日経コミュニケーション 2006.3.15『韓国版モバイルWiMAX 「WiBro」の全貌』P.48~53 by Cassi

今回はいよいよ6月から韓国で始まるモバイルWiMAXを利用した世界初の商用サ
ービス「WiBro」について特集が組まれています。モバイルWiMAXは日本でも無線
ブロードバンドの有力候補として新たな周波数帯域の割り当てが検討されてい
る無線方式であり、世界に先駆けて韓国で商用開始されるということで個人的
にも注目しているサービスのためレビューに取り上げてみました。

WiBroサービスは、韓国の固定通信最大手のKTと移動通信最大手のSKテレコム
の2社がサービス提供を予定しています。KT曰く、「WiBroは通信速度が最大19M
ビット/秒で、複数の端末が接続しても1台あたり平均1Mビット/秒で通信がで
きる」とのことです。

KT、SKテレコムともに具体的な端末発売時期やサービス内容は明らかにしてい
ないものの、記事の取材によると6月にはじめに登場するは「移動できるADSL」
としてインターネット接続を行うためのPCカード型データ通信カードで、2番
目にOSにWindows Mobileを搭載したPDA端末/スマートフォンが予定されてい
ます。このPDA端末/スマートフォンは、WiBroを使ったIP電話機能を搭載して
おり、機種によっては「Skype」を使って通話することも可能とのことです。

3番目に、夏ごろ登場する携帯型ゲーム機はOSにWindows CEを採用し、Webブラ
ウザやメディアプレーヤー機能を持ち、ネットワーク・ゲームや通信速度の速
さを生かした音楽や動画のストリーミングサービスが予定されています。

そして年末以降には3G携帯とのデュアル端末の発売が予定されており、KTでは
将来的には1端末で「無線トリプルプレイ」を実現するサービス構想があるそ
うです。トリプルプレイとはインターネット接続、映像、電話サービスを合わ
せて一つの回線で提供することで、最近ではNTTの『フレッツ光』を使ったト
リプルプレイのCMが流れていますので一般的な言葉になってきているかと思い
ます。

KTが考える無線トリプルプレイとは、電話はW-CDMAやCDMA2000などの3G携帯網
を使って、インターネット接続はWiBro網、映像は携帯端末向けデジタル放送
「DMB」(Digital Multimedia Broadcasting)で受信するというもので、一つ
の端末ですべてが提供できるようにするといいます。そして、この無線トリプ
ルプレイに対応した端末を「TBTM」(Triple Band Triple Mode)と呼び、2007
年以降に発売するそうです。

個人的な考えですが、このTBTM対応端末のようなものは日本でも必然的に出て
くるのではないかと思います。都市部ではモバイルWiMAXを使ってメールやイ
ンターネット接続、VoIPを使った音声通話ができて、それ以外の場所では3G携
帯網を使う方式が一般的になるかもしれません。そして映像の「DMB」は衛星
放送と地上波放送の二通りがあって、日本で言うと衛星放送が「モバHO!」、
地上波放送が「ワンセグ」に該当します。ワンセグが見られる携帯はすでにド
コモのP901iTVなどが発売されていますので、今後はそれに無線ブロードバン
ド機能が加わり、無線トリプルプレイが注目される一つの流れかもしれません。

ところで、皆さんはWiBroとモバイルWiMAX、IEEE802.16eの関係はお分かりで
しょうか?わたし個人的に、このあたりが曖昧だったのですが記事を読んで頭
の中が整理できました。

IEEE802.16eは物理層とMAC層のみを決めていて、モバイルWiMAXはWiMAXフォー
ラムがIEEE802.16eをベースに、さらにネットワーク層までを定めたものにな
ります。そしてWiBroは、韓国の通信規格の標準化機関であるTTA(韓国情報通
信技術協会)が定めたもので、こちらもIEEE802.16eをベースに、モバイルWiMAX
への採用が予定されている技術と一致するようにWiBro規格を決めたというこ
となので、正確には「モバイルWiMAX≒WiBro」となるようです。

このほか記事では、気になる料金体系の話や、KTとSKテレコムのサービス提供
エリアの拡大計画の話、同時期に登場するHSDPAサービスによるWiBroへの影響
などが紹介されていて、とても参考になりました。無線ブロードバンドサービ
スに興味のある方は是非チェックしてみてください。

※Cassiさん、ありがとうございました。ぼくもこの記事を読んですごく興味
を持ちました。韓国のWiBroはこれからの日本のモバイルブロードバンドサ
ービスにも影響を与えそうですね。(Gene)

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