Ciscoデバイスの管理 Ciscoルータの内部メモリ その2
目次
内部メモリに格納されている情報の確認コマンド
「表 ルータ内部メモリ領域のまとめ」にまとめたように、Ciscoルータの内部
メモリに格納されている情報をIOSコマンドで確認することができます。実際
の出力例を基にして、コマンドの見方を解説します。
show flashコマンド
フラッシュメモリの内容を確認するには、show flashコマンドを利用します。
show flashコマンドの出力例を下記に挙げます。
ログ show flash
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 R1#show flash: 2 3 System flash directory: 4 File Length Name/status 5 1 16505800 /c2500-jk8os-l.122-1d.bin 6 [16505864 bytes used, 271352 available, 16777216 total] 7 16384K bytes of processor board System flash (Read ONLY) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5行目にフラッシュメモリに格納されているIOSが表示されています。その下の
6行目にはフラッシュメモリの使用容量(「16505864 bytes used」)、空き容量
(「271352 available」)、総容量(「16777216 total」)が書かれています。ま
た、7行目にもフラッシュメモリの総容量が書かれています。
なお、フラッシュメモリにはIOSだけでなく、コンフィグレーションファイル
なども保存することができます。フラッシュメモリにコンフィグレーションフ
ァイルの情報を保存するには、copyコマンドを利用します。
show vesionコマンド
show versionコマンドは下記のさまざまな情報を確認することができます。
・ IOSバージョン
・ ブートストラップ
・ システムの起動時間
・ システムの起動理由
・ IOSファイル名
・ プラットフォーム名、RAM容量
・ ルータが認識しているインタフェース種類と数
・ NVRAM容量
・ フラッシュメモリ容量
・ コンフィグレーションレジスタ値
show versionコマンドの出力例は次のとおりです。
ログ show version
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 Router>show version 2 Cisco Internetwork Operating System Software 3 IOS (tm) 3600 Software (C3640-JS-M), Version 12.2(7), RELEASE SOFTWARE (fc1) 4 Copyright (c) 1986-2002 by cisco Systems, Inc. 5 Compiled Tue 15-Jan-02 02:32 by pwade 6 Image text-base: 0x600089A8, data-base: 0x614FE000 7 8 ROM: System Bootstrap, Version 11.1(20)AA2, EARLY DEPLOYMENT RELEASE SOFTWARE (fc1) 9 10 Router uptime is 16 minutes 11 System returned to ROM by power-on 12 System image file is "flash:c3640-js-mz.122-7.bin" 13 14 cisco 3640 (R4700) processor (revision 0x00) with 60416K/5120K bytes of memory. 15 Processor board ID 21462248 16 R4700 CPU at 100Mhz, Implementation 33, Rev 1.0 17 MICA-6DM Firmware: CP ver 2730 - 5/23/2001, SP ver 2730 - 5/23/2001. 18 Bridging software. 19 X.25 software, Version 3.0.0. 20 SuperLAT software (copyright 1990 by Meridian Technology Corp). 21 TN3270 Emulation software. 22 Primary Rate ISDN software, Version 1.1. 23 1 FastEthernet/IEEE 802.3 interface(s) 24 2 Serial(sync/async) network interface(s) 25 6 terminal line(s) 26 1 Channelized T1/PRI port(s) 27 DRAM configuration is 64 bits wide with parity disabled. 28 125K bytes of non-volatile configuration memory. 29 16384K bytes of processor board System flash (Read/Write) 30 31 Configuration register is 0x2102 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※ 説明のため、左端に行番号をつけています。行番号に基づいて重要な部分を解説します
2行目にIOSのバージョン情報、8行目にブートストラップの情報が出ています。
12行目は、ロードしているIOSファイル名です。この例では、フラッシュメモ
リ上の「c3640-js-mz.122-7.bin」というIOSをロードしています。
10行目にはシステムの起動時間、11行目にはシステムの起動理由が記されてい
ます。この例では、電源投入によって起動(「by power-on」)し、16分間起動
している(「Router uptime is 16 minutes」)ことになります。
14行目にプラットフォームの情報が書かれています。Cisco3640シリーズのル
ータでRAMは64Mバイト搭載しています。RAMの総容量は「60416K/5120K bytes of memory」
の部分を足し合わせたものです。
23~26行目にルータが認識しているインタフェースの種類と数の情報が記され
ています。この例のルータには1つのファストイーサネットインタフェース、2
つの同期/非同期シリアルインタフェース、8つの非同期シリアルのターミナル
ライン、1つのチャネライズドT1インタフェースが搭載されていて、なおかつ
きちんと認識されています。
29行目にフラッシュメモリの容量が記載されています。最後の31行目には、コ
ンフィグレーションレジスタ値が出ています。
特にルータのIOSを入れ替えるときには、show versionコマンドでRAMの容量、
フラッシュメモリの容量を確認することが重要です。また、モジュール型イン
タフェースを搭載して、正しくそのモジュールが認識されているかを確認する
にも、show versionコマンドを使います。もし、モジュール型インタフェース
が正しく認識されていないときは、IOSが適切ではない可能性があります。そ
のときは、前述のCiscoのWebサイトのツールなどを参照して、利用したいモジ
