IPルーティング 再び その7
目次
ルーティングプロトコルとは
ルーティングプロトコルとは、ダイナミックルーティングにおいてルータ同士
がルート情報を交換するために用いるプロトコルです。ルーティングプロトコ
ルには、RIP(Routing Information Protocol)、OSPF(Open Shortest Path First)、
BGP(Border Gateway Protocol)、EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)
など、さまざまな種類があります。ネットワークの規模や用途を考えて、これ
らのルーティングプロトコルのうち適切なものを利用します。
ルーティングプロトコルの分類
ルーティングプロトコルは、次の3つの観点から分類することができます。
・ルーティングプロトコルの適用範囲
ルーティングプロトコルを適用する範囲によって、
IGPs(Interior Gateway Routing Protocols)とEGPs(Exterior Gateway Routing Protocols)
に分かれます。
・ルーティングプロトコルのアルゴリズム
ルータ同士でどのような情報をどのように交換するかによって、ディスタン
スベクタ型ルーティングプロトコルとリンクステート型ルーティングプロト
コルに分かれます。
・サブネットマスクの取り扱い
ルータ同士が交換するルート情報の中にサブネットマスクの情報を含めるか
含めないかによってクラスフルルーティングプロトコルとクラスレスルーテ
ィングプロトコルに分かれます。この取り扱いの本質的なことは、アドレス
の認識にあります。クラス単位でのアドレスの認識をしているかどうかが関
係します。
3種類の分類の観点について順に解説します。
IGPsとEGPs
ルーティングプロトコルは、その適用範囲によって、「内部ゲートウェイプロ
トコル(Interior Gateway Protocol s: IGPs)」と「外部ゲートウェイプロト
コル(Exterior Gateway Protocols : EGPs)に分類することができます。
「内部」「外部」とありますが、何の「内部」「外部」でしょう?
これは「自律システム(Autonomous System : AS)」と呼ばれるものの外部か内
部かということを指しています。自律システムの概念は難しいものです。また、
広義の意味と狭義の意味を持っていることも自律システムの概念を難しくして
いると思われます。自律システムとは、
「狭義:同一のルーティングプロトコルを採用しているネットワークの集合」
「広義:ある管理組織が同一の管理ポリシーに従って運用されているネットワークの集合」
ととらえられています。
IGPs、EGPsの分類で考えている自律システムは、広義の「同一の管理ポリシー
に従って運用されているネットワークの集合」です。自律システムの例として
は、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider : ISP)や、
企業や学術機関などの大規模ネットワークがあります。これら、自律システム
は、「自律システム番号」を取得してお互いを識別します。これら自律システ
ムがお互いに相互接続して、世界規模に広がったネットワークが現在「インタ
ーネット」と呼ばれるものの姿です。インターネットが「ネットワークのネッ
トワーク」と呼ばれる所以です。
自律システムの外部、つまり自律システムと自律システムの間で利用するルー
ティングプロトコルがEGPsです。そして、自律システムの内部で利用するルー
ティングプロトコルがIGPsとなります。
EGPsとして、以前はEGP(Exterior Gateway Protocol)が利用されていましたが、
現在では一般的に、BGP4(Border Gateway Protocol version 4)が利用されて
います。IGPsとしては、RIP(Routing Information Protocol)、
OSPF(Open Shortest Path First)などがあげられます。
企業内ネットワークにおいて利用するルーティングプロトコルは、ほとんどの
場合IGPsになります。ただし、最近ではIP-VPNサービスではBGPを採用する場
合も見られます。
以下の表に、IGPsとEGPsの特徴をまとめています。