「日経NETWORK 2006.1」『VLAN免許皆伝 P59~75』 by Gene
いまでは、企業LANでは当たり前のように使われているVLAN。そのVLANについ
て、基本的なことから活用例までをまとめた特集が今回ネタにしている記事で
す。
VLANを導入することによって、LANは物理的な配線にとらわれずに自由にサブ
ネットを構成できるようになるというメリットがあります。その裏返しとして、
構成が複雑になり、きちんと論理的なサブネット構成を把握しておかないとト
ラブル発生時の対応が難しくなるというデメリットがあります。
ネットワーク技術の勉強をするとき、VLANの理解がひとつのハードルになって
いるんじゃないかなぁと思います。ぼくもネットワーク技術の勉強を始めたば
かりのころは、VLANによって見た目のネットワーク構成とと実際のネットワー
ク構成が違ってくるというのがイメージがつきにくく、難しく感じた覚えがあ
ります。
この記事では、3部構成にして、VLANについて非常に丁寧に説明しています。
まず、1部ではVLANについての全体像です。ARPによる同じLAN内の通信の仕組
みとルータを介した異なるLAN間での通信に触れて、VLANによってブロードキ
ャストドメインを分割できるという説明はわかりやすいですね。特にいいなと
思ったのがP63にある図1-4です。この図では、IPサブネットとVLANを対応付け
ることが明確に説明されています。この対応をきちんと意識することはとても
大事だと思っています。ネットワークの通信は階層構造をとっているわけです
が、レイヤ3の観点で考えるIPサブネットとレイヤ2の観点で考えるVLANをきち
んと対応付ける考え方は重要だからです。この部分だけでも、記事を読む価値
は大いにあると思いました。
2部は、技術的な詳細についての解説です。1台のスイッチ内でのVLANの仕組み
からはじまります。そして、タグVLAN(個人的にはCiscoのトランクという表現
のほうをよく使いますが)によって、複数のスイッチをまたがったVLANの仕組
みをわかりやすく解説しています。
VLANが異なると直接通信ができなくなり、ルーティングが必要になります。そ
の点に関しても、ルータを使った場合とレイヤ3スイッチの場合について解説
しています。ただ、ルータを使ったVLAN間ルーティングの構成はお粗末かなと。
ちゃんとタグVLANの説明をしているんだから、VLAN間ルーティングもリンク1
本の構成も書き加えておいたほうがいいと思いますね。レイヤ3スイッチのVLAN
間ルーティングの説明は、ぼくの説明とよく似ていますね(笑)。
ちなみに、ぼくが去年の年末から書き連ねたレイヤ3スイッチの考え方とCatalyst
スイッチでの設定についてのコンテンツは以下のリンクです。
『レイヤ3スイッチの内部構造』
http://www.n-study.com/network/2005/11/3_3.html
『レイヤ3スイッチの考え方と設定 アクセスポート、トランクポート』
http://www.n-study.com/network/2005/12/3_4.html
『レイヤ3スイッチの考え方と設定 SVI(Switched Virtual Interface)』
http://www.n-study.com/network/2005/12/3_sviswitched_v.html
『レイヤ3スイッチの考え方と設定 ルーテッドポート』
http://www.n-study.com/network/2005/12/3_5.html
『レイヤ3スイッチの考え方と設定 典型的なLANの構成』
http://www.n-study.com/network/2006/01/3_lan.html
『レイヤ3スイッチの考え方と設定 Catalystスイッチでの設定例』
http://www.n-study.com/network/2006/01/3_catalyst_1.html
日経NETWORKの記事とあわせて、これらを読んでいただけるとVLAN、レイヤ3ス
イッチの理解を深めていただけるでしょう。
続く、3部はVLANの活用例です。次のような例をVLANの活用例としてあげてい
ます。
・IP電話のパケットの保護
・検疫ネットワークでの利用
・ブロードバンドサービスのユーザの隔離
・広域イーサネット
これらの活用例について、さすがに深くまでは踏み込んでいないものの、具体
的な例をあげることで、VLANがいかによく利用されている必須の技術なのかが
よくわかりますね。
以上、ざっと内容について触れてきましたが、この記事は全体的にすごくよく
まとまっていて、初心者の方がVLANというものを理解するうえでとても参考に
なります。VLANについてある程度知っている方でも、知識を整理するためにい
い記事です。日経NETWORKを購読されている方は、目を通してみてくださいね。
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