ュールにあったIOSに入れ替える必要があります。
show startup-config、show running-configコマンド
NVRAM内のルータ起動時の設定情報であるstartup-configを参照するには、
show startup-configコマンドを利用します。RAM内の現在稼働中の設定情報を
参照するには、show running-configコマンドを利用します。この2つのコマン
ドは冒頭部分を除いて、出力の見方は同じです。違いとなる応答部分は次のよ
うになります。
ログ show running-configとshow startup-configの冒頭部分
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Router#show running-config Building configuration... Current configuration: 1359 bytes version 12.0 ! ~省略~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Router#show startup-config Using 1359 out of 32762 bytes ! version 12.0 ! ~省略~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
show startup-configの冒頭部分には、そのコンフィグレーションのNVRAMサイ
ズが表示されています。冒頭部分以外について、下記のshow ruuning-config
の出力例の基づいて見方を解説します。
ログ show running-config
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 R1#show running-config 2 Building configuration... 3 4 Current configuration : 1052 bytes 5 ! 6 version 12.2 7 no service single-slot-reload-enable 8 service timestamps debug uptime 9 service timestamps log uptime 10 no service password-encryption 11 ! 12 hostname R1 13 ! 14 logging rate-limit console 10 except errors 15 ! 16 ip subnet-zero 17 no ip finger 18 ! 19 no ip dhcp-client network-discovery 20 ! 21 ! 22 ! 23 ! 24 interface Loopback0 25 ip address 172.16.255.1 255.255.255.255 26 ! 27 interface Ethernet0 28 ip address 172.16.1.1 255.255.255.192 29 ! 30 interface Serial0 31 ip address 172.16.1.125 255.255.255.252 32 encapsulation ppp 33 no fair-queue 34 ! 35 interface Serial1 36 ip address 172.16.100.1 255.255.255.248 37 encapsulation frame-relay 38 ip summary-address rip 172.16.1.0 255.255.255.0 39 frame-relay map ip 172.16.100.2 120 broadcast 40 frame-relay map ip 172.16.100.3 130 broadcast 41 no frame-relay inverse-arp 42 ! 43 router rip 44 version 2 45 passive-interface default 46 no passive-interface Serial0 47 no passive-interface Serial1 48 network 172.16.0.0 49 default-information originate 50 ! 51 ip kerberos source-interface any 52 ip classless 53 ip http server 54 ! 55 ! 56 ! 57 line con 0 58 transport input none 59 line aux 0 60 line vty 0 4 61 ! 62 end ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
非常に長い出力ですが、ポイントはパートに分けて考えることです。設定を確
認するときにどのような設定かによって、show running-configのどのパート
を見ればいいかがわかります。確認を効率よく行うために、show running-config
のどのパートにどのような設定が入るかを知っておきましょう。
パートとして
・ ルータグローバル
・ インタフェース
・ ルーティング・アクセスリスト
・ ライン
を考えます。
※このパートの考え方は、Ciscoオフィシャルで決まっているわけではありません。わかりやすく考えるために、便宜上分けています。
まず、19行目までの部分を最初のパートの「ルータグローバル」として考えて
ください。この部分には、主にルータ全体にかかわる設定が出てきます。たと
えば、
・ ホスト名
・ パスワード
・ 認証時のユーザーデータベース
・ DHCPサーバの設定
・ クラスマップ、ポリシーマップ
などです。
※クラスマップ、ポリシーマップはQoS(Quality of Service)に関する設定です。CCNAでは対象範囲外です。
次に24行目から41行目までが「インタフェース」に関する設定のパートです。
ここはルータが持つインタフェースの種類、数に応じて長さがかなり変わりま
す。ルータのインタフェースに対して行った設定は、該当のインタフェースに
対応した「interface …」の直下に表れます。
そして、「ルーティングプロトコル・アクセスリスト」のパートが43行目から
53行目の部分です。RIPやOSPF、EIGRPなどのルーティングプロトコルに関する
設定はこのパートに表れます。また、アクセスリストやルートマップ、NATの
アドレス変換についての設定もこのパートに表れます。
最後に57行目から60行目が「ライン」のパートです。コンソールポート、AUX
ポート、そしてTelnet(VTYポート)に関する設定はここに入ります。
show startup-configも基本的に同じように見ればよいのです。ただし、NVRAM
内にstartup-configが存在していなければ、show startup-configコマンドで
次のように表示されます。
ログ startup-configがない場合のshow startup-config
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ R1#show startup-config %% Non-volatile configuration memory is not present ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━