NETWORK MAGAZINE 2006.6『新入社員向け 社内LAN見学』 by Gene
自分のパソコンのLANケーブルから先がどんな風につながっていて、どうして
ネットワーク経由でいろんなことができるかということは、なかなかわからな
いものです。いったいどこにどんな機器があるのかも・・・
今回紹介するNETWORK MAGAZINEの特集は、手元のパソコンからどんなケーブル
やどんな機器を伝わって、通信が行われているかを解説しています。実際のケ
ーブルやケーブルの引き込み口、スイッチ・ルータなどのネットワーク機器、
各種サーバの写真もたくさん載せられていてわかりやすい内容です。
まずは、クライアントPCからLANのバックボーンです。
PCのLANポートからLANケーブルをたどっていきます。その先は、スイッチ(島
ハブ)へ。スイッチでたくさんのクライアントPCを集線しています。スイッチ
からさらにLANケーブルが床面のケーブルの引き出し口を通じて、床下に伸び
ていきます。
その行き先は、マシンルームの床面ケーブルの引き出し口。そこからディスト
リビューションスイッチへとケーブルが伸びています。ただ、このディストリ
ビューションスイッチという言葉は、Cisco的なものとはちょっと違う意味で
使っていますね。この特集では、単に部署ごとにまとめるスイッチという意味
のようです。Cisco的なディストリビューションスイッチは、IPルーティング
など、重要な役割を持っています。
ディストリビューションスイッチの先はエッジスイッチです。レイヤ3スイッ
チを利用し、IPルーティングを行っているのかなぁ・・・さらに、コアスイッ
チがあります。
ちょっとこの辺のディストリビューションスイッチ、エッジスイッチ、コアス
イッチの役割がいまいち曖昧でちゃんと説明されていません。エッジスイッチ
はこんなところに入れる必要はないかなぁと。
Cisco的にディストリビューションスイッチでスイッチを集線して、IPルーティ
ングを行い、コアスイッチ経由でサーバファームにつなぐ方が効率的かなと思
います。
ま、特集の注釈でも書いていますが、あくまでもひとつの例なんで、そんなに
突っ込むのも意味がないですが・・・
次にサーバファームの部分です。
ラックマウントのサーバがラッキングされている写真が載っています。ぼくは、
昔、サーバって言うとすっごく大きいハコなんだっていうイメージしかなかっ
たのではじめてラックに何台ものラックマウントのサーバがらっきんぐされて
いるのを見たとき、感動した覚えがあります。もしかしたら、新入社員の方の
中にはぼくと同じようにサーバって大きいハコだと思っている方もいらっしゃ
るかもしれません。そんなとき、こういう写真があって、こういう形のサーバ
もあるんだってわかるのはいいことですね。欲を言えば、ブレードサーバの写
真もあればいいかなぁと思いました。
そして、通信事業者のサービスについて。
光ファイバの配電盤からONU(Optical Network Unit)を経由して接続されてい
る様子の写真があります。この辺の接続も普段はあまり目にすることがないの
で、写真があるといいですね。あとバックアップ用途のISDN TAなんかの写真
も。う~ん、もういらないかなぁ、ISDNは。
で、ここまでしかないです。ちょっと残念。どうせなら、IP-VPNや広域イーサ
ネットのキャリア側のデバイスまで載せてくれたらよかったのにと思います。
後、IP-VPNや広域イーサネットの説明がありますが、どうしてルーティングに
ついてちゃんと触れないんでしょうね。最近、いろんな解説記事なんかを見て
いても、IP-VPNと広域イーサネットでのルーティング設定の違いについて触れ
ているものを見た覚えがありません。
ユーザのデータを転送するレイヤの違いや、アクセス回線の帯域のオプション
なんかももちろん大事なんですが、ぼくはルーティングの設定の違いもかなり
重要なポイントだと思っています。ページの都合かもしれませんが、これから
IP-VPNや広域イーサネットに触れるときは、ルーティングの観点も考えてほし
いですね。
いろいろ細かいところは、突っ込みたいところはたくさんあります。でも、こ
の特集が対象としている新入社員の方がLANの全体像をつかむにはいい内容だ
と思います。毎年、同じような特集が繰り返し企画されていますが、月刊の雑
誌という性格上仕方ないし、ちょうど復習になるので、それはそれでいいでし
ょう。