IPルーティング 再び その8

ディスタンスベクタとリンクステート

IGPsはさらに、ルーティングプロトコルのアルゴリズムによって以下のように
分類されます。(※パスベクタ型と呼ばれる分類もありますが、EGPsであるBGP
のアルゴリズムなので、ここでは取り上げません)

・ディスタンスベクタ型-RIP、IGRP

・リンクステート型-OSPF、IS-IS

これらは、ルータ同士が、「どのような情報」を「どのよう」に交換するのか
という分類です。ルーティングアルゴリズムの違いによって、ルーティングテ
ーブルのコンバージェンスが大きく変わってきます。

ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルは、あて先ネットワークまでの
「距離」と「方向」に従って経路を決定します。あて先ネットワークまでの
「距離」と「方向」は、どちらもルーティングテーブル上に含まれています。
「距離」はメトリック、「方向」は出力インタフェースです。ですから、ディ
スタンスベクタ型はルータが持つルーティングテーブルの情報を交換するルー
ティングプロトコルであるといえます。
このルーティングテーブルの交換はRIPでは30秒に1回、IGRPでは90秒に1回の
ように定期的な間隔に従って行われます。定期的なルーティングルーティング
テーブルの送信によって、他のルータが稼動しているということを認識するこ
とができます。なお、このルーティングテーブルの定期的な交換は、ネットワ
ークに何も変更がなくても行われます。RIP、IGRPがディスタンスベクタ型ル
ーティングプロトコルの例です。

リンクステート型ルーティングプロトコルでは、ルータは自分が持っているイ
ンタフェースの情報(リンクステート)を交換します。これを
LSA(Link State Advertisement)と呼んでいます。LSAの中には、そのルータが
どのようなインタフェースを持っていて、どのようなタイプのネットワークに
接続されていて、IPアドレスがいくつ、帯域幅がいくつという情報が入ってい
ます。このLSAを集めて、リンクステートデータベースを作成します。リンク
ステートデータベースは、いわばネットワークの「地図」に相当するものです。
この地図を基にして、あて先ネットワークまでの最適な経路を計算して、ルー
ティングテーブルを構成します。このルーティングテーブルの計算アルゴリズ
ムを最短パス優先、もしくはダイクストラアルゴリズムと呼んでいます。また、
リンクステート型ルーティングプロトコルは、ルーティング情報の交換は何ら
かの変更があったときのみです。通常は、Helloメッセージを利用して、他の
ルータが正常に動作しているかどうか確認しています。OSPFがリンクステート
型ルーティングプロトコルの代表的な例です。


図 ディスタンスベクタとリンクステート

また、ディスタンスベクタとリンクステートの特徴を組み合わせたハイブリッ
ド型ルーティングプロトコルもあります。ベースはディスタンスベクタで、ル
ータ間でネットワークアドレスとそのネットワークに到達するためのメトリッ
クのルート情報を交換します。
ただ、定期的にルート情報を送信するのではなく、ネイバーを認識した上で、
変更時のみルート情報を送信するなどリンクステート型の特徴を組み合わせて
いるものです。
ハイブリッド型ルーティングプロトコルの例は、Cisco独自のEIGRPです。