特集2 予測困難なWAN回線 帯域はこう設計せよ P56〜66


冒頭でこんな言葉がありました。


「もはや“リアルな設計”は難しい」


“リアルな設計”という言葉は、ぼくははじめて聞きました。この言葉の意味するところは、


「WANに流れるトラフィックを事前にできるだけ正確に見積もって、回線を選択する」


ことだそうです。いままで、あたりまえだと思っていた方法ですね。あたりまえだと思っていた方法が難しくなってきた・・・

この理由は、次の2点に集約されます。

1点目は、いまでは
WANを通過するトラフィックは、メールやWebなどの情報系アプリケーションが主流であることです。このようなアプリケーションのトラフィック特性は、トラフィックが大量に発生する時間と、あまり発生しない時間が不規則です。こういった特性をバースト性と呼んでいるのですが、バースト性のあるアプリケーションのトラフィック量は予測困難になります。
(※記事では、“気まぐれな”といっています。よい表現だと思います)

2点目は、
WANに接続する拠点とWANを利用するユーザが増えたことです。バースト性のあるアプリケーションを多くのユーザが利用すれば、トラフィック量の正確な見積もりが難しくなるのは想像つきますね。

WANを流れるトラフィックが情報系アプリケーションだけだったら、帯域が多少不足していても、レスポンスタイムが増大してしまうのを我慢してもらえば済みます。でも、VoIPやメインフレームの通信を統合していると、これらはまともな通信ができなくなってしまう恐れがあります。

では、


「気まぐれな情報系アプリケーションからSNA、VoIPなどを守るためのWANの帯域設計をどうすればいいか」

ということが今回の記事の主眼です。

日経コミュニケーションが考える現在のWANの帯域設計の手法として、次の5つの方法を挙げています。


1.想定されるトラフィック量を大幅に上回る帯域の回線を導入し、じゃぶじゃぶにする
2.ルータやIP-VPN網の優先制御を使う
3.専用の帯域制御装置を導入
4.トラフィックを定期的にモニターして、適宜最適な帯域の回線に変更する
5.情報系アプリとそれ以外のアプリでWANを分ける


この5つの方法を単独で使うのではなく、組み合わせて使う例が多いようです。だいたい4.と2.や3.を組み合わせているようですね。


この5つの方法に基づいたWANの帯域設計の事例として、6社の事例が載せられています。

事例の中で面白かったのは、クレディセゾンのものです。クレディセゾンでは、「じゃぶじゃぶ」と「優先制御」を組み合わせた設計を行っています。
1.5Mbpsから100Mbpsへとかなりのじゃぶじゃぶ具合です。一応、アプリケーションのトラフィックを想定して、帯域設計をした上で、
余裕を持たせたそうですが、それでもいきなりFNAのセッションが「切れ」てしまったみたいです。

原因は「Exchange」のバースト。情報系アプリケーションの「気まぐれ」さと、気まぐれさに影響を受けた勘定系のいい例ですね。じゃぶじゃぶに加えて、FNAのトラフィックを優先制御することで落ち着いたようです。

広域イーサネットを導入している会社なんかだと、このクレディセゾンの例のような帯域設計が多いんじゃないかなぁと思います。10Mbpsや100Mbpsでじゃぶじゃぶにしておきつつ、VoIP優先させるといったような感じで。


この記事とは直接関係ありませんが、P83のReportにて
シン・クライアントに関するレポートが出ていました。シン・クライアントって昔からときどき注目されていましたが、最近のネットワークの広帯域化に伴って、ようやくその意図を十分に発揮できる環境が整ってきたように思います。
シン・クライアントを導入すると、WANの帯域設計もまた大幅に変わってきそうです。この辺もちょっと注目していきたいですね。



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