日経NETWORK 2004.6 『LANケーブルで電力供給する PoEの仕組みと動き P88~P92』 by Gene

「Power over Ethernet(PoE:パワーオーバーイーサネット)っていう言葉を最近よく聞くんだけど、何だろう?」

という方はぜひ読みましょう。PoEについて、その必要性とどのようにUTPケーブルで電力を供給するかについてかなり詳しくまとめられています。
ぼくは、PoEについて、概要レベルで勉強していたのですが、詳しい動作の仕組みまではよくわからない面がありました。この記事を読んで、

「なるほどねぇ~」

と思うことがしばしば。

このPoEは、たしかエンテラシスネットワークスの無線LANアクセスポイントに対して電力を供給する仕組みとして登場したのがはじめてだったと思います。
(勘違いだったら、すみません・・・)それから、IP電話への電力の供給によく使われるようになって来ています。Ciscoではインラインパワー機能と呼んでいますね。スイッチの型番に「PWR」とついているのが、インラインパワー(PoE)対応のスイッチです。

この記事の冒頭でも触れられていますが、PoEは無線LANアクセスポイント、IP電話といった比較的新しいイーサネット装置に対して電力を供給する目的を持っています。最近では、ネットワークカメラへの電力供給にも使われるようになっているようです。

IP電話は机の上におくことが多いと思いますが、電源コンセントの空きがありますか?
無線LANアクセスポイントは天井に設置したいというニーズがありますが、天井に電源コンセントがありますか?
防犯のため家の外の様子を見られるようにネットワークカメラを設置しても、外に電源コンセントありますか?

たぶん、ないですよね?

こうした電源を確保することが難しい小型の機器に対して、

「じゃ、UTPケーブルで電力を送ってしまおう!!」

という技術がPoEです。

また、PoEを利用することのメリットとして、

「電源の集中管理」

も挙げられます。
PoE対応のスイッチで末端の端末の電力をすべて供給できれば、電源の管理を一元化することができます。特に企業でIP電話を使う場合、停電が起こったら電話が使えないというのでは困ります。もし、個別にIP電話の電源をとっていたら、1つ1つのIP電話の電源をバックアップしなければなりません。しかし、PoEでIP電話に電力を供給していれば、大元のスイッチの電源のバックアップがしっかりしていれば、停電時でもIP電話を使えます。

PoEは、2003年6月にIEEE802.3afにて標準化が完了しています。標準化完了から1年ぐらい経っているので、そろそろ対応した製品が普及してくる段階でしょう。最も標準化される前から、各ベンダが独自仕様としてPoEの機能を提供しています。上述のエンテラシスもCiscoもPoEの技術そのものは、1990年代の後半から製品に実装しています。
ただ、ベンダの独自仕様だとそのベンダの機器しか使えないのですが、IEEE802.3afで標準化されたことによって、さまざまなベンダから対応製品が発売されて、価格的にもこなれてくるでしょう。ユーザにとっては、喜ばしい状況です。

PoEの具体的な動作の仕組みについては、このレビューでは触れませんが、とても丁寧にPoEの動作の仕組みまで解説されています。ま、簡単に言ってしまえば、

「UTPケーブルの4ペアのうち2ペアで電力を供給」

しているわけです。
簡単に言ってしまえば、これだけなんですが、その制御のために、実にいろんな判断やチップを使っています。このあたりの仕組みについては、ぜひ元ネタの記事を読んでください。

じゃ、こんなこと考えませんか?

「ノートパソコンの電力には使えないのかなぁ?」

残念です・・・IEEE802.3afでは供給できる電力を15.4Wに制限しています。その分、100Mまで電力を供給できるようにしています。15.4Wだとちょっとノートパソコンの電力には足りません。ノートパソコンにも使えるようになるととても便利なんですが、それは今後に期待しましょう。ノートパソコンどころか、デスクトップにも使えるようになるといいですね。

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