NETWORK WORLD 2006.3 『ネットワークの成功”社”たち インテリジェンス P53~55』 by Gene
テレビCMでもよく見かける人材サービス「インテリジェンス」
の社内フリーア
ドレス化に伴うIP電話導入のレポートです。
レビューの記事内容とは関係ありませんが、インテリジェンス
には、ぼくも昔、
年収査定をやってもらったことがありますし、実際に登録もしたことがありま
す。年収査定したときは、新卒で入った会社のときでまだ大阪にいたころでし
た。査定の結果を見て「えっ、こんなにもらえるの?」とびっくりした覚えが
あります。登録したのは、東京に来てからで、たしかCCIEをとってからしばら
くしたぐらいだったような気がします。あいにく、条件にあう求人がなくて、
けっきょく独立してしまったんですが・・・
そんなどうでもいい話はおいておいて、フリーアドレス化は2002年に丸ビルに
本社を移したころから計画されていたようです。ただし、そのころはIP電話は
いまほど音声品質や信頼性が確立していないということで、導入を見送り、通
常のPBXによる内線電話網を構築していたそうです。それに加えて、試験的に
一部でIP電話を導入して、それを順次拡大していったようです。
従来のPBXでのフリーアドレス化はまず無理ですね。PBXは席が替わってしまう
と、それに伴ってPBX側での設定変更が必要になってしまいます。インテリジェンス
には、月に20~30人もの新入社員も入っていたみたいで、既存の社員の
電話番号の管理と新入社員の電話番号の管理をやるとなると、かなり骨の折れ
る作業になってしまいます。IP電話の本格的な導入まで、フリーアドレス化が
どうなっているのかは、記事からはわかりませんでした。でも、従来のPBXを
使ったままだったら、たぶんフリーアドレス化はできていなかっただろうと思
います。
2005年、丸の内本社、新宿支社での増床によって、PBXの増強が必要になった
のをきっかけとして、ようやくフルIP電話化に踏み切ったようです。3年前に
比べると、IP電話の品質、信頼性確保はかなりできるようになっていますから、
フリーアドレス化を目ざすインテリジェンス
にとっては、当然の流れですね。
このフルIP電話化の成功のポイントとして、以下の3点があげられています。
1.複数拠点をまたぐフリーアドレス制をIPセントレックスで実現
2.既存のWAN回線に音声を統合し、拠点間通話を外線から内線に移行
3.システム構築前の入念なQoSチェックでスムーズな稼動に成功
1点目のIPセントレックスで実現とありますが、まだすべての拠点でIPセント
レックス化しているわけではないようです。でも、順次拡大中で最終的には全
国規模でIPセントレックス化を進めていく模様。また、NTTドコモのFOMA/無線
LANデュアル端末を利用したモバイルセントレックスの計画もあるそうです。
WAN回線はIP-VPNと広域イーサネットを用いて、通常時は負荷分散しつつ、障
害時はお互いをバックアップする形態です。足回りはEthernet回線とあるので、
Ethernet専用線を使っているのかな?Ethernet専用線を利用しているのであれ
ば、契約帯域にもよりますが、かなり余裕を持たせた帯域設計ですね。
でも、帯域に余裕を持たせたらそれでいいっていうわけじゃないのがIP電話の
難しいところです。HTTPやFTPなどのバーストトラフィックの影響を受けると
音声品質が悪くなるので、それを回避するために3点目にあるように入念なQoS
チェックを行っています。記事を読むと、200台ものIP電話を使った同時負荷
テストをはじめとするかなり細かいQoSの設定と検証を行っているようすがわ
かります。
IP電話化してフリーアドレスを実現した結果、インテリジェンス
では、
・従来のPBX環境での内線電話運用コストの大幅な削減
・座席表作成のスタッフ負担の解消
・フリーアドレス化によるコミュニケーションの効率化
が成果として表れているそうです。
今回の記事は、IP電話導入の典型的な例として参考になると思います。細かい
点は企業によって変わってきますが、IP電話導入のメリットやIPセントレック
スの構成、IP-VPN/広域イーサネットのトポロジなどは、だいたいどこの事例
でも同じなると思います。