日経コミュニケーション 2005.1.1 『企業を変えた最新ネット 日本航空』 by BOSE

日経コミュニケーション 2005.1.1 『企業を変えた最新ネット 日本航空』 by BOSE

2004年4月のJAL/JAS経営統合に伴い、ネットワーク統合も両社にとって一大プロジェクトだったようです。もともと両者で広域イーサ/IP-VPN/フレームリレー/セルリレーとさまざまなネットワークを使用していたのですが、統合に伴い広域イーサとインターネットVPNを中心に構築することになりました。

新ネットワークに求められる要件は、高い信頼性とコスト削減。コスト削減は当然としても、航空会社が統合するとこれまで以上に高い信頼性も求められるそうです。と言うのは、例えば1日3便程度の運行だった熊本空港の場合でも、統合後は1日8便程度運行することになります。便数がふえればそれだけ短期
間の障害が現場に影響を与える可能性が出てきます。このあたりの感覚は実際のユーザならではの意見で、なるほどと思いますね。

中小空港は当初現状のIP-VPN128Kからの増速という結論だったのですが、太いアクセス回線を利用する場合は、広域イーサネットの方が割安になるということが判明し、広域イーサを採用することで落ち着きました。

コストだけにfocusしているので、広域イーサで機能的に問題は無かったのか?

と疑問に思いますが、最近はコスト第一で選定するユーザがかなり多くなっていると感じます。実際IP-VPNと広域イーサの差はほとんどなくなってきているため、技術的にはどちらでもよい場合が多いのだと思います。アクセス回線やオプションの充実度はほとんど差がありません。
そうはいってもL2サービスとL3サービスの違いは無くならないため、設計方法は当然異なるのでその点は注意が必要です。

また、JALは支店についてはインターネットVPNを採用しました。帯域アップとコスト削減を達成するには、インターネットVPNは格段に効果的だと思います。

ただしネックになるのはやはり品質と信頼性。

その点JALはADSLが不安定な拠点はBフレッツに変える、またISDNバックアップを併用するなどして信頼性を高めました。ISDN自体は完全に下火ですが、バックアップネットワーク用途としてはまだまだ貴重な存在ですね。帯域は少ないものの、従量課金なのでランニングコストがおさえられるのが何よりもメリットになっていると思います。

ISDNのように導入が手軽で高速な従量課金の新サービスがあれば意外とブレイクするかもしれません。

課題としては広域イーサネットの安定性が問題となっているようです。広域イーサネットは4重化しているのに「網側で障害が起こると自動で切り替えられない」そうです。なのでユーザ側で手動で切替をしているとか。

こんな話を聞いたのは初めてです。広域イーサであればダイナミックルーティングで自動切替の設計をするのが通常です。JALは何で自動切換えができないんでしょうか?理由をある程度予想することはできますが、この辺を詳しく知りたかったです。

ついでに言うとネットワーク事例を紹介するときは、拠点数を記載して欲しいですね。同じ広域イーサ、インターネットVPNでも10拠点と100拠点では同じネットワーク設計にはならないはずです。JALの支店てどれくらいあるんだろ?

最近企業の統合は珍しくありませんが、現場のネットワーク担当者は大変でしょうね。社員とは言え、プレスに正式発表するまではおそらく一切情報は入ってこないだろうけど、決定してしまえば一気に一大プロジェクトを進めることになるんですもんね。大変なプレッシャーだと思います。

by BOSE
☆自己投資のための読書

※BOSEさん、ありがとうございます。この連載は、ぼくはいつも楽しみにしています。まだ、読んでいなかったのですが、広域イーサネットの障害時の切り替えが手動だなんて変な話ですね・・・ぼくがよく思うのは、広域イーサネットとIP-VPNの選択では、レイヤ2サービスとレイヤ3サービスの違いがもっとはっきりよくわかるように構築事例を書いて欲しいなぁってことですね。その辺まできちんと書いているのをみたことがないので。(Gene)

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