平成14年度テクニカルエンジニア(ネットワーク)午後Ⅱ 問2設問3 解答と解説
目次
解答
(1)ASPシステムへアクセスしたとき、応答時間が悪化すること。(29字)
(2)キューの更新データをセカンダリサーバに反映しないとデータに矛盾が生じるため。(38字)
(3)125分
解説
(1)
レプリケーションシステムについて、アプリケーションによって更新されたデータの同期をどのように考えるかという問題です。
この問題では、
・同期レプリケーション
・非同期レプリケーション
の2つのパターンについて書かれています。
同期レプリケーションは問題文の記述より、
同期レプリケーションでは、データの複製元になるサーバ(以下、プライマリサーバという)のアプリケーション処理によって更新されたデータが、データの複製先になるサーバ(以下、セカンダリサーバという)に転送され、セカンダリサーバでの更新処理が終了した時点で、アプリケーション処理が次のステップに進むことができる。このように、同期レプリケーションでは、完全なデータの整合性が常に確保されている
というものです。また、非同期レプリケーションは、
非同期レプリケーションでは、プライマリサーバで書き込まれた更新データが、いったんキューに登録されネットワーク帯域幅に余裕があるときにセカンダリサーバに転送される。
という処理を行います。
同期レプリケーションと非同期レプリケーションの処理の流れを図で考えると次のようになります。
※図は簡略化して、首都圏IDCのDBサーバのRAIDなどは省略しています。
<同期レプリケーション>
1.クライアントがWebサーバへ要求を送信
2..WebサーバからAPサーバへ要求を送信
3.APサーバ上のアプリケーションがDBサーバの参照・更新などを行う
4.DBサーバの更新データを関西地区IDCのセカンダリサーバへ転送して、同期の確認
5.DBサーバからAPサーバへ処理結果を送信
6.APサーバからWebサーバへ処理結果を送信
7.Webサーバからクライアントへ処理結果を送信
<非同期レプリケーション>
1.クライアントがWebサーバへ要求を送信
2.WebサーバからAPサーバへ要求を送信
3.APサーバ上のアプリケーションがDBサーバの参照・更新などを行う
4.DBサーバの更新データをキューに格納
5.DBサーバからAPサーバへ処理結果を送信
6.APサーバからWebサーバへ処理結果を送信
7.Webサーバからクライアントへ処理結果を送信
8.スケジュールされたタイミングで関西地区IDCのセカンダリーサーバとの間で更新データの同期
以上のようなレプリケーション処理の違いを考えて、同期レプリケーションを行ったときに出てくる影響は、4.の処理が原因です。
首都圏IDCのDBサーバで更新が発生すると、その更新を関西地区IDCのDBサーバに反映してから出ないと、アプリケーションの処理が進まないので、クライアントが要求を送信してからその結果を受け取るまでの応答時間が長くなってしまうことが考えられます。
それに対して、非同期レプリケーションでは、DBサーバの更新データの同期を待つ必要がないので、同期レプリケーションに比べると応答時間は短くなります。
このことを35字以内でまとめると、
ASPシステムへアクセスしたとき、応答時間が悪化すること。(29字)
となります。
(2)
これは、非同期レプリケーションの動作を見れば簡単にわかる問題です。非同期レプリケーションの動作は前の問題で解説しましたが、もう一度流れを書いておきます。
1.クライアントがWebサーバへ要求を送信
2.WebサーバからAPサーバへ要求を送信
3.APサーバ上のアプリケーションがDBサーバの参照・更新などを行う
4.DBサーバの更新データをキューに格納
5.DBサーバからAPサーバへ処理結果を送信
6.APサーバからWebサーバへ処理結果を送信
7.Webサーバからクライアントへ処理結果を送信
8.スケジュールされたタイミングで関西地区IDCのセカンダリーサーバとの間で更新データの同期
プライマリーサーバでの更新データはキューの中に入っているのですが、8.のステップを経ないとセカンダリサーバに反映されません。更新データがセカンダリサーバに反映しないうちに、セカンダリサーバに切り替えてしまうと、データベースに矛盾が生じてしまうことが考えられます。そのような矛盾が生じないようにするために、セカンダリサーバへ切り替えるときには、必ずプライマリサーバのキューの中にある更新データを反映させる処理が必要となります。
以上を40字以内でまとめると、
キューの更新データをセカンダリサーバに反映しないとデータに矛盾が生じるため。(38字)
となります。
(3)
単純な計算問題ですので、必要となる数値を間違わないように確実に計算を行ってください。
計算に必要な数値は次のとおりです。
・レプリケーションに利用できる帯域幅-2Mビット/秒
・伝送効率-80%
・1日の変更量-1.5Gバイト
これをもとに計算します。
1日の変更量のレプリケーションに要する時間は、
1.5*1000*8/(2*0.8)=7500秒=125分
です。
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