RIPの制限

RIPの制限

RIPは非常に簡単に実装でき、使いやすいルーティングプロトコルですが、経路選択の効率の悪さや、ルーティングループの発生などさまざまな制限があります。RIPの制限についてみていきましょう。

単純なホップ数による経路選択の非効率性

RIPはメトリックとして単純なホップ数を採用しています。あて先ネットワークへ到達するための帯域幅や遅延などの項目を経路選択のときに考慮することがありません。そのため、ネットワークの構成によってはRIPによる経路選択は非効率なものになってしまいます。

たとえば、次の図のネットワークを考えます。

このネットワークにおいて、RIPによるダイナミックルーティングを行っています。このとき、ルータAからルータCに接続されているネットワーク100.0.0.0/8への経路は、ルータCを経由する経路(上の経路)と、ルータBとルータCを経由する経路(下の経路)の2通りあります。

ルータAとルータCの接続はシリアル回線で128kbpsであり、ルータAとルータB、ルータBとルータCは、100MbpsのLANで接続されている場合、下の経路の方が、帯域幅が大きく遅延も少なくなるはずです。

しかし、ルータAはRIPによってルータBから100.0.0.0/8へは1ホップで到達できるという情報を受け取り、ルータCから100.0.0.0/8へ2ホップで到達できるという情報を受け取るので、メトリックの小さい上の経路を採用して、ルーティングテーブル上に追加します。

すると、せっかく帯域幅が大きく遅延も少ない経路があるのにわざわざ非効率な経路を利用するようになってしまいます。つまり、RIPにとってホップ数から判断した最適な経路は、帯域幅や遅延を考慮したネットワークの利用効率からみると必ずしも最適な経路とはなりえません。
ルータでRIPのホップ数を手動で変更して、思うとおりの経路を通るように設定することもできますが、大規模なネットワークではとても大変な作業になります。より適切なルーティングを行いたいというときには、メトリックとしてより正確にネットワークを反映できるOSPFやEIGRPといったルーティングプロトコルを利用する必要があります。

クラスフルルーティングプロトコルの限界

RIPは、クラスフルルーティングプロトコルであるため次の制限があります。

  • 不連続サブネットをサポートできない
  • VLSMをサポートできない

クラスフルルーティングプロトコルの制限については、以下のURLで解説したとおりです。

クラスフルとクラスレスその3

異なるメジャーネットワークを間にはさんでサブネットがある場合には、クラス境界で自動集約されるために、正しくサブネットの情報を送ることができなくなります。
また、同じメジャーネットワーク内のサブネットに対するサブネットマスクを必要となるIPアドレスによって変更するVLSMをサポートすることができません。そのため、あるサブネットに必要な最大のIPアドレスをサポートするサブネットマスクを利用しなければいけないため、アドレスの利用効率が悪くなってしまいます。

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