IPアドレッシングを基本から復習しましょ! その9
目次
FLSMとVLSMの復習
前回まででFLSMによるサブネッティングとVLSMによるサブネッティングについ
て解説しました。
もう一度、おさらいしておきます。
「FLSM」
1つのメジャーネットワークからサブネッティングした各サブネットは、同じ
サブネットマスクを利用しなければいけないという制約があるサブネッティン
グ方法です。
利用するサブネットマスクは、最もたくさんのIPアドレスを必要とするサブネ
ットに合わせて決定します。そうすると、他のサブネットでは使わないIPアド
レスがたくさん出てきてしまい、IPアドレスの無駄が多くなります。その結果、
ネットワークの拡張性が乏しくなることがあります。
「VLSM」
1つのメジャーネットワークからサブネッティングしたサブネットでも、サブ
ネットごとに異なるサブネットマスクを利用することができるサブネッティン
グ方法です。
各サブネットで必要となるIPアドレスを考慮して、利用するサブネットマスク
を決定します。そのため、IPアドレスの無駄が少なくなり、ネットワークの拡
張性に優れます。
FLSMとVLSMのメリット・デメリット
こうしてみると、VLSMの方が優れていて、FLSMによるサブネッティングはしな
い方がいいんじゃないかと思います。でも、VLSMが絶対にいいとは限りません。
VLSMでサブネッティングする方がいい部分と、FLSMでサブネッティングする方
がいい部分があり、必要に応じて使い分けるのがいいです。使い分けを考える
ため、FLSMとVLSMのメリット・デメリットを知っておく必要があります。
FLSMのメリット
・わかりやすく、シンプルなアドレッシングになる
VLSMのメリット
・IPアドレスの無駄が少ない
FLSMのデメリット
・IPアドレスの無駄が多い
VLSMのデメリット
・複雑でわかりにくいアドレッシングになる
つまり、わかりやすさとIPアドレスの無駄が多いかどうかがポイントです。
FLSMはわかりやすいけどIPアドレスの無駄が多い、VLSMはわかりにくいけど
IPアドレスの無駄が少ないというわけです。
ここで、一般的な企業内部のネットワークはプライベートアドレスを使ってい
ることを思い出してください。プライベートアドレスは、IPアドレスの無駄が
多いか少ないかをそんなに考慮する必要がありますか?ないですよね?
プライベートアドレスで定義されている範囲は自由に利用してもいいので、多
少無駄が多くなっても特に問題はありません。それよりは、なんだかよくわか
らない中途半端なサブネットマスクのサブネットを定義するよりは、アドレス
の無駄が多くなっても8ビット単位のサブネットマスクに統一した方がわかり
やすくていいでしょう。
つまり、プライベートアドレスでアドレッシングしているときには、FLSMでわ
かりやすさを優先したほうがいいです。
一方、インターネットに公開するサーバなどのグローバルアドレスを設定して
いるサブネットでは、IPアドレスの無駄はなかなか許容できません。企業によ
っては、潤沢なグローバルアドレスを持っているかもしれませんが、普通は限
られた数のグローバルアドレスだけです。限られた数のグローバルアドレスを
有効に利用するためには、VLSMによるサブネッティングを行ったほうがいいで
す。
このように、FLSMとVLSMにはそれぞれメリット・デメリットがあるので、それ
を考えた上で適切なアドレッシングを考えていくことが大切です。