日経NETWORK 2005.12 『New Face Service プッシュ・ツー・トーク P98』 by Gene

このごろ、よくテレビCMで見かけるのが、NTTドコモとauのプッシュ・ツー・トークのサービスですね。サービス名は、NTTドコモが「プッシュトーク」、auは「Hello Messenger」です。

NTTドコモ プッシュトーク
au Hello Messenger

テレビCMだけでは、普通の携帯電話ユーザにはどんなサービスなのかちょっとわかりにくいんじゃないかなぁって思っていました。ぼくは基本的なサービス内容はなんかの記事を読んでいたのでだいたいわかりますが、どんな仕組みなんだろって不思議でした。ちょうど日経NETWORKにプッシュ・ツー・トークの1ページの解説記事が載っていたので、今回のレビューのネタにしました。

記事によるとプッシュ・ツー・トークは、一言で言うと、「複数の相手に同時に音声を届けられるチャット型サービス」です。
プッシュ・ツー・トークの端末には、専用ボタンがつけられていて、そのボタンを押しているときだけ、声が全員に届きます。別の人が話をするときは、ボタンを離すのを待ってから、自分の電話機のボタンを押して話します。まるで、トランシーバーですね。

長年、ネットワークのことを解説している立場からすると、プッシュ・ツー・トークは半二重通信の例としてピッタリです。半二重通信は送信と受信を同時に行うことができず、送信と受信を切り替えながら通信をする方式です。今度から、半二重通信の説明をするときはプッシュ・ツー・トークを例に紹介することにします。

簡単な仕組みも図解されていて、プッシュ・ツー・トークによる音声の流れは、

  1. 送信元の端末で複数の端末の電話番号を選んで発信
  2. 制御サーバに選んだ端末の呼び出しを要求(SIP)
  3. 制御サーバから端末をグループ登録したことを通知(SIP)
  4. 制御サーバがグループに登録した宛先の端末を個別に呼び出す(SIP)
  5. グループ宛てに音声パケットを送信(RTP)
  6. 制御サーバが音声パケットをグループのメンバー宛てにコピーして送信(RTP)

というものです。

()内に利用しているプロトコルをあげていますが、これを見てわかるように、IP電話で利用するプロトコルと同じです。SIPでセッションを確立して、RTPで音声パケットを転送する形ですね。それに加えて、プッシュ・ツー・トーク用の制御サーバが複数の端末のグループ登録や制御を行っている構成です。

こういったプッシュ・ツー・トークのサービスは、携帯定額化のひとつの方法とも言われていますね。プッシュ・ツー・トークの料金は、普通の音声通話よりもかなり安いですし、NTTドコモでは月額1050円の定額制のサービスメニューがあります。
実際に電話をするときは二人が同時に話しているわけじゃないですからね。一人が話して、それに対してもう一人が話をするわけです。通常の携帯の通話は全二重通信なので、ボタンを押したり離したりしなくていいだけですね。プッシュ・ツー・トークを使っている場合、ボタンを押しながら「~~です、どうぞ」でボタンを離して、次の人がボタンを押しながら「~です、どうぞ」でボタンを離して・・・って感じで切り替えて使うようになるんでしょうね。
その切り替えが面倒かもしれませんが、定額化のメリットは大きいんじゃないかなぁと思います。

定額化や通常の音声通話よりも安い料金で利用できるのは、IP化しているからです。音声をIP化して、いろんなユーザの音声パケットをひとつのインフラでどんどん多重化して転送することで、低料金や定額化を実現しています。

あと、音声の流れの仕組みから考えると、端末にSIPやTCP/IPが実装されているはずです。単に音声をトランシーバー的にやり取りするだけじゃなくて、ほかのアプリケーションを載せるのも面白いかもしれませんね。

実際にどんなものか試してみたいんですけど、ぼくが使っているボーダフォンはプッシュ・ツー・トークのサービスがありません・・・ボーダフォン、がんばれ・・・

テレビCMだけでは、プッシュ・ツー・トークってよくわからなかった方は、この記事を読んでみてください。そうすれば、プッシュ・ツー・トークのサービス内容と仕組みについて基本的なことがわかるようになるでしょう。

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