フレームリレーその3 FRAD、CIR
目次
FRAD(Frame Relay Access Device or FRame Assembly Disassembly)
今回は、前回に引き続いてフレームリレーを理解するためのキーワードについて解説します。これらのキーワードを押さえれば、フレームリレーの基本的なことはバッチリです。
FRADはデータをフレームリレーインタフェースのフレーム形式(ITU-T Q.922)に組み立て/分解を行う機器です。このFRADを介して、フレームリレー網のフレームリレー交換機に接続する形になります。
実際にはルータがFRADの機能を持っていることが多いので、ルータをフレームリレーのFRADとして設定することによって接続させることができます。たとえば、シスコのルータではencapsulation frame-relayというコマンドを入れるといいです。
CIR(Committed Information Rate)
そして、CIRは日本語では「認定情報速度」と訳されます。これはフレームリレー網内で保証される通信速度で、PVCごとに設定することができます。
状況によってフレームリレー網内でネットワークが混雑することがあります。その状態を「輻輳(ふくそう)状態」と言いますが、輻輳状態においても最低限保証される通信速度がCIRです。輻輳時にCIRを超えて送り出されたデータは破棄されてしまう恐れがあります。つまり、この通信速度までならフレームリレー網が混雑していてもフレームを送り届けることができますよ~というのがCIRの意味です。
ただ、ちょっと注意が必要なのですが、CIRはフレームリレー網内での通信速度です。拠点のルータ(FRAD)からフレームリレー交換機までの通信速度ではありません。拠点のルータ(FRAD)からフレームリレー交換機まではアクセス回線速度です。俗に「足回り」とも呼ばれています。
アクセス回線には専用線を利用するケースが多いのですが、フレームリレー網が輻輳していない場合にはCIRを超えて、アクセス回線の通信速度までフレームを送出することができます。ただし、CIRを超えた速度で送信されたフレームには、ヘッダにDEビットというものがつけられます。これは、破棄してもいいよという合図になります。フレームリレー網が輻輳してくると送り出すルータで通信速度を調節してCIR以下にしてあげないと、フレームリレー網内のフレームリレー交換機によってフレームが破棄されてしまう可能性があります。
フレームリレー網には輻輳を通知するためにFECN(Forward Explicit Cogestion Notification)やBECN(Backward Explicit Congestion Notification)といった仕組みもあり、拠点のルータで適切なフロー制御を行い、輻輳状態でもフレームが破棄されてしまうことを防ぎます。
フレームリレーを利用するときに考慮すること
さて、前回と今回のフレームリレーに関するキーワードの解説は以上です。あとは実際にフレームリレーを利用してWANを構築するときにどういったことを考慮しなければいけないのかということを押さえておきましょう。
フレームリレーを利用する場合には、次のことを考えてみてください。
・接続する拠点の数
・接続のトポロジ(フルメッシュ、パーシャルメッシュ、ハブアンドスポーク)
・コスト
トポロジによって、各拠点に必要なPVCの数が決まってきますね。あとは、そのPVC上でどれだけのCIRが必要かということもあわせて考えておく必要があります。また、PVCやCIRからコストが決まってきます。フレームリレーのコストは、以下の要素から計算されます。
・アクセス回線の料金
・PVCの本数と設定するCIRの料金
ただし、コストはフレームリレーサービスを提供するキャリアによっていろいろと異なりますので、あくまでも一般的な要素だと考えてください。コストを低く押さえるためにCIRをゼロにできることもあります。