概要

PIM-SMの設定ミスの修正を行います。スタティックRP/Auto RP/BSR/Bidirectional PIM/SSMの設定ミスを扱います。

ネットワーク構成

図 PIM-SMの基本設定 ネットワーク構成

設定ファイル

各デバイスの設定ファイルは以下の通りです。この設定ファイルは、一部間違っています。

各デバイスの設定ファイル

条件

01.PIM-SM_ttの設定ファイルは、以下の演習まで完了したネットワーク構成に7つの設定ミスが含まれています。



設定ミスによるトラブルの症状は次のとおりです。

  1. マルチキャストパケットのルーティングがまったくできません。
  2. R3からホスト3までの239.1.1.1に対するShared Treeが作成されません。
  3. 239.1.1.1のマルチキャストパケットはR5を経由してルーティングされます。
  4. 239.1.1.1について不要な(S,G)エントリが作成されます。
  5. 239.2.2.2、239.3.3.3のRPアドレスを学習できません。
  6. 239.4.4.4のマルチキャストグループに対してBidirectional PIMのルーティングができません。
  7. 239.5.5.5のマルチキャストグループに対してSSMのルーティングができません。

設定ミスを修正して、正常にマルチキャストルーティングができるようにしてください。

設定ミスの内容と修正

1.

R1のE0/0でPIM-SMが有効化されていません。PIM-SMが有効化されていないインタフェースでは、マルチキャストパケットを受信して処理することができません。R1のE0/0でPIM-SMを有効化します。

R1

interface Ethernet0/0
 ip pim sparse-mode

2.

R6で239.1.1.1に対するRPアドレスの設定がありません。R6は239.1.1.1に対するRPアドレスを認識していないので、PIM Joinメッセージを送信できず239.1.1.1のShared Treeが作成されません。R6で239.1.1.1に対するRPアドレスをスタティックで設定します。

R6

ip pim rp-address 192.168.0.3 1

3.

192.168.45.0/24のサブネットにおいてR5がDRとなっています。そのため、R5を経由して239.1.1.1宛てのマルチキャストパケットがルーティングされます。R4経由でマルチキャストパケットをルーティングするために、R4を192.168.45.0/24のDRになるようにします。

R4

interface Ethernet0/1
 ip pim dr-priority 10

4.

R4/R5で239.1.1.1に対するスイッチオーバーが有効なままです。そのため、不要な(192.168.1.100,239.1.1.1)エントリが作成されます。R4/R5で239.1.1.1に対するSPT Thresholdをinfinityにしてスイッチオーバーを無効化します。

R4/R5

ip pim spt-threshold infinity group-list 1

5.

R2のLo0でPIM-SMが有効化されていません。R2のLo0はAuto RPのRP候補であり、BSRのRP候補です。Lo0でPIM-SMが有効化されていなければ、RP候補として動作しません。R2のLo0でPIM-SMを有効化して、Auto RPのRP候補として設定します。

R2

interface Loopback0
 ip pim sparse-mode
!
ip pim send-rp-announce Loopback0 scope 10 group-list 2

Auto RPのRP候補としてLo0を利用する設定は、Lo0でPIM-SMが有効化されていないとコマンドを受け付けられません。そのため、あらためて再設定します。

6.

R1でBidirectional PIMが有効化されていません。そのため、239.4.4.4に対してBidirectional PIMのルーティングができません。R1でBidirectional PIMを有効化します。

R1

ip pim bidir-enable

7.

R6で239.5.5.5に対するSSMが有効化されていません。そのため、239.5.5.5に対してSSMのルーティングができません。R6で239.5.5.5に対するSSMを有効化します。

R6

ip pim ssm range 5

IPマルチキャストの仕組み