態や、どのぐらいの数のルーティング情報をやり取りしたのかを確認することができます。

このコマンドを見るときにややこしいのが、「Active」状態です。Activeというと「あ、正常に動いているんだ」と思ってしまうのですが、BGPのピアの状態でのActiveはただしくTCPコネクションを確立できていないという状態です。

問題で「AS20のBGPルータ192.168.20.20」といっているのに、show ip bgp summaryの出力結果から見ると、

「AS19のBGPルータ192.168.20.29」

とのEBGPピアを設定してしまっていることになります。いま仮に自分のAS番号を100とすると、コマンドを間違って、

(config)#router bgp 100
(config-router)#neighbor 192.168.20.29 remote-as 19

という設定を行ってしまっていることがわかります。

BGPピアはまず指定したピアのアドレスに対してTCP179でTCPコネクションを確立します。ですから、IPアドレスを間違ってしまっては、TCPコネクションを確立できません。
また、TCPコネクションが確立すると、BGPピアを確立しますが、AS番号が間違っているとダメです。
ですから、自分のルータでEBGPピアのAS番号、IPアドレスを修正する必要があります。正しいコマンドは以下のとおりです。

(config)#router bgp 100
(config-router)#neighbor 192.168.20.20 remote-as 20

No.69

【解答】1

【解説】
BGPのピアには、「EBGP」と「IBGP」の2つがあります。それぞれの意味は、選択肢1)の通り、

1)異なるASに属するBGPスピーカとのピアがEBGPピア、同じASに属するBGPスピーカとのピアがIBGPピアである

IBGPピアは、同じAS内のBGPスピーカと確立するピアですが、そのピアとは直接接続されていなくてもかまいません。IP接続性があれば、IBGPピアを確立することができます。
EBGPピアは、異なるASのBGPスピーカと確立するピアで、通常は直接接続されている必要があります。これは、EBGPピアを確立するBGPのパケットは、TTL=1となっているためです。


No.70

【解答】2

【解説】
シスコルータでBGPテーブルを表示するには、

#show ip bgp

というコマンドを使います。

WG1PE2#sh ip bgp
BGP table version is 51, local router ID is 192.168.1.2
Status codes: s suppressed, d damped, h history, * valid, > best, i - internal
Origin codes: i - IGP, e - EGP, ? - incomplete
Network          Next Hop            Metric LocPrf Weight Path
*> 1.0.0.0          192.168.22.22            1         32768 ?
*> 192.168.22.0     0.0.0.0                  0         32768 ?
*> 201.1.0.2/32     150.1.11.6               1         32768 ?
*> 201.2.0.1/32     150.1.12.2               0             0 65012 ?

「>」がついている経路がベストパスを示しています。また、「Next Hop」はNEXT_HOPアトリビュート、「Path」はAS_PATHアトリビュートとORIGINアトリビュートのWell-known Mandatoryアトリビュートが確認できることがわかります。

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