平成18年 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 午後Ⅱ 問1 営業店支援システム 設問4
平成18年 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 午後Ⅱ問題
目次
解答
h:130 i:149 j:101 k:144
解説
呼量およびRTPに必要な帯域幅の計算です。
[h]
アーランは電話の通信量の単位で、3600秒の通話が1アーランです。たとえば、1人が1時間電話で通話すると1アーランです。あるいは、10人がそれぞれ6分間通話しても1アーランとなります。
ピーク時には1000呼/時の電話がかかってきます。このうち8割はIVRのみの対応で完結します。残りの2割が営業員対応です。
IVR:800呼
営業員:200呼
IVR対応では1呼あたり、1.5分+4.5分=6分の通話を行います。営業員対応では1個あたり15分の通話を行います。
以上より、ピーク時における全体の電話の通信量は、
(800*6+200*15)*60/3600=130アーラン
です。
[i]
呼損率1%以下で130アーランの呼量をまかなうためには、表4より149回線必要です。
[j]
営業員対応でも最初の1.5分間はIVRが処理を行います。そのため、ピーク時においてIVRが処理する呼量は、
(800*6+200*1.5)*60/3600=85アーラン
です。
呼損率1%以下で85アーランの呼量をまかなうためには、表4より101回線必要です。1回線ごとに1呼発生するので、IVRの同時処理能力として101呼処理できる能力があればよいことがわかります。
[k]
1時間あたり平均125アーランで8時間の業務時間なので、1日の呼量は1000アーランです。1ヶ月分では、1000*20=20000アーランになります。
通話時間に換算すると、
20000*3600=72*106秒
です。
RTPパケットのサンプリング時間(送出周期)について、問題文に「RTPパケットの送出周期は20ミリ秒であった」とあります。したがって、1つのRTPパケットあたり20m秒の音声データを運びます。また、8kbpsで圧縮している場合は、音声データのデータサイズは20バイトです。20m秒のサンプリング時間より1秒あたり50個のRTPパケットが送信されるので、1秒あたりの音声データサイズは、
20*50=1000バイト/秒
です。
また、ここで注意しなければいけないのは、VoIP(RTP)の通信は片方向であることです。電話は双方向で会話するので、実際には顧客(VoIP-GW)→営業員(IP電話機)と営業員(IP電話機)→顧客(VoIP-GW)のRTPパケットが発生します。
ここまでをまとめると、A社では1ヶ月あたり次のような音声パケットの発生となります。
- 72*106秒の通話が発生
- 1秒あたりのRTPパケット内の音声データサイズ1000バイト
- 顧客(VoIP-GW)→営業員、営業員→顧客(VoIP-GW)の双方向のRTP通信が発生
以上より、録音すべき音声データサイズは、
72*106 * 1000 * 2 = 144*109 バイト
です。
※ この問題の計算はRTPが片方向通信であることを知らないと難しいです。でも、問題文にヒントがあります。
「RECには、顧客側とA社側の音声をそれぞれ分けて録音し、別々の通話音声ファイルとして保存する。」
分けて録音するなんていう芸当ができるのは、RTPが片方向通信で顧客→営業員、営業員→顧客の2つのRTP通信が発生するからです。
もし、RTPが片方向通信であることを知らなくても、この部分から推測はできます。難しいけど。
参考URL
- アーラン
http://itpro.nikkeibp.co.jp/word/page/10007833/ - VoIPで用いられる音声コーデックの詳細 [RTPについて]
http://www.kyastem.co.jp/japanese/about-codec/about-codec05.html