VLANってなんでいるの?

VLANとは?

VLANとは、日本語で「仮想LAN」と訳されます。一口にLANといっても家庭で構築するようなPCが数台規模の小さなLANから、企業の社内ネットワークに見られるような数百台ものPCを接続する大規模なLANまでさまざまな捉え方があります。

VLANのLANとはルータによって区切られるネットワーク、つまり「ブロードキャストドメイン」を指しています。

ブロードキャストドメインをもういちど振り返ると、ブロードキャストドメインとは、ブロードキャストフレーム(送信先MACアドレスがすべてビット1)」が届く範囲で、直接通信を行うことができる範囲と考えることができます。なお、厳密にはブロードキャストフレームだけではなく、マルチキャストフレーム、Unknownユニキャストフレームの3種類のフレームが届く範囲となります。

本来、レイヤ2スイッチではひとつのブロードキャストドメインですがVLANによって複数のブロードキャストドメインに分割することができます。

ブロードキャストドメインが分割されていないと・・・

なぜ、ブロードキャストドメインを分割する必要があるのでしょう?

その理由は、ブロードキャストドメインがひとつだとネットワーク全体のパフォーマンスに影響を及ぼすことがあるからです。具体的な例として、次の図のネットワークを考えてみましょう。

図は、5台のレイヤ2スイッチ(スイッチ1~スイッチ5)にたくさんのクライアントが接続されているネットワークを表しています。このとき、クライアントAからクライアントBに通信をしたいという状況を考えます。イーサネットではフレームの中に送信先MACアドレスを指定しなければいけないので、クライアントAは「ARPリクエスト」をブロードキャストして、クライアントBのMACアドレスを求めようとします。

さて、スイッチ1にブロードキャスト(ARPリクエスト)が届くと、スイッチ1は入ってきたポート以外のすべてのポートに転送、すなわち「フラッディング」します。次に、スイッチ2もブロードキャストを受信するのでフラッディングします。スイッチ3もスイッチ4もスイッチ5もブロードキャストをフラッディングし、結局ネットワーク上のすべてのクライアントにARPリクエストが到達することになります。

ところが、少し考えてみるともともとこのARPリクエストはクライアントBのMACアドレスを知りたいために送信されたものです。つまり、クライアントBだけが受け取ってくれればいいのですが、ネットワーク上すべてに行き渡ってしまい、すべてのコンピュータがこのブロードキャストを受信してしまいます。すると、ブロードキャストによってネットワーク全体の帯域幅を消費するだけでなく、ブロードキャストを受信したコンピュータのCPUサイクルも消費してしまう結果になります。
これでは、ネットワークの帯域幅、各コンピュータのCPUサイクルに非常にムダが生じてしまうことになるわけです。

ブロードキャストはそんなに頻繁に出るの?

では、ブロードキャストフレームはそんなに頻繁に出るのでしょうか?

実際にとても頻繁に出ます。TCP/IPを利用している場合では、例にあげているARPリクエスト、そしてDHCPやRIPなどなど。
ARPリクエストは、他のホストと通信をしたいときに出ます。DHCPで自動的にIPを取得する設定をされているコンピュータが起動するたびに、DHCPのブロードキャストが発生します。RIPを利用していれば、30秒に一度ブロードキャストによってルータ同士が情報を交換します。RIP以外のルーティングプロトコルもマルチキャストを利用しているので、スイッチがフラッディングしてしまいます。

TCP/IP以外では、NETBEUIやIPX、AppleTalkはブロードキャストを多用します。たとえば、Windowsで「ネットワークコンピュータ」をクリックするだけでブロードキャスト(マルチキャスト)が発生します。(※Windows XPではそんなことありませんが・・・)

これだけ、頻繁にブロードキャストは発生しているのです。

以下の表は、ブロードキャストを利用した通信をまとめたものです。
































通信の例 解説
ARPリクエスト IPアドレスとMACアドレスの対応付けを行う
RIP ルーティングプロトコルの一種
DHCP IPアドレスなどを自動的に設定するためのプロトコル
NetBEUI Windowsで利用されるネットワークアーキテクチャ
IPX Novell NetWareで利用されるネットワークアーキテクチャ
AppleTalk Macintoshで利用されるネットワークアーキテクチャ

ブロードキャストドメインがひとつならば、ブロードキャストが出るとネットワーク上すべてに行き渡ってしまいます。さらにネットワーク上の各コンピュータに負荷をかけてしまうので非常にパフォーマンスに影響します。
このことから、LANの設計を行う上のポイントとして、ブロードキャストドメインをいかに効率よく分割するかということがあげられます。

ブロードキャストドメインの分割とVLANの必要性

ブロードキャストドメインを分割するためには、ルータの利用があげられます。ルータを利用するとルータのLANインタフェースごとにブロードキャストドメインを分割することができます。

しかし、通常、ルータはそれほどたくさんLANインタフェースを持っていません。ルータが持つ、LANインタフェースの数は1~4つ程度がほとんどです。家庭用のブロードバンドルータでたくさんLANインタフェースを持っているものがありますが、実はルータに内蔵されたスイッチです。
ルータを利用すると、分割できるブロードキャストドメインの数がルータのLANインタフェースの数に依存してしまうことになります。これでは、LANの設計において、自由にブロードキャストドメインを分割することができず、制約ができてしまいます。

ルータに対して、レイヤ2スイッチはたくさんのLANインタフェースを持っています。そこでスイッチでブロードキャストドメインを分割しよう、そのための技術がVLANです。VLANを利用することによって、ブロードキャストドメインを自由に構成し、ネットワーク設計の柔軟性が向上します。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA