NETWORK MAGAZINE 2006.02 『2006年のネットワーク動向』 by BOSE

早いもので、2005年も終わってしまいました。2005年で最もインパクトのあるキーワードを僕が選ぶとしたら、やはり「セキュリティ」だったと思います。

4月の個人情報保護法施行に始まり、カカクコムの不正アクセス、フィッシング被害による銀行預金の不正引き出し、シンクライアントの台頭・・など、セキュリティ関連のニュースが豊富な一年でした。

また、企業ユーザの意識もずいぶん変わりました。以前はセキュリティは二の次という感じでお金をかけなかった企業も、経営層の意識が変わったのか、セキュリティ関連インフラも必要な投資として検討するようになっていると感じます。

さて今回の特集では、NETWORK MAGAZINEが、ずばり2006年流行のキーワードを予想、解説してくれています。解説されているのは次の8つです。今年一年をプレビューするのに面白い記事ですね。

  1. 超高速Ethernet
  2. 無料サービス
  3. 犯罪化と新しい脅威
  4. データセンター集中化
  5. Windows Vista
  6. Web 2.0ビジネス
  7. モバイルWiMAX
  8. 通信事業者再編

この中から、特に興味のあった2と4についてレビューしてみました。

●無料サービス

無料サービスの代表格として、「Skype」と「Gyao」が取り上げられています。Skypeはいわずと知れた無料インターネット電話ソフトです。実は今まSkypeがなぜこれほどまでに注目を浴びるのか疑問に思っていました。フリーのSIPサーバや会員同士無料通話が可能なIP電話は他にもあるし。。
今ではSkypeのすごさは、P2P技術を採用してIP電話システムを構築したことだと理解してます。

通常のIP電話は、SIPサーバなどの呼制御サーバが必要になります。大抵ISPがサーバを管理していたり、企業であれば専用のサーバ、IP-PBXを持ってたりします。ところがSkypeは、Skypeユーザ自身が分散してサーバの役割を果たします。Skypeユーザの中から自動的にスーパーノードと呼ばれるコンピュータを複数選定し、そのスーパーノードが分散してサーバの役割を果たすのです。

これはすごいことだと思います。
誰かがSkypeをサーバインフラとして管理する必要がなく、まさに自動的に成長していくIP電話インフラだということです。ソフトウェアを提供するだけで、世界規模のインフラが自動的に作り上がっていき、しかも成長し続けているということになっているんですね。

このように、ネットワーク経由でPC等を接続しコンピュータのリソースを共有するシステムのことをP2Pといいます。
P2Pはwinnyのように違法なファイル交換の温床となっているイメージがありますが、技術的には今のネットワークの常識を覆すくらいの可能性があると思います。今後P2Pを応用したアプリケーションはどんどん出てくるでしょう。P2Pを採用したグループウェアもすでに登場しているようです。

そのSkypeが最新のSkype2.0からビデオチャット機能が導入するようです。ビデオチャットとは、要はTV電話ですね。個人的にはTV電話が一気に普及するとは思えませんが、最近は企業ユーザのワークスタイルそのものが変わりつつあるため、ビデオチャットが流行る可能性はあるかもしれません。

オフィス改革の流れもあり、フリーアドレス(事務所に自分の固定席がなく、好きな場所に座ってよい形態)を採用する企業も珍しくなくなってきました。フリーアドレスの普及に比例して、プレゼンス(在席情報管理)やチャットが仕事上必須のコミュニケーションツールになる土台はあります。

実際僕も仕事でプレゼンスとチャット用にwindows messengerを使っていますが、メールと電話の中間的なコミュニケーション手法としてとても重宝しています。

そういったコミュニケーションツールとしてもSkypeは可能性がありそうです。LivedoorはSkypeと提携しているため、公衆無線LANサービスとSkypeをどう組み合わせて展開していくのかも楽しみですね。

●データセンター集中化

記事では、『自社でITリソースを持たず、運用・管理を委託し、アプリケーションをサービスとしネットワーク経由で利用するという形態が一般的になる』と予測してます。つまりWANのブロードバンド化を背景に、ITインフラのアウトソース化の流れがくるということです。

これを僕なりに単純化して言ってしまえば、「ASPサービスが台頭する」ということだと思います。ASPサービスとは、アプリケーションの機能をネットワーク経由でレンタル提供するサービスのことです。

データセンター集中化がすすむ技術的な背景としては、サーバやストレージの資源を1つに見せる仮想化(バーチャリゼーション)が進化を遂げているということです。

これまでのASPサービスは、データセンタにユーザ専用のサーバを立てるか、もしくは複数のユーザで共有するというところにとどまっていました。ところが今ではサーバやストレージの資源を1つに見せる仮想化(バーチャリゼーション)という技術が進化を遂げているということがあります。

バーチャリゼーションでは、さらに一歩進んで、複数のサーバやDISKを複数のユーザで共有することができます。DISKやCPUリソースが不足した場合は、別のサーバからダイナミックに割り当てることが可能になるため、サーバリソースをこれまで以上に有効活用できるし、拡張性があります。

ユーザにとっても、サーバ資源を管理する必要がなく、運用面、コスト面のメリットがあります。

こういった技術がコモディティ化されれば、そんなにITに詳しくない中小企業ユーザも大企業並みのITインフラを容易に使える日が来るのではないかと思います。

データを一極集中した場合、逆に問題となるのはレスポンスの低下です。というのは、通信がWANを経由することによる遅延の影響があるからです。特にwindowsのファイル共有で一般的に使われているCIFSというプロトコルは、遅延の影響を大きく受けます。

そういった問題を解決する手段として、WAN高速化装置などが最近注目を浴びています。でもそもそもはTCPのプロトコル自体が原因なので、僕としては次世代TCPなどが早く実用化してほしいですね。
TCPのような根幹となるプロトコルを置き換えるのって、難しいのかな?

2006年の注目キーワードがプレビューできる、面白い記事でした。今年も最新ネットワーク動向に取り残されないよう勉強が必要ですね。

BOSEさんのブログ 自己投資のための読書

※BOSEさん、ありがとうございました。P2Pアプリケーションの有効活用は、これから大きな話題になってくるような気がします。それ以外にも、これからもどんどん新しいキーワードが出てきそうですね。(Gene)

「NETWORK MAGAZINE」の詳細と購読申し込み

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA