NETWORK WORLD 2007.1『”今どきのルータ”徹底解剖』 by Gene

ネットワークを利用していると、必ずどこかでお世話になっているネットワー
ク機器がルータです。ルータと一口に言っても、家庭でインターネット接続に
利用するようなブロードバンドルータから、ISPや通信キャリアのバックボー
ンで利用するコアルータまでさまざま。そして、月日の経過とともに、いろん
な機能が付加されてきてもいます。5年前のルータと現在のルータでは、サポ
ートしている機器はまったく違うものです。

ルータの役割の変化と利用シーンに応じた機能について解説しているのが、今
回、レビューで取り上げている記事です。
記事は、次のような3部構成です。

Part1:ネットワークの変遷とルータの役割の変化
Part2:企業向けルータは”統合型”に進化
Part3:高速化が進む津新事業者向けルータ

以下に、各Partの概要を簡単に書いていきます。

Part1では、ネットワークの変遷とルータの登場、ルータの機能の進化につい
て簡単にまとめられています。今は、ネットワーク層プロトコルとして、IPが
一般的ですが、昔はIPXやAppletalkなどもよく使われていました。メインフレ
ームで利用するSNAなどもありましたね。たくさんのネットワーク層プロトコ
ルをサポートするルータをマルチプロトコルルータなんて言っていましたが、
いまはもう死語ですね。
そして、LANの高速化やVLAN技術の導入によって、LAN内のルーティングは、ル
ータに取って代わってレイヤ3スイッチで行われるようになりました。ルータ
は、主にWANへの接続を行うための機器として利用されるようになってきたわ
けです。ただ、単にWANへの接続を行うだけではなくて、ブロードバンド回線
の普及に伴って、VPN機能などのセキュリティ機能も充実するようになって来
ました。高速なブロードバンド回線に対応するために、パフォーマンスもずい
ぶんと向上しています。

Part2では、主に企業向けのルータについて解説しています。企業向けといっ
ても、いろんな規模があるもので、

  • ローエンドルータ
  • ミッドレンジルータ
  • ハイエンドルータ

と3つに分類して解説しています。
企業の拠点の規模に応じて、ルータは単なるルーティングを行うだけではなく
て、いろんな機能を提供していることがよくわかります。共通した傾向としは、
1台のルータにいろんな機能をてんこ盛りにしていく方向にあるようです。Cisco
でいうと、ISRシリーズのようなイメージですね。

Part3が一番興味深いところでした。通信事業者で利用しているコアルータに
ついての概要が書かれています。コアルータで、IP-VPNや広域イーサネットな
どのWANサービスを提供するためのネットワークを構築しています。

そのときのポイントがMPLS(Multi Protocol Label Switching)です。MPLSは、
IP-VPNのバックボーン用だと思われがちですが、MPLSはIP-VPN以外にも広域イ
ーサネットのサービスやフレームリレー/ATMのサービスを提供するためのバッ
クボーンでも利用できます。このあたりの勉強をすると、すっごく面白いです。
「MPLSの仕組みを考えた人って頭いいなぁ」とよく思ったものです。そのうち、
MPLSについての解説も考えたいなと思っています。

この記事は、ページ数は13ページなので、手軽に読めます。ルータの歴史と、
現在のルータの役割を理解するためには、とてもよい記事だと思います。興味
をもった方は、ぜひ読んでみてください。

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