日経コミュニケーション 2006.8.15 『ネット製品・サービス 五番勝負』 by Gene
近年、ネットワークに関連する製品・サービスは非常に多くなってきています。
それに伴って、高機能や高付加価値ながら格安の製品・サービスも多くなって
います。
今回レビューする日経コミュニケーションの記事では、「格安」のネットワー
ク製品・サービスと格安のものに対応する製品・サービスの比較をまとめてい
ます。比較する製品・サービスとして次の5つがあります。
- 「Asterisk」 vs IP-PBX
- 「エントリーVPN」 vs IP-VPN/広域イーサ
- 「Bフレッツ(FTTH)」 vs 専用線
- 「W-ZERO3」 vs ノートパソコン
- 「Skype Video」 vs テレビ電話装置
この中で、ぼくが気になったのは「エントリーVPN」です。エントリーVPNとは、
ベストエフォート型のブロードバンド回線と専用ネットワークを組み合わせて
提供する閉域網サービスのことです。サービスの例として、NTT東日本の「フ
レッツグループアクセス」、NTT西日本の「フレッツグループ」、NTTコミュニ
ケーションズの「Group-VPN」などがあります。
- NTT東日本 「フレッツグループアクセス」
- NTT西日本 「フレッツグループ」
- NTTコミュニケーションズ 「Group-VPN」
「エントリーVPN」という呼び方自体、この記事ではじめて知りました。これ
までは、IP-VPNの一種として出ていたと思うんですけど、いつぐらいからエン
トリーVPNって呼ぶようになったんでしょうかねぇ???
「エントリー」という名前から、なんとなくお手軽なイメージのサービスです。
FTTHやADSLなどのブロードバンド回線をアクセス回線として、キャリアの閉域
IP網上で拠点間のVPNを構成するサービスです。実際にお手軽な料金で拠点あ
たり月額1万円代前半程度から利用できます。
今までは、主に全国規模のフランチャイズの店舗や小規模な拠点を接続したり、
バックアップ用途だったエントリーVPNの利用方法が最近変わってきているよ
うです。
紹介されているのは、オリンパスの例ですが、2005年8月からエントリーVPNを
メインのWAN回線として利用する構成に変えているそうです。簡単な構成が描
かれているので見てみると、本社アクセスとバックアップ用に広域イーサネッ
トを利用しつつ、支店・営業所と本社・データセンターをエントリーVPN経由
でも接続しています。
このようなネットワーク構成にすることで、拠点の月額通信料金がかなり削減
されるようになっています。20万~30万円の通信コストが10万円弱に抑えられ
るってのはかなり大きいですね。しかも、ブロードバンド回線を利用している
のでベストエフォートながら通信速度の向上というメリットもあります。問題
点は、ベストエフォートの欠点の障害ですが、障害も過去に2回起こっている
だけということを考えると、十分にメリットのほうが大きいでしょう。
今までぼくの認識では、フレッツグループアクセスなんかのエントリーVPNは、
中小企業が利用するWANサービスだと考えていました。でも、オリンパスのよ
うな大企業でもメインのWANとして採用しているということを知って、これか
らエントリーVPNの利用は広がっていくと思いました。
エントリーVPNを提供するキャリアも、サービスを向上させる方向のようで、
エントリーVPNが新しいWANサービスの中心になっていくかもしれませんね。
で、この流れは、アクセス回線の「FTTH」の利用増大にも大きな影響を及ぼし
ていくでしょうね。記事の流れとして、エントリーVPNの次にFTTH(Bフレッツ)
があるのは、この2つのサービスがとても密接に関連していることをあらわし
ているのだと思います。
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