無線LANでの家庭内LANの構築

ノートパソコンにはたいてい無線LANの機能が備わっているので、家庭内LANで
無線LANを利用している方も多いでしょう。無線LANは便利なのですが、ちょっ
と注意した方がよいです。注意するべきこととして、

  • セキュリティ
  • 通信環境
  • 利用可能な帯域幅

などがあります。

今回は、無線LANの利用可能な帯域幅について見ていきましょう。

利用可能な帯域幅(スループット)は、半分ぐらい

無線LANの速度は

  • IEEE802.11b-最大11Mbps
  • IEEE802.11g/a-最大54Mbps

です。

ただ、この速度は規格上の最大値です。実際にファイル転送などを行うときの
実効速度(スループット)は、せいぜい規格上の速度の半分にしかなりません。
IEEE802.11bだと5Mbps程度、IEEE802.11g/aだと20Mbps程度です。

※まだ正式に規格化されていないものの、IEEE802.11nだと規格上300Mbpsで、
実効速度は100Mbps程度です。
※100Mbpsの有線LANの実効速度は、アプリケーションにもよりますが、規格上
の最大値の90%以上出ます。

最初、無線LANの実効速度が半分にしかならないと知ったとき、思わず「詐欺?」
と思ってしまいました(笑)。物理的な信号を伝送するのは、規格上の最大値で
できるのでウソではないんですが、なんだかなぁって思ったことがあります。

「なんで、こんなに実効速度が低くなってしまうのか?」

その理由は次のような無線LANの通信の仕組みにあります。

  • CSMA/CA
  • 無線LANのフォーマット

CSMA/CAは、有線LANのCSMA/CDとよく似た仕組みです。同じ伝送媒体(チャネル)
を複数の無線LANクライアントで共有します。基本的に早い者勝ちです。誰も
使っていなかったら、データを送信できます。誰かがデータを送信していたら、
待ってから送信します。複数のクライアントが同じタイミングでデータを送信
しようとすると、衝突が発生します。無線LANでは衝突の検出ができないので、
同じタイミングでデータを送信しないように、無線LANクライアントは誰もデ
ータを送信していないなと確認した後、ランダムな時間待って、データ送信の
タイミングをちょっとずらすようにしています。この部分でスループットが低
下します。

そして、無線LANは有線LANに比べて、どうしても通信が不安定になってしまい
ます。そのため、無線LANの通信の仕組み上、きちんとデータを転送できるか
どうかをきちんと確認するようになっています。データを送信するたびに、そ
れを「受信したよ」というACKを返します。ACKを受け取って、次のデータを送
信しますが、そのときもデータを送信するタイミングをずらすためにちょっと
待ってということを行っています。
こうしたCSMA/CAの通信の仕組みが無線LANのスループットが低下してしまう大
きな原因です。

また、無線LANのフォーマットには無線LANの通信状況を確認するための制御情
報が含まれていて、その部分はどんなクライアントにも届くように「最低」の
伝送速度で送るようになっています。そのため、スループットは低下してしま
います。

その半分を共有・・・

上記のように無線LANのスループットは、カタログなんかでみる速度のせいぜ
い半分です。そして、複数のクライアントがいる場合は、その半分を共有しま
す。
たとえば、IEEE802.11gの無線LANアクセスポイントに3台のクライアントが接
続すると、各クライアントの平均のスループットは、20Mbps/3=約7Mbps程度に
なってしまいます。

lan10.jpg

図 複数クライアントでのスループット

もっとスループットが下がってしまう場合は、低速なクライアントが混在して
いる場合です。IEEE802.11gはIEEE802.11bとの互換性を持っています。IEEE802.11b/g
の無線LANアクセスポイントにIEEE802.11bとIEEE802.11gのクライアントを接
続できますが、やらない方がいいです。
802.11bのクライアントも802.11gのクライアントも同じチャネルを共有します。
低速な802.11bのクライアントが通信している間チャネルを占有します。低速
なクライアントがボトルネックとなり、高速な802.11gのクライアントは待た
されてしまうことになってスループットが低下します。
ネットワークの通信におけるスループットは、もっとも低速な部分にひっぱら
れて低下してしまうことに注意してください。

※このことは、ネットワークの通信に限りません。PC内部の処理などでも処理
速度はもっとも低速な部分にひっぱられて低下します。

lan11.jpg

図 低速なクライアントとの混在環境

以上をまとめると、

  • 無線LANのスループットは規格上の最大値のせいぜい半分しかでない
  • 複数のクライアントで共有するので平均スループットはさらに低下
  • 低速なクライアントがいると、スループットが低下する

ということに注意が必要です。
これらに注意して家庭内で無線LANを構築するには、

  • IEEE802.11b/gのクライアントを同じアクセスポイントには接続させない
  • 各クライアントは最大の速度で通信できるようにアクセスポイントとクライアントの位置を考える
  • 上記を考えて、必要ならばアクセスポイントを分けて設置する

ことがポイントです。