平成16年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅰ 問4設問1解答と解説
目次
解答
【a】 コールド
【b】 1
【c】 2
【d】 VRRP Advertisement
【e】 ウォーム
【f】 DNSラウンドロビン
解説
ネットワーク機器やコンピュータシステムの冗長化構成として、次の3つは代表的です。午前問題でも問われることがあるのでしっかり覚えておきましょう。
コールドスタンバイ
予備系の機器は電源を切った状態で待機させておきます。現用系機器に障害があった場合、予備系機器を立ち上げて処理を切り替えることで冗長を保つ構成です。サーバ等の場合、予備系機器を通常は開発など他の用途に使用し、障害発生時に(再起動を伴って)冗長機器として使用するような場合もコールドスタンバイと呼びます。
ウォームスタンバイ
予備系機器のOSは立ち上げておくが、業務システムは立ち上げずに待機させておきます。現用系機器に障害発生時は予備系の業務システムを立ち上げて処理を切り替えます。コールドスタンバイより迅速な切り替えが可能です。
ホットスタンバイ
予備系機器は常に切り替え可能な状態にあり、現用機器障害時は自動的に予備系機器に処理が切り替わる構成です。
ネットワーク機器を冗長化する場合、通常ホットスタンバイかコールドスタンバイかのどちらかで構成します。ウォームスタンバイというのは聞いたことがありません。ウォームスタンバイはコンピュータシステムの冗長時のみに使用される用語と思って差し支えないでしょう。
ここで問題の【a】の説明を見てみると
通常は通電もせずに稼動させない予備機を用意しておき、障害発生時に交換できるようにしておくもの
なので、「コールド」スタンバイが当てはまります。同様に【e】は、
OSとクラスタ構築用ソフトウェアだけが稼動している状態
であり、障害発生時は「予備機で販売システムを立ち上げる」という冗長化構成です。よって「ウォーム」スタンバイが正解となります。
次の【b】【c】【d】はすべてVRRPに関する問題です。VRRPはネットワーク機器で複数の機器を仮想的に1台の機器としてグルーピングし、ホットスタンバイを構成する技術です。同様の技術では、Cisco独自プロトコルのHSRPも有名です。では以下にVRRPの仕組みを簡単にまとめます。
以上のように、PCのデフォルトゲートウェイを仮想ルータに向けてあれば、PCの設定を変更することなくバックアップの機器が処理を引き継げるのが特徴的です。
なお、機器①の障害が復旧した際、VRRPのマスタを機器①に切り戻すかどうかは、VRRPのpreemptモードの設定で選択できます。これもCiscoのHRSPと同じですね。
ここで問題に戻りましょう。問題ではFW1とFW2でVRRP構成としており、FW1の優先度が254、FW2の優先度は1です。問題の注釈にもあるように、優先度は数字が大きいほうを高いものをするため、FW1が現用、FW2が予備機であると分かります。よって【b】には「1」【c】は「2」が当てはまります。
【d】にはVRRP Advertisementが当てはまります。上の図にも示したように、マスタ機器はバックアップ機器に対し定期的にVRRP Advertisementを送信しており、バックアップ機器はAdvertisementの有無で、マスタ機器の稼動状況を監視しています。
【f】はサーバへの負荷分散に関する問題です。もともとWebサーバ等へのアクセスを分散する古典的な方法としてDNSラウンドロビンがありました。DNSラウンドロビンとは、DNSサーバが、あるURLのIPアドレスの問い合わせを受けた際に、複数のIPアドレスを順番に回答させることで、サーバへアクセスを振り分ける方法です。しかしDNSラウンドロビンには以下のような問題点があります。
- 実際のサーバ負荷に応じた振り分けができない
- サーバがダウンしている場合でも、そのサーバのIPアドレスを回答してしまう
..etc
負荷分散装置(LB)を使用することでそういった問題が解決し、さらに効果的な負荷分散が可能になります。よって【f】には「DNSラウンドロビン」が当てはまります。
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