平成18年 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 午後Ⅱ 問2 ネットワークの再構築 設問1
平成18年 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 午後Ⅱ問題
目次
解答
a:ゾーニング b:iSCSI c:ファイル共有 d:RAW e:タグ
解説
SAN(Storage Area Network)についての穴埋めです。
SANとは、大容量のストレージデバイスを高速かつ効率よく利用するための専用のネットワークです。通常のネットワークは、ルータやスイッチなどを利用してネットワークを構築して、TCP/IPを利用して通信を行います。
一方、SANはFC(Fiber Channel)スイッチによってネットワークを構築し、ファイバチャネルというプロトコルでストレージデバイスとサーバ間で通信します。ファイバチャネルプロトコルによって、通常のLANよりも高速で効率的なデータ伝送ができるようになっています。
SANとサーバに直接ストレージデバイスを接続するDAS(Direct Attached Storage)を比較すると、SANには次のようなメリットがあります。
- ストレージの統合によるコストの低下
- 容量追加が簡単に行えるなど拡張性が高い
- 仮想化技術により高可用性を実現可能
- バックアップ作業を効率化できる
なお、上記のようなファイバチャネルを利用したSANをFC-SANと呼びます。
FC-SANを構築するためのFCスイッチやFCスイッチに接続するためのFCボードは高価な製品が多く、FC-SANを構築するコスト負担は大きなものになりがちです。そこで、専用のネットワークではなく、IPネットワークを利用したSANとしてIP-SANがあります。
IP-SANは既存のTCP/IPネットワークでサーバとストレージデバイスを接続します。サーバとストレージデバイス間の通信はiSCSIプロトコルで行います。
FC-SANにしろIP-SANにしろ、サーバから見るとまるでローカルに接続されているかのようにストレージデバイスを利用できます。
[a]
SANでは、複数のサーバでストレージデバイスを共有します。あるサーバが誤って他のサーバが必要とするストレージ上のファイルを上書きしてしまうと、システムが正常に動作しなくなってしまうことが考えられます。そのため、共有ストレージに対するアクセス制御が必要です。これを実現するのがゾーニング機能です。
各サーバが利用できるストレージデバイスの定義するための機能をゾーニング機能と呼びます。
[b]
IP-SANでは、iSCSIプロトコルによってサーバとストレージデバイス間の通信を行います。
[c]
NAS(Network Attached Storage)は、簡単にいえばファイルサーバです。TCP/IPネットワーク上にNASを接続して、NFSやCIFSなどのファイル共有プロトコルによって、ネットワーク上のPCやサーバからストレージデバイスを利用できるようにします。
[d]
DBMSを構築している際、ディスクの入出力(I/O)管理のオーバーヘッドを小さくしてパフォーマンスを向上させるために、RAWデバイスへのアクセスが必要です。RAWは「生の」という意味で、ページキャッシュを経由しないでディスクに対するI/O処理を行います。
[e]
「一つのポートとケーブルで複数のVLANのデータをやり取りする」とあるので、タグVLANです。
参考URL
- IP技術者のためのSAN入門
http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/tokusyuu/14san/san01.html - 「SAN」で実現!ストレージの仮想化
http://www.keyman.or.jp/3w/prd/98/30001698/ - 最新IPストレージ技術「iSCSI」
http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/tokusyuu/16iscsi/iscsi01.html - RAWデバイス
http://itpro.nikkeibp.co.jp/word/page/10003350/