主なWANのトポロジ

「トポロジ」という言葉は、一般的にネットワークの接続形態を表しています。WANサービスで拠点のLANを接続するときの接続形態がWANのトポロジです。WANのトポロジ、つまり、拠点間をどのように接続したいかを考えたうえで、適切なWANサービスを選択します。主なWANのトポロジとして、以下のものが挙げられます。

  • ポイントツーポイント
  • フルメッシュ
  • パーシャルメッシュ
  • ハブ&スポーク

専用線で拠点間を接続することを想定して、これらのWANのトポロジを以降で詳しく解説します。

ポイントツーポイント

ポイントツーポイント(Point-to-point)は、拠点同士を1対1で接続する形態です。拠点が2つしかなければ、2つの拠点を1対1で接続すればいいだけです。拠点が3ヶ所以上に拡大すると、フルメッシュ以降のトポロジを検討します。

図 ポイントツーポイント
図 ポイントツーポイント

フルメッシュ

フルメッシュ(Full Mesh)は、複数の拠点それぞれを相互に接続している形態を表しています。フルメッシュで接続するとどこか1ヶ所の拠点に障害が起こっても、その他の拠点の通信は継続できます。そのため、拠点間の通信の信頼性が高くなります。また、各拠点がそれぞれ直接通信できるので、拠点間の通信のパフォーマンスも向上します。専用線でフルメッシュの接続をしようとすると、拠点の数が多くなればなるほど必要な専用線の回線数が増加します。拠点の数をNとすると、必要な専用線の回線数はN(N-1)/2です。たとえば、4拠点あると、専用線は4(4-1)/2=6回線必要です。

図 フルメッシュ
図 フルメッシュ

パーシャルメッシュ

パーシャルメッシュ(Partial Mesh)は、重要な拠点だけメッシュ接続して、通常の拠点同士の接続は省略している接続形態です。パーシャル(Partial)は「部分的な」という意味です。フルメッシュよりもコストを抑えつつ、ある程度の信頼性を確保することができます。そして、重要な拠点間の通信のパフォーマンスも確保できます。

図 パーシャルメッシュ
図 パーシャルメッシュ

ハブ&スポーク

ハブ&スポーク(Hub & Spoke)は、本社拠点との間だけ接続する形態です。ハブ&スポークは拠点間の接続のコストを抑えることができます。ただし、本社以外の拠点間の通信は、いったん、本社拠点を経由しなければいけません。そのため、拠点間の通信のパフォーマンスはあまりよくありません。

図 ハブ&スポーク
図 ハブ&スポーク

IP-VPN/広域イーサネットのトポロジ

専用線で多くの拠点を接続しようとすると、コストがどんどん跳ね上がっていきます。専用線は拠点間の距離が遠くなればなるほど、契約速度が高速なほどコストが高くなります。そこで、多くの拠点を効率よく接続するためにはIP-VPN/広域イーサネットのWANサービスを利用しています。

IP-VPNおよび広域イーサネットは、フルメッシュの接続ができます。IP-VPNまたは広域イーサネットによって、拠点間で直接通信できるように相互接続できます。

図 IP-VPN/広域イーサネットはフルメッシュ接続
図 IP-VPN/広域イーサネットはフルメッシュ接続

IP-VPNはフルメッシュが基本ですが、 企業のポリシー上、拠点間の通信は必ず本社を経由させたいといったことがある場合、 パーシャルメッシュやハブ&スポークにも簡単にできます。広域イーサネットでもパーシャルメッシュやハブ&スポークにすることはできますが、実現するためにルーティングの設定がめんどうになります。

関連記事

IP-VPN/広域イーサネットについて、以下の記事をご覧ください。

まとめ

ポイント

  • WANのトポロジとは、WANサービスによって拠点間を接続するときの接続形態です。
  • ポイントツーポイントは、2つの拠点間を1対1で接続します。
  • フルメッシュは、すべての拠点間を直接接続します。
  • パーシャルメッシュは、重要な拠点のみを直接接続します。
  • ハブ&スポークは、本社拠点とのみ直接接続します。
  • IP-VPN/広域イーサネットで拠点を相互接続すると、特別なことをしなくてもデフォルトでフルメッシュ接続です